出版社 : 光文社
みんな死ぬよ 誰も帰れない ホラー映画撮影スタッフを襲う悪夢のような事件。 元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜。 保育士と母親の連絡日記から浮かび上がる歪んだ日常。 小学生時代の不穏な事件に隠された薄気味悪い符合。 恐れと禍いの最高到達点。 どこまでも不気味で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集。
「我が蔵人頭は、優しいが頼りない……」 幼い頃に父を失った藤原行成は、平安貴族としての官位栄達を諦めていた。しかし、行成の姿を見ていた一条天皇は、彼を側近である蔵人頭に任ずる。 その行成は、一条天皇の感情の自制と苦悩に満ちた生涯を目の当たりにすることとなった。 筆の名手「三蹟」の一人として知られる行成とその妻、一条天皇と中宮定子、そして清少納言。互いを信じて想い合う姿には、愛が溢れていた。
廃校が決まった柳垣小学校で最後の秋祭りが行われる。あの日、担任の先生と町の外からやってきた絵描きの男の姿を見てしまった類と玄。息子の母親会で祭りの準備をしていた類は、人気作家になった玄と再会するがーー「ドヴォルザークの檻より」類の夫、悟志の元浮気相手である千沙は、東京でバツイチ子ありの男・翔琉と暮らす。翔琉が娘の結婚式に参列する日、千沙は廃校が決まった母校の秋祭りを訪れーー「いつかのあの子」
江戸末期から明治へと移り変わる頃、現在の山梨から静岡の間の物流を担っていたのは舟だった。物を運び、人を運び、それぞれの生活があった。自然に翻弄され、時代に翻弄され、ままならぬ日々を抱えながらもおかれた場所で懸命に生きる人間達がいる。 名も無き人々のありのままの姿を力強く描き出す短編集。
怪異による超常現象×名探偵の論理! 30年前から繋がる惨劇の連鎖。その死は祟りか、殺人か? 探偵に憧れて調査会社に就職した倭文だったが、霊を呼び寄せる特異体質が災いしすぐに異動になる。そこは変調課という超常現象に特化した部署だった。リゾート開発会社の依頼で、作業員の不審死が続く五福島に調査に行く変調課のメンバー。その島は30年前に、関係者全員死亡という不可解な連続殺人事件があった場所だった。
下鴨神社の森で暮らす漂泊の巫女、桔梗。京の権力者たちに請われるまま霊視した平将門の姿に彼女は心惹かれた。朝廷が「鬼」と恐れるような者でなく、善政を志す溌剌とした偉丈夫だったから。運命の悪戯で桔梗は坂東へ。やがて将門と出会い、その寵愛を一心に受ける。しかし満たされた時間は長くは続かない。桔梗は霊の目を通して気付く。側近の興世王が纏う不穏な影に将門が呑み込まれつつあることに……。
2025年1月公開の映画「366日」の脚本を手掛けた福田果歩の書下ろし小説。沖縄の高校で出会った美海と湊。母を失い絶望している湊を元気付けたのは、美海の笑顔だった。やがて恋に落ち、時を重ね、こんな日々がずっと続けばというふたりの願いを、一瞬で奪う悪夢が湊を襲う…。あなたは最後を誰と過ごしたいですか?本当の幸せとは何ですか?沖縄のアーティストHY「366日」からインスパイアされた感動の物語に、涙が止まらない…!
「とにかくヘンな小説をお願いします」そんな型破りな依頼に応えるべく、炒めて煮込んで未知の旨味を引き出した傑作集。憎き取引先への復讐を計画する「そうだ、デスゲームを作ろう」、集団心理を皮肉った「行列のできるクロワッサン」、第76回日本推理作家協会賞ノミネートの『ファーストが裏切った』など、日々の違和感を増殖、暴走させてたどり着いた前人未到の五編。これも浅倉秋成。いや、これこそが浅倉秋成。
「なんなんだ、これは!」 想像力の限界の斜め上を突っ走る物語20編。 街裏ぴんく(R-1グランプリ2024王者)、大島育宙らが大絶賛!! 鬼才が放つ待望の第二作品集がついに刊行!
車椅子の刑事・蒼井俊が捜査する連続殺人事件。被害者はSNSなどで糾弾されながら司法に裁かれなかった者たちだった。彼らの悪行をなぞらえるかのような異常な死に様に、蒼井は犯人の自己顕示欲を見て取る。そして、残酷な手口にかつて警察組織を裏切った稀代の犯罪者の存在を感じた。その人間こそ、彼の四肢の自由を奪った元凶だったーー。 瞠目の警察小説×サイコスリラー!
探偵の音更風゛(おとふけぶう)は、カルト的人気監督・鳳灾子から映画の監修を依頼された。風゛にとっても因縁のある本格ミステリ小説の映画化だ。灾子が起こした事件の顛末や、証言、原作のストーリーから、風゛は灾子が殺人を企てているのではという疑念を捨てきれない。死体発見後に推理する「本格ミステリ」の探偵ではなく、事件前に止められる名探偵になりたいと考える風゛だったが、無情にも殺人計画は動き出していたーー
刑事なのに。正しいことをしたいのに。 どうしてこんなことをしているのだろう。 追いつめられた女性刑事が重ねる、嘘と罪。 残された道は、この事件を解決することだけ。 白と黒の間でもがく、緊迫のサスペンスミステリ!
明治十年、西南戦争が勃発。その戦火は広がり、大分・臼杵にも迫ろうとしていた。すぐに臼杵の士族たちは集まり官軍に付くことを決め、士族たちによる守護隊ーー勤皇臼杵隊を編成する。予備隊に配属となった赤嶺煕にとって、これが初めての戦だった。煕は、攻め入る薩軍から町や大切な人たちを守ることができるのか。
昆虫・毒蟲が闘いを繰り広げる大ヒットDVD「世界最強虫王決定戦」が、小説になって帰ってきた! 天下泰平のカブト幕府転覆を企み、手ならぬ肢(あし)を組んだ、ノコギリクワガタ藩主、オオスズメ藩主。幕府に従わぬ毒蟲たち、タガメ藩主率いる水生昆虫、さらには強大で残虐な南蛮虫まで巻き込んだ、戦乱の幕が切って落とされた。 日ノ本の昆虫たちを守るため、カブト将軍は自らを顧みず、戦いに挑むのだった!
ーー恋愛感情がない。性欲がない。それでも「普通」に暮らしている。 5年間勤めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」でアルバイトをする鳴海優輝。 心優しい啓介が営む「ブルー」には秘密を抱えた人々が集まってくる。 デザイナーの北村、高校2年生のヒナ……。 常連客の悩みに向き合う鳴海にも、周りに言えない想いがあった。 多様なセクシュアリティを持つ人々を、やわらかく鮮やかに照らす、畑野智美の新たな代表作。
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにしたーー「海の街の十二歳」高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われーー海の街を舞台にした著者の新境地、全7編。
元自衛隊員の遺体がまた見つかった。共通するのは、政情不安下の南スーダンにPKO部隊として派遣された"特戦群"メンバーだったこと。同隊所属の風戸亮司は危機からの突破口を探り始める。時を同じくして一人の女性医師が南スーダンから帰国し愛娘と再会した。だがその直後、凄惨な悲劇に遭遇し……。彼の地に関わった者たちに迫る不穏な影の正体と目的とは? 自衛隊日報問題を起点に繰り広げられる緊迫の軍事サスペンス!
2011年の東日本大震災で津波による被害を受け、福島で二百年以上続く、日本酒「福の壽」を造る矢吹酒造所も何もかもすべてが流された。地震後の原発事故により、町に住むことさえできなくなった八代目の蔵元・光は、酒蔵の再建を断念していた。そんななか、津波に襲われたときに一人の少女を救えなかったことを今でも悔やむ光が、テレビ番組の取材を受ける。その映像をきっかけに次々と若き協力者が現れ、光は再び酒造りに挑む!
一片の死角なし。最大の敵、現る。無人のはずの工場で爆発が起き男が死んだ。現場に残されたパソコンから、国際テロ組織の指示による爆弾製作中の事故の可能性が浮上。警視庁がその線で捜査を進める中、花房京子が男の遺留品を辿り接触したのは、元公安の犯罪評論家としてメディアを賑わす角松麻由子だった。だが、週刊誌が角松と男の繋がりをスクープし、事態は予想外の方向へ。手練と技巧が冴え渡る倒叙ミステリーシリーズ!