出版社 : アジア文化社
亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」1亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」1
野間宏、加賀乙彦の系譜を継ぐ大長篇小説の第一部。ガダルカナル、ニュージョージア島、コロンバンガラ島の戦闘などソロモン戦からフィリピン戦への太平洋戦争の激烈な流れを父親の精神の病の中に鮮やかに再現しながら、日本定住の元ポル・ポト兵のカンボジア難民の殺人裁判に関わることによって、虐殺の生々しい真相に迫る。戦争と生の真実を対峙させる衝撃のテーマ。日本人が振り返り、大事にすべき問題をも提起する。「群像」新人長篇小説賞作家の挑戦的長篇小説。
亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」2亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」2
トラック島を撤退、ラバウルの基地機能を失い、さらにマリアナ沖海戦で敗北して日本軍はサイパンを失陥、米軍勢力はフィリピンに押し寄せる。「捷一号作戦」を発して乾坤一擲のレイテ決戦を挑むものの日本連合艦隊は潰え、敗北。ついに米軍はルソン島に上陸する。一方クメール・ルージュとなったユアンは、プノムペンの陥落とともに、都市住民を地方農村に強制移住させる。破壊と殺戮への道を辿った日本定住難民の殺人事件を辿って、戦争の姿を掘り起こす黙示録。飢餓への道を記しつつ戦争と生の真実を対峙させる衝撃のテーマ。
亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」3亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」3
殺戮を重ねるユアンは、寺院を屍で埋めていく。母親の記憶を喪失する内部の苦悶が肥大。しかしベトナム軍のカンボジア侵攻によって、ポル・ポト体制は崩壊。その混乱の中でついにユアンは父への復讐を果たす。難民に紛れてタイ国境へ向かう。敦志の父親は、北部ルソンへの逃避行を辿り、飢餓との戦いのうちに、原住民を殺し、仲間を破傷風への恐れから生きたまま焼却する。追いつめられ最後には人肉に手を出す。人間の限界に迫り、生と死の境目に戦争と生の真実を対峙させ、生きる意味を問う衝撃の純文学長篇。
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