出版社 : ポプラ社
生真面目な千代田区が思い出すビートルズが皇居を歩いた日のこと、洒落者の港区が語る魅力的な若者たち、文学を愛する杉並区が明かすある女性との出会い…23区23様のドラマチックなストーリーが踊りだす。今すぐ東京を歩きたくなる、ユーモアと機知に溢れた傑作小説集。
今のわたしは、あの頃なりたいと望んだ自分になれているのだろうか。 遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。 時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となりー。 ベストセラー『なでし子物語』待望の続編。 ドラマ化、映画化、舞台化など話題作続々、伊吹有喜最新刊!
1916年、既にアメリカに暮らす大原幹三郎のもとへ「写真花嫁」として嫁ぎ、佳乃は海を渡った。そこから全ては始まった。夢が叶うと言われる大地で日々を積み上げていく一家。彼らはやがて時代の激流に呑み込まれていく。日本人というルーツに苦しめられた祖母、捨てようとした母、惹かれる「私」-これまでの百年、そして今のこの世界の物語。
極道あいてにさぎをはたらくなんぞ、きいたこともないでー。謎の男「アンポさん」と家出少年・太一が繰りひろげる奇想天外な詐欺事件。通天閣界隈の仲間たちの夢をかき立てながら、きわどい芝居を打つさぎ師たちに明日はあるか?伝説のピカレスクロマン、ついに文庫化!
夫が突然仕事を辞め、北大阪の義実家へ引っ越した珠希。そこには超マイペースでくせ者の姑、夫と前妻の間のヤンキー娘、その彼氏で気弱なバンドマンとの珍妙な同居生活が待っていた。おまけに謎の家財道具が家から溢れんばかり。平穏に暮らしたい珠希は整理に乗り出すがー。
ドラゴンズもSKE48も名古屋めしもあるのに、行きたくない街No.1!? ナゴヤドームで再会する父と娘、SKE48に憧れてストリートで踊る少女、運転免許試験場でサンタクロースと出会った女性、実直な書店員の一日ーー名古屋にある16の区を舞台に悲喜こもごものドラマを描く「名古屋16話」、東海・中部の都市が舞台の「8の旅」を収録。“素顔の名古屋”が見えてくる珠玉のショートストーリー集。 著者プロフィール 吉川トリコ(よしかわ・とりこ) 1977年静岡県浜松市生まれ。以後、愛知県に移住。名東区、長久手市、犬山市、東区、千種区と渡り歩く。好きな名古屋名物は台湾ラーメン。好きな名古屋弁は「でらわやだが」。好きな名古屋の公園は平和公園。好きな名古屋の通りは名古屋高速の「白川」から「四谷」にかけて。名古屋を舞台にした小説に、映画化された『グッモーエビアン!』ほか、『ぶらりぶらこの恋』『ミドリのミ』『光の庭』などがある。
埼玉県のリハビリテーション病院で働く玲子はやる気に欠ける看護師2年目。新しく赴任してきた若い医師小塚太一に、「リハビリってどんな意味?」と問いかけられて答えられずー。医師と療法士と看護師と患者、チーム医療の中で成長していく玲子。爽やかで新しい医療小説!
真夜中に開店する不思議なパン屋「ブランジェリークレバヤシ」。希実の母・律子の死から五年の月日が経ち、暮林や弘基の周辺には様々な変化の波が訪れていた。それは、常連客である斑目やソフィアやこだま、美作親子や多賀田たちにとっても同様だった。そしてもちろん、希実にとっても……。累計140万部突破のベストセラー「まよパン」シリーズ、ついに完結!!
冴えた推理を披露するものの、必ずあと一歩で周囲に手柄を奪われる、もはや神業的能力を持つ押井刑事。絶望の淵にいる彼を救ったのは、同じ署に配属された美しい後輩女性刑事だった。ただ、彼女の灰田絵奈という名前を聞いて、押井の胸に不吉な予感がよぎるー。
なんと裁判員に選ばれてしまったハチベエ。担当するのは近所で起きた殺人事件だったが、どうやら事件のキーを握るのは、かつての同級生・榎本由美子?そして裁判が進むにつれて明らかになる、意外な真相とは?大好評のズッコケ中年三人組シリーズ第四弾!
三十七歳の女優・野滝繭美は人生を悲観していた。忙しくはしているが、女優としてのピークはとうに過ぎた。そんなときに出会ったのが、デイトレーダーとして時代の寵児ともてはやされていた桜田眷作だった。当然のように恋に落ちた二人は、金も名声も失っても、ただふたりで幸福に生きていける道をみつける。話題作『船に乗れ! 』の著者による、真心の物語。
あなたを、助けたい。 学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていたーー なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた村に引っ越すことになった。都会とのギャップにとまどいながらも、楽しい遊びを教えてくれる同級生たちと触れ合い、自然の恵みに満ちた田舎の暮らしに次第に魅了されていく。中でも特別な存在は、童話に出てくるような家に住む素敵な笑顔のおばあさん・おハルさんだった。 だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいる。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……? そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく。 福岡・糸島の豊かな自然の中で、子どもから少女へ移りゆく主人公の姿が瑞々しく描かれ、大人も子どもも共有できる作品として、2016年1月、第31回坪田譲治文学賞を受賞。 2015年12月にはNHK福岡放送局の開局85周年ドラマとして映像化され、おハルさんを樹木希林が演じて話題を呼んだ。このドラマはその後、第42回放送文化基金賞・テレビドラマ部門において番組が奨励賞を、樹木希林が演技賞を受賞するなど高く評価されている。 【著者プロフィール】 1963年、広島県生まれ。歌人、作家。早稲田大学客員教授。1996年に第7回歌壇賞、2016年に第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』『東直子集』『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ『私のミトンさん』『トマト・ケチャップ・ス』、エッセイ集に『耳うらの星』『千年ごはん』『七つ空、二つ水』』など著書多数。
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。