出版社 : 光文社
森の中に建つ人気のオーベルジュ(=泊まって食事を楽しむレストラン)、ル・ミステール。そこには、泊まった人にしかわからない「謎」があるらしい。ちょっと変わった名前のシェフが、四季の美味しい料理で出迎えてくれるというけれど…?中身は心優しい中年男性、外見はぶたのぬいぐるみ。山崎ぶたぶたが大活躍。読めば元気になれる、大ヒット・ファンタジー!
フリーライターの葉山虹子は東京湾に浮かぶ孤島「猿島」へ上陸する。帰りそびれた虹子が迷いこんだのは島で暮らす猿谷家の館。ところが、主人の藤吉郎が密室で殺され、その後も怪事件が続発する。犯人を示す鍵は「猿」。脱獄犯を追って島へきた黒星光警部と虹子は真相に辿り着けるのか。猿づくしの異色長編ミステリーが著者の大幅加筆修正のうえ新装版で新たに登場。
ビデオジャーナリストの深町芽衣が殺害された。胴体を切断するという猟奇事件の捜査が難航したために、警視庁捜査一課の特命遊撃班に出動命令が下る。異色のメンバーとともに風見竜次たちが捜査を始めると、女性ビデオジャーナリストが想像を絶するほどの事件を追っていたことが判明。そして、ついに浮かんできた仰天の真相とはー。好評シリーズ、待望の第三弾。
シンドゥラ国王・ラジェンドラは、パルスが放棄した要衝ペシャワール城を占領する。そこへ攻め入ろうとするチュルク軍だったが、両軍を空から悪鬼の群れが襲う!魔軍を率いる狂戦士イルテリシュの狙いは?さらに、国土再建に邁進するアルスラーンたちにも、魔軍の凶悪な牙が迫りつつあった。蛇王ザッハーク完全復活の時が近づく緊迫のシリーズ第十四弾!
祐子の母は、父を裏切って家出をした。それを苦にして、父は自殺してしまう。一緒に暮らしていた祖母も病死。たった一人取り残された祐子は、母への憎しみを募らせ、それはやがて殺意に!凶器を携え、母の住むアパートへと向かうが…。(表題作)他に、オフィスを舞台にした「消えた会議室」、ホラーの秀作「犬」など、サスペンスあふれる傑作を揃えた短編集。
帰宅途中のバスの中で、浜島は二十年ぶりに小磯泰子と再会した。妻との仲は冷えており、四年前に夫を亡くしたという彼女の家に足繁く通うようになったが、そこには六歳の息子、健一がいた。浜島は彼の眼が気になり、次第に気味の悪さを覚えるようになってきて…。(「第一話 潜在光景」)人間心理の影の部分を浮かび上がらせた、七編の切れ味鋭い傑作短編集。
次作を書けずにいる新人作家のぼくは、ある日、十代の頃の相棒・寺井と十年ぶりに再会する。しかし、彼は無茶な依頼を口にしたのち、ぼくの前から消えてしまった。寺井を追うほどに胸を過る十年前の忘れ得ぬ出来事と映子の姿。思いがけず始まった人捜しが、止まっていた時間を揺り動かす。若き日の恋と苦い過去が織りなす人間模様。直木賞作家の才気あふれる初期傑作!
フジ・プロレス所属選手の圧倒的敗北。何でもありの格闘技・バーリトゥードが男たちの心を震撼させた。己の腕を見つめ直す者、禍々しい力にひれ伏す者…。格闘界が揺れ動く中、期せずして対峙した羽柴彦六と久我重明。最強に最も近い二人が繰り広げる闘いの行方はいかに!?そして、開幕を控えた武林館主催のトーナメントに向けて、いくつもの思惑が動き出す!
下総の小藩の元藩士で、いまは大道芸で生計をたてる朝比奈結之助。結之助が一度救った田楽屋の主が斬られ、拐かされた娘は自害した。ささやかな幸せを噛み締めていた父娘の死に、結之助は怒りに燃える。直心影流の達人など強敵に史上最強の剣術といわれる「無住心剣術」の豪剣が唸る。「鬼役」で人気の坂岡真が描いた「涙のシリーズ」が新装版で登場。期待の第二弾。
思いを寄せた女性に着てほしくて華麗な振袖を縫い上げた職人、自分のためにお店のお金を横領した若者を無罪放免してもらうために奔走する花魁、親の借金のために請負師の妾になった寄席の娘と貧乏芸人の恋の行方ー私利や損得を顧みずに人間の情に生きた「人情馬鹿」たちを、江戸っ子気質と江戸の言葉が生きていた大正期の東京下町を舞台に綴った名作十二話。
東京を離れた別荘地で、自動人形の発明に没頭する偏屈な父親・南瀬隆と、その世話をする健気な年頃の娘・蔦子。横暴な父の言動に翻弄されながらも、新しい時代の生き方を模索する若い女性の姿を描いた異色作。あの半七捕物帳の執筆開始からほどなくして、読売新聞に連載されたまま、ついぞ単行本化されることがなかった幻の長編が、百年の時を経て初刊行!
薬研堀埋立地にある評判の髪結・弥八床と、米沢町で信頼される質屋の市福屋。真面目で堅実な商売以外に、共通点はないはずだった。しかし、二つの商舗を探る怪しい与太が木戸番小屋を訪れ、不可解な行動をとり始める。騒ぎの臭いを嗅ぎ、動き始める杢之助だが、今回の事件はいつもと違っていた…。各々の背負う過去が重なり合い、一触即発の危機へと発展する!
日本橋の袋物屋のおかみが、隠居した父親を案じ牡丹堂に相談にやって来た。女房に先立たれて半年、ふさぎ込んだままだという。茶話会を開いて元気づけてやりたい。ひいては、甘い物が好きな父のために菓子を作ってほしいというのだ。小萩はご隠居の望みを知ろうと、三日にあげず通うことになるのだがー。季節の菓子と人の情。切なくて温かい好評シリーズ第三弾。
池見屋から巾着絵の仕事を減らされ、律は焦りを覚えていた。そんな折、葉茶屋・青陽堂では、商品に古茶が混じったことで、得意客が離れる騒ぎが起こる。商売敵による差し金ではと若旦那の涼太は悔しさを滲ませるのだが…。職人としての誇りをかけた仕事に打ち込みながら、ゆくえ定まらぬ恋に心揺らす律。得意の似面絵が事件解決にも一役買う、人気シリーズ第四弾。
沢渡留理は亡き父親から引き継いだ会社“沢渡家具”を守ろうと必死だった。そのためには、志を異にする兄・要次と、その愛人でもある秘書の福田麻衣子を排除するしかない。留理は綿密に計画を練り、痴情のもつれを装ってふたりを殺した。偽装工作は完璧だったはずなのに、翌朝、家政婦から、家に強盗が入り、その強盗に兄が殺されたようだという連絡を受ける。いったい何が…。想定外の出来事に混乱しつつ現場に戻った留理は、子供のように捜査に没頭している長身の女刑事と出会った。その女は、花房京子と名乗ったー。
現象学者の凪田緒ノ帆は、半年前に自宅の火災で恋人を失った。まる焦げで発見されたその死体が持っていたスマホのロック画面には、下着姿の謎の女性の画像が残されていた。突然、緒ノ帆の前に現れた美青年・露木は“予現者”を自称し、「僕が予現したあなたの恋人以外の直近三件の火災事故では、いずれも被害者の男性のスマホにこの女性の画像がありました」といい、事件と女性の関係を一緒に調べようと誘う。さらに、謎の女性の画像を手がかりに、メグミという名前と、彼女を探す消防士・海老野ホムラが見つかる。三人は、露木の“予現”する火災とメグミの手がかりを追う旅をはじめたー。
凡庸な少年時代から、モーリスは自分の願望を知ってはいた。ケンブリッジ大学の学舎で知的なクライヴと懇意になり、戯れに体が触れあううち、彼の愛は燃え上がる。クライヴもまた愛の言葉を口にするが…欲望のままに生きることが許されない時代に生きる青年の苦悩と選択を描く。
古い大きな家にひっそりと住む兄妹をある日何者かが襲い、二人の生活が侵食されていく「奪われた家」。盛り場のキャバレーで、死んだ恋人の幻を追う「天国の扉」。ボルヘスと並びアルゼンチン幻想文学を代表する作家コルタサルの「真の処女作」である『動物寓話集』。表題作を含む全8篇を収録。