出版社 : 光文社
白いブルーバードの中で男が3人殺されているー携帯電話から通報を受けた神奈川県警のパトカーが現場に急行した。だが、車内には血の跡が残されているだけだった。1分半もたっていない間のことである。一方3人の死体を目撃したヨコハマ自動車の社員・杉本千鶴は、6年前のある“できごと”に怯えた。千鶴をはげまし、死体消失のトリックに挑むOL捜査網。
寺田喬氏は、紡績会社の東京支社で課長をつとめる普通のサラリーマン。彼が四十一歳のころから、この物語、迷いと苦しみの日々が始まった。…まず体調の不安、そして会社での上司と部下の板ばさみ、勉強嫌いの息子と老いた親。山積する問題に、もがきあえいだ末、寺田氏は起死回生の脱出法を思いついた。それは…。サクセスのためのノウハウを秘めた実用小説。
春の飛騨高山。置き引きの現行犯で逮捕された中年男がいた。男は犯行は認めたものの、氏名や本籍を頑として黙秘する。が、余罪ありと睨んだ赤かぶ検事は、「本籍、不詳。住居、不定。職業、不詳。氏名、不詳…被告人は、年齢四十七、八歳。容貌、別紙添付の写真のとおり…」と、異例の起訴に踏み切った。-表題作ほか、法廷推理の真髄をユニークに描いた傑作集。
江戸での御前試合のため、沼田藩から5人の若い剣士が旅立った。試合は好首尾に終わったが、剣士たちは華の吉原でおいらん遊びの楽しさを知ってしまう。「我が城下にも小吉原を!」の要求で、藩内に奥方連も巻き込んだ騒動が起こって…。強いばかりが剣豪ではない。表題作など、血のかよった9人の剣士たちのほほえましい人間性に迫る異色の傑作剣士小説集。
E・A・ポーが書いた世界初の推理小説『モルグ街の殺人』の犯人は?そう、オランウータン。-以来、可愛くて獰猛な動物たちはミステリーの主役として大活躍してきたのです。そこで、今回のおもしろ推理パズルは、動物たちの魅力的なミステリーをお届けします。61問の難事件が解決するかしないかは、すべてキミの推理次第。ミステリー動物園へようこそ。
人の理性を破壊し、欲情のみを昇華させる青い強力粉末“チャイナブルー”。その青い粉末を廻る失踪事件解明の依頼が貴島俊のもとに。俊は、サンフランシスコの暗部をその卓抜した知性とクンフーで刳り取る男。折りも折り、サンフランシスコの暗黒街には無気味な胎動が。青い粉末を廻るチャイニーズマフィアの抗争、連続猟奇殺人の発生、要人の失踪…。続発する事件の中、俊の瞳がチャイナブルーの陰に潜む蠱惑的な女を捉えたとき、殺し屋、“猫食い”が俊を急襲。倒錯的エロース、壊滅的暴力、そして、救済的温もり…。世紀末世界で、ヒューマニズムとバイオレンス、エロチシズムを極限融合させる、大型気鋭が全力で描く、極上の書下ろしエンタテインメント超弩級全2巻。
魔道が吹き荒れ、暴力のみを法とする〈魔界都市“新宿”〉。この街をも震撼させる犯罪を、最凶の妖術師ガリバルディが実行に移した。連続虐殺事件をくり返しながら逃亡するガリバルディを、新宿署最強の刑事・屍と鬼顔が追う。その二人に、さらに羅漢興業組長・羅紋の刺客が迫る。妖物、魔人入り乱れる死闘、淫戦。捕えられた鬼顔を救出するため、死地に飛びこむ屍。ガリバルディが企む「究極の殺人者」とは?そして世界を破滅に陥れる計画とは何か?魔界のエロス&バイオレンスを超高速連射。満を持して放さ興奮の痛快長編書下ろし全2巻、ここに圧倒的迫力で完結。
玉井タマ子は葬儀社の経営で5人の子どもを育てた。双子の礼子と智子はもう18歳。二人で香港旅行を楽しむ。事件は帰国中の機内で起こった。ツアー参加のおばさんが、中国人から荷物を預かり、税関を通過したがそれを紛失。物は麻薬だ。怪しい人がおばさんの命を狙う…。そこで、旅の誼からタマ子と双子チームが国際無法組織に挑戦。鬼才の筆が冴える会心作。
時は大正時代の中頃。文車伯爵家の令嬢(お姫さま)桃子は活発で束縛されるのが大嫌い。じつは秘密の恋人がいるのだが、まだ結婚なんてしたくない。ところが、宮家の貴公子が桃子を見初めてプロポーズ。有力な妃殿下候補はほかにいるが、なにやらスキャンダルの臭いが…。このままじゃカゴの鳥だ、というわけで、桃子は真相解明に乗り出したのだが。
「今度のフライトはすっごいハード・ラックよ」ミステリー大好きのスチュワーデス・紅翔子は、親友の貴美子から占いを聞かされた。せっかくのマドリッド便乗務なのに、そのせいか、機内では失敗ばかり。おまけに、乗客のオリンピック選手が、東京の殺人事件と関わりがあるとわかって、持ち前の探偵趣味が。国際的陰謀に立ち向かう翔子の活躍。シリーズ第4弾。
深夜、家路を急ぐ男が、自分の影に襲われた。影は、黒い甲虫のような物に姿を変えて男の口から体内へ侵入…。その途端、男の身体は裂けて吹き飛んだ。深夜の失踪事件はその後頻発。カメラマン助手の宇和野守人も正体不明の黒い生き物の群れに遭遇した。死を目前にした守人は、妖しい魅力を放つ美女ラナに救われる。戦憐の恐怖と清新な官能が満載の傑作ホラー。
青山の表通りの閑静な住宅街に、カミュという小さなバーがある。入口に“Camus”というプレートのあるこの店が、小説の舞台である。カウンターのなかにいるマスターの秋月の目からみる、人間模様はクールである。常連客とは一線を引く秋月だが、いつしか渦中に巻き込まれ…。
真木学は官僚出身の代議士だ。欧州経済の視察団長に選ばれる。短期間の各国訪問は早朝から行動しなければ…。だが、彼は晴れ姿のPRのため、予定を無視し、昼過ぎにタラップに立った。懐には派閥のボスからの小遣いと関係会社の餞別が唸る。「国のため」と叫ぶたびに私腹は肥えるばかり…。(第一話・金満代議士)。元代議士の秘書だった著者が全読者に公開した極秘小説集。
日本の推理界を代表する探偵たちが、一冊に集合した。法医学博士の天才型探偵・神津恭介、義理と人情の熱血私立探偵・大前田英策、若き捜査検事・霧島三郎、ぐず茂と呼ばれる検事・近松茂道、近松誕生のきっかけとなった検事・遠藤茂道。本格推理の巨匠・高木彬光のシリーズ・キャラクター五人の文庫未収録作品だけで編んだ、『五人の探偵たち』の姉妹編。