出版社 : ポプラ社
人ならざるものを見てしまう高校生の美和は、雪の中道に迷い、見知らぬ街に迷い込む。その一角で、割られた窓ガラス越しに、じっとこちらを見ている男がいた。男は死体だった。一方刑事の浩明は、死体発見の報を受け、現場に駆け付ける。被害者の斗南は、数日間体の自由を奪われ、食事も与えられないという残虐な方法で殺されていた。浩明は同僚の絵美とともに斗南の過去を探るのだが、予想外の事実が浮かび上がりー。
全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。しかし、人気シリーズの完結目前、インターネット上で訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、更にはミマサカに心酔していた16歳の少女、純恋が後追い自殺をしてしまう。幸い、彼女の自殺は未遂に終わるものの、純恋は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語った。やがて、とある山中の廃校に純恋を含む七人の男女が集まり、そこで絶対に起こるはずのない事件が起きて…。今の綾崎隼が自身に、読者に問い掛ける、痛切な青春ミステリ。
人を依存症にするのは、快楽じゃないよ。心身の痛みや、それぞれが感じている生きづらさが原因で依存症になっていくの。ここは、生きづらさを抱える女性たちが前を向くための場所。今最注目の作家が、人間の孤独と再生にやさしく寄り添う感動作!
「私は事件には一切関係していません。真犯人は、別にいます」そう言い残して絞首台を登っていった男。時はめぐり、小学生が学校の屋上から落ちて亡くなるという事故が発生する。いじめによる自殺を疑って取材を進めていたテレビ局社会部の女性記者は、少年の母親が、冤罪が疑われる事件の加害者として極刑となった男の娘だと知る。果たして二つの事件と事故に関連はあるのか!?警察権力との暗闘の果てに、女性記者がたどりついた驚愕の真実とは…。
「彼」は、いったい何者か?かつて京都に「河原町のジュリー」と呼ばれる有名なホームレスがいた。無数の視線に晒されても悠然と目抜き通りの真ん中を歩き、商店街の一等地で眠る男。出会った人々は、そのたび新たな物語をまとわせ、彼は街の伝説と化していくー。あの頃、京都の路上に生きた、伝説の男の物語。
まもなく40歳になる阿紗は、隣の部屋に住む老婆・八重を助けたことがきっかけで、彼女の部屋の片づけを手伝うことになる。片づけを進める中で、明らかになる八重の過去。そして阿紗も、母子家庭で荒れ果てた部屋に閉じ込められていた幼少期の記憶が蘇ってきてー。
突然会社の倒産を告げられ、いきなり無職になってしまったデザイナーの遠山健一。安定した転職先を求めたはずが、飛び込んだ職場はコピーライター・天津功明の個人事務所ーまさかのフリーランスだった。「じゃあまずは、フリーでばんばん仕事してさ、そのうち法人化も考えていこうよ。晴れて法人化したら、Youは“遠山副社長”ってことで」「えええ?」変わり者の天津とコンビを組む事になった健一。そしてやってきた仕事は、大企業とカタログのデザインをかけた“出来レース”のコンペで…!?不安を勇気に変える、爽快お仕事エンタメ。
ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。ちょっと変わり者と言われる彼が出会ったのは、あまりに美しい「和菓子」だった。その「美味しさ」にも魅せられてしまい、すっかり和菓子の世界の虜に。勢いのあまり大学院に進まずに和菓子職人になることを決意し、製菓専門学校に入学してしまった。個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに精を出すが、和菓子はとにかく答えがない。なんとか自分の和菓子を作ろうと苦心するも、全てを1か0かで考えてしまう理系的思考が、数値だけでは測りにくい和菓子作りの邪魔をしてー。
二階建てのレトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつ背の高い格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。“うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。きりりと白髪をまとめた女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。お店の名物は「料理おみくじ」。今宵の食事も人生も。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だがー。
悪魔の失敗が許されるのは3回まで!?ひとの運命は変えられないが、ちょっとした「調整」はできる。調整に値すると判断された人のもとへ天使が、あるいは悪魔が急行するのだ。彼らの仕事によって見知らぬ隣人たちの運命が背後で接近し、作用しあい、思いがけぬ物語と織りなされていくー。著者ベストセラー『ひと』とはひと味ちがった魅力、ファンタスティックストーリー!運命の裏事情、教えます。
大阪の北部に位置する蛍石市。古い住宅やマンションが建ち並ぶ静かなこの街に「ほたるいしマジカルランド」はある。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理…。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘する。自分たちの悩みを裡に押し隠して。そんなある日、社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走るー。「咲くやこの花賞」(女芸その他部門)受賞!!汗と涙と笑顔に溢れたお仕事小説。
慢性的な人数不足に悩む離島・大島の渚台高校陸上部に奇跡的に4人の男子スプリンターが揃った。インターハイ予選を目前に控え、4×100mリレー(いわゆる四継)に挑むことになるが、メンバーの人間関係はサイアク…。しかし、それぞれが悩みを抱えながらも、本気でぶつかり合ううちに次第にチームに変化がー。たった40数秒に秘められた感動の青春ドラマ!!
仕事も恋愛もぱっとしない岡野七子がたどり着いた、住宅街の洋菓子店「月と私」。そこには、お菓子にまつわる魅力的なエッセンスを引き出して、物語としてお客に届ける、「ストーリーテラー」語部九十九がいたー。さまざまな悩みを抱えてお店を訪れた人たちは、語部の語るストーリーと、美しいシェフの作る極上のお菓子に心解きほぐされていく。人生を変える物語をどうぞ。ワケありストーリーテラーと美しいシェフとお客が織りなす、疲れた心に甘くやさしく沁みわたる連作短編集。
東京生まれ・東京育ちで、中学からエスカレーターで東京の私立大学を卒業した大森理香。特に夢もなりたいものもなく、なんとなく受けた大手出版取次「大販」に内定するものも、配属でいきなり縁もゆかりもない大阪勤務を命じられる。関西弁が大嫌いで、さらにはベタベタした人間関係も大の苦手な理香だったが、研修でよかれと思ってやった行為で大きなミスをやってしまう。自分のふがいなさと理不尽さに涙があふれる理香に対し、上司が連れていったのはある小さな書店。そこでひとりの「書店のオバチャン」と出逢う。この書店のオバちゃんとの出会いをきっかけに理香の仕事と人生への考え方が少しずつ変わっていったー。目標もなく、なんとなく社会人になった出版取次会社の新入社員・大森理香が町の小さな本屋の店主と出逢うことで「仕事とは何か?」を学び、成長していく物語。実在する書店をモデルにした感動のノンフィクション&ノベル。
お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
下町の路地にぽつりと置かれた立て看板。実弥子が古い民家を借りて開いた絵画教室「アトリエ・キーチ」は、いつしか、さまざまな人びとが集う場所になっていく。一緒に絵を描くというささやかな時間は、人の心に何をもたらすのだろうー。