19世紀末、自然主義小説から出発したユイスマンスは、デカダンスの極致『さかしま』を経て、悪魔主義の森へと彷徨する。本書は大作『彼方』から、ジル・ド・レエ譚とともに黒ミサの夫人と主人公との奇妙な逢瀬に焦点を当てた、もう一つの『彼方』である。