小説むすび | 出版社 : 三修社

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トマス・ピンチョン 帝国、戦争、システム、そして選びに与れぬ者の生トマス・ピンチョン 帝国、戦争、システム、そして選びに与れぬ者の生

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三修社

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2019年7月9日 発売

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20世紀以降のアメリカ文学の面白さを第一線の文学者が伝える、作品を中心に、作家のキャリアを包括的に捉えた作家作品論シリーズの第2作目は、トマス・ピンチョン。ピンチョンの長編、中編作品のなかで扱われる、越境的な想像力が描き出す近代化と現代の様相を読み解く。また、主流派から排除された選びに与れぬ者たちの系譜とシステムに抗う生について論じる。 序章 ピンチョン作品の軌跡に見る本書の主題 批評理論上の枠組みと研究手法 トマス・ピンチョン伝記 第1章有機性の喪失とスペクターーー『V.』における拡大する生命なき世界 街路での彷徨、有機性の喪失、ショック体験 有機体への暴力と破壊、歴史的時間の分裂、スペクター 怪異な地下世界への下降、有機性への渇望とその破壊 語りの時間と地理における分裂、植民地のスペクター的都市、相互的自己喪失 有機性を支配することーーヴィースーと絶滅の夢 植民地マルタにおける再生の試み、機械の解体 第2章国家像を揺さぶる「望まれざる外国人」--『競売ナンバー49の叫び』が示す脅威 トリステローー移民法、望まれざる外国人、崩される国家像 トリステローー相続権の喪失、非合法集団、望ましき移民との区別 望まれざる外国人に対する空想ーー虚空を生み出すこと 国家像におけるトリステロ的なものーー街路での彷徨、社会的矛盾 革命の脅威、監視、そして疑念 望まれざる外国人へのエディパの脅威、そして自ら異質な者(alien)になること 第3章異国での祖国の記憶ーー『重力の虹』における選びに与れぬ者の系譜 国家の起源と系譜ーータイローン・スロスロップのアメリカ 選びに与れぬ者の系譜と本源主義の魅惑 ロケット、神話、マンダラ 第4章異人種間の魅惑と反発ーー『メイスン&ディクスン』に見る植民地的欲望 ケープタウンにおける植民地的欲望の矛盾 女性奴隷への欲望、ロマンスと人間の商品化 アメリカの荒野と植民地的欲望、同性愛、捕囚物語の変容 第5章哀悼可能な生と哀悼不可能な生ーー『逆光』、無政府主義、戦争 被支配者による暴力ーー哀悼可能な生と哀悼不可能な生 抑圧者の暴力ーー非人間の哀悼不可能性 哀悼不可能な生ーー第一次世界大戦を中心に 黙示的ヴィジョンを受けて 第6章帰れない故郷ーー『ヴァインランド』『LAヴァイス』『ブリーディング・エッジ』 『ヴァインランド』--権利強奪、神話的土地、データ・システム 『LAヴァイス』における追い立てられた人々、失われた土地、空想された国家像 『ブリーディング・エッジ』--社会正義、ディープアーチャー、ニューヨークの街路への帰還 あとがき・資料・年譜キーワード集・文献リスト・索引

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