出版社 : トランスビュー
妻に死なれて男手一つで息子を育てる父親に子供が訪ねる。「ねえ、僕はどうやって生まれてきたの」。父は「あの秘密」をうまく語ることができない。法螺話で切り抜けようとする父の、おかしく、あたたかく、切ない振る舞い。
国家権力に笑いで一泡吹かせたい!プラハの居酒屋に、作家、アナーキスト、建築家、画家、自称革命家などが集い新党を結成、政治維新を企てた。つきまとう私服刑事を出し抜き、密告者をオチョくり、徹底取材で対立候補をコキおろす。その演説にあのカフカも大笑いしたという伝説のユーモア・ノンフィクション小説を、名訳者・栗栖継が八年の歳月をかけてついに完成。
大晦日の雪の日、ピアノの調律にやってきた妻の友人と名乗るインド人との不思議なやり取りを描く「皆に幸せな新年」。死んだ年下の恋人の故郷を探す女流作家の行動と当惑を描いた、奇妙な味の「ケイケイの名を呼んでみた」。
父は彼に、なぜ死んだ母を許すようにと言ったのだろうか。母は、徴兵忌避者の父との間に生まれた彼を、かつて殺そうとしたのだろうか。彼は本当に生まれてきたのだろうか。父と母の秘密が、次第に彼の想念の中に忍び込む。
職を失い妻も出て行った私に、古い友人が怪しい投資話を勧める。死海の泥は美容に良い、世界中から客が来る。その開発を一緒にやろうというのだ。執拗な友人の電話を聞きながら、消えた妻の真摯な姿と気持ちを思いやる。
新聞に漫画を書いていた私は、表現が当局の忌避に触れ連行される。そしてそれがきっかけで直線が描けなくなり、解雇され、同時にどこからともなく充満してくる毒ガスの臭いに悩まされる。私を追い詰めるものの正体は何か。
罪深い思いから孫を出家させようとする一族の長老、楊万生の話(「賀家堡」)。一家で果樹園の塀を作っているとき、誤って子供を死なせた男のとった行動とは(「塀を作る」)。回族の生活習慣に題材をとった不思議な味わいの2篇。
故郷の小さな町から大都会へ逃げ出したスプー。しかしそこには人間の黒い想念が渦巻いていた。スプーは、精霊と共生する地下の人々との暮すうちにモンスターの正体を見極め、魔術師の役割を悟る。イラストと日記で綴る“ピクチャー・ノベル”「スプーの日記」シリーズ完結編。
どんなに危険な魔術でも使わなければいけないときがあるんだ!おばあちゃんとの約束でミラクル・キャベツが誕生し、町は救われたかに見えたが…スピリチュアル・ファンタジー、第2弾。
彼は夜な夜な浮き名を流し、僧衣を捨てて還俗し、廃位された。短く特異な生涯を送ったダライ・ラマ六世が残した、今もチベット人に広く愛唱される珠玉の歌。本邦初紹介。