出版社 : あけび書房
周五郎の“岡場所もの”は、小島政二郎から「これほどの作品は、一人の作者が一生に何編も書けるものではない、荷風の“娼婦もの”を抜く」と激賞されたが、にもかかわらずそれらをまとめて収載した短篇集はこれまでなく、味わうにも種々の本を開くしかなかった。本書は、いわば“岡場所もの”の決定版ともいえるものになっている(「解説より」)。 契りきぬ 雪と泥 夜の辛夷 ほたる放生 なんの花か薫る しづやしづ 将監さまの細みちつゆのひぬま 【解説】しんじつ、まことを信じたい心(新船海三郎)
アジア太平洋戦争末期の一九四三年から四五年に発表された作品のうち、戦場を舞台にしたものや、武士のありようや生と死をテーマにしたものを選集。 戦後八〇年の今日、戦争の時代にそうした作家がいたことを思い返す短編集としてまとめる。 殉 死 夏草戦記 さるすべり 薯 粥 石ころ 水の下の石 兵法者 生きている源八 一人ならじ 楯 輿 壺 ゆだん大敵 【解説】「死ね」といわれた時代に「生きよ」と書く(新船海三郎)
ハワイから東京、京都、そしてヒロシマへ。戦禍の苦難を生きた日系二世少女の成長物語。東京大空襲を逃げまどい、広島で被爆者として戦後を生きる。原爆で幼子を失った罪意識を背負い、京都で学んだ仏教の教えから「暗愁」にとり憑かれ生き抜くヒューマン・ドラマ。
月の欠片が地球に旅をした。そこは、広大久遠の銀河の一点に浮かぶ生命の星。46億年前に生まれ、やっと20万年前、人が大地を歩いていた。23,000分の1(20万年/46億年)の時間で人は、地表を作り変え、文明を築き、宇宙にも少し飛び出した。一方で、貧困も犯罪も戦争も絶えない。核兵器もなくせない。なぜ悪があるのだろう?しかし、人は疑いを振りほどき、生活に追われ、学校に職場に向かう。命が尊いって本当だろうか?なぜ悪があるのだろう?月が、捨て犬のポチが、鶏のタマ子が、熱くしなやかに答えを探ります。
恋人節子の突然の失跡ー。そして、数日後、彼女とある男との「心中」死体が発見される。俊介は節子の死のナゾを追う。俊介の前に、政・財界の癒着、右翼フィクサーの暗躍、政界コールガール組織など魑魅魍魎の世界が広がっていくー。