小説むすび | 出版社 : ステュディオ・パラボリカ

出版社 : ステュディオ・パラボリカ

新編 夢の棲む街新編 夢の棲む街

当時二十歳の学生が書いた伝説の作、山尾悠子のプロトタイプとしての才能がもっとも高密度に結晶した「夢の棲む街」。その作品世界を現在の作者が再訪する問題作「漏斗と螺旋」を初収録。あわせて読めば山尾悠子の今と過去の文章や創作へのスタンスの違いがよくわかる。 山尾悠子作品をリスペクトし、読み込み、自らの創作の糧にしてきた中川多理と川野芽生が挿人形と解説を担当する。 若い女性の才に頌されて『夢の棲む街』は、新たな命を輝きをもつ。 +++ 「夢の棲む街」は長い間〈薔薇色の脚〉を夢見ながら待っていた。 そう思えるほどの[新編]--まさに新たに編集された『夢の棲む街』-- この本のために作りおろし、この本でしか見ることのできない中川多理の未発表〈薔薇色の脚〉を載せて『新編・夢の棲む街』を読者にお届けします。 2020年1月に『群像』に書き下ろした山尾悠子の「漏斗と螺旋」を合わせ収録しています。この短編はある意味、40年ほど前に書かれた「夢の棲む街」を今、山尾悠子がアプローチするという要素をもっています。それは別の言い方をすると、山尾悠子の自作[読書論]になると思います。 山尾悠子自身の読み、中川多理の新作人形、そしてその人形を秘密の部屋に込めたようなデザインを施したミルキィ・イソベ、山尾悠子作品を読み続け、中川多理を見続けた、新進の歌人・川野芽生がその二人のコラボレーションを含めて解説をしています。 今という地点から、様々なクリエイターが「夢の棲む街」を[読んで]いるーーそういう編み方になっています。 手にした読者が、より自由に、より深く、より愉しく読んでもらえるように…山尾悠子の魅力にダイレクトに近づけるように…新たに編集してあります。新編の意味はそういうことです。 あたなたにしかできない、新たな読み方を体験していただきたいものです。 「薔薇色の脚のオード」  「夢の棲む街」 「漏斗と螺旋」 解説「薔薇色の、言葉と肉」川野芽生

小鳥たち小鳥たち

降りそそぐ小花、時空はゆらぎ、 小鳥の侍女たちが行き交う庭園と城館。 そこは迷宮? 小説と人形が織りなす奇蹟の幻想譚。 第46回泉鏡花文学賞受賞作家 山尾悠子の最新作!! あらたな領域に踏み入る記念碑的小説である。 ★物語と人形たち まず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。その人形作品を踏まえて『夜想#中川多理ー物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。 それを受けて、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ、ついに中川多理の手から大公妃が産み出された。 ★摩訶不思議な幻想小説の奇蹟の成立 山尾悠子の幻想譚は、場面が揺らぐように紡がれていき、確かにそこに伽藍はあるのだけれどもこちらの認識が朧になるという快楽性をもっている。構造はあるが、揺らいでグラデーションでずれていく。その揺らぎに現実の人形が参加しているのだ。 母、娘、そして侍女……幻想の物語、幻想の人形そして幻想の本として収斂する『小鳥たち』。

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