出版社 : 光文社
絶体絶命。待ったなし。人生最大の危機をどう切り抜ける?善も悪もない、ただひたすらに生き抜いた名もなき人の物語。歴史の陰に隠れた人々の存亡を懸けた“覚悟”を、鮮烈かつ詩情豊かに描く珠玉の作品集。
鬱蒼と暗い森の中に建つ合宿所。ある団体の“レクチャー”を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げだそうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、奇怪な装飾を施された古木の根元に、供物のように置かれていてー戦慄のノンストップ・ホラーミステリ!
大宮署の刑事・蝶野未希は十七年前に息子の遙希を亡くした。雪の日に、廃工場の冷蔵庫に閉じこめられて死んだのだ。犯人は捕まっていない。ある日、非番で大宮駅を訪れていた未希は、駅前で発生した車の爆破事件に遭遇。被害者の三上は、遙希の葬儀を執り行なった葬儀社の社員だった。さらに数日後、三上の同僚だった男もまた、大宮駅前で刺殺される。十七年前の事件が、時を超えて動き出したー未希は捜査にのめり込むが、思いがけない出来事が彼女を襲う。過去は消えない。未来は見えない。それでも生きるしかない。ノンストップ警察ミステリ!第27回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれないーー。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリー。
中学2年生の花南子は、父親の海外勤務によって春休みから一人暮らしを始める。その場所は曽祖母の五月さんが経営するアパート「さつきハイツ」。その矢先、五月さんがぎっくり腰で入院、心細い花南子のもとに宛先不明の謎の封書が届く。同級生男子とともにその謎を調べ始める花南子だが、偶然出会った“名探偵”の存在が、花南子の生活を大きく動かし始める…。町内で起きたいくつかの不審な事件。それらを辿る先に隠された真実とは?現代人の心を癒す、エモーショナルな胸熱ミステリー。
「道路の白線を踏み外したら死ぬ」「手のひらに“人”という字を3回書いて飲むと緊張がほぐれる」「食べ物を落としても3秒以内に拾えば大丈夫」「痛いの痛いの、飛んでいけ」などなど、誰もがどこかで聞いたことのあるシチュエーションを、現代ショートショートの名手・田丸雅智が大胆にアレンジ! 物語は「あるある」な設定から予想外の結末へ。1話10分であなたを不思議な世界へ誘う、魅惑のショートショート全10編!
大流行した感染症や地方の過疎化が進んだせいで、「祭り」が行われなくなった地域が増えてきた。これまでは、祭りによって鎮められていた八百万の神々が怒り、暴れだす。この事態に対処するために組織された「祭祀保安協会」の、九重十一とアシスタントの八多岬、怪しさ満点のこの二人組が不思議な出来事を鎮め、荒ぶる神々を処分していく。東北を舞台に描き出す、連作ファンタジック・ミステリー。
十数年前、突如現れた“魔女”-箒に乗って空を飛び、黒猫に化けることができ、近くにいる人の感情を操ることができる存在。文明社会の秩序を脅かす魔女たちを取り締まる司法が“火刑法廷”であり、この裁判で魔女と認定された者は火炙りとなる。ある日、空を飛行したのでなければ不可能な死亡事件が起こる。魔女と疑いをかけられた被告の少女カラーをじっと見つめるのは、被害者の義娘となる予定だったエリス。エリスは知っていた。あの夜、本当は何が起こっていたのかをー。怒涛のロジックと驚愕の結末に息をのむ、次世代本格ミステリの最高峰!
俺の人生、もっと高く跳べるはず。お笑いでは芽が出ず、身体能力ばかりが評価され、番組の企画で棒高跳に挑戦することになった崖っぷちの芸人。その番組を通じて共演するのは、パリ五輪が目標のいけ好かない大学生アスリート。出会うはずのなかった二人、それぞれの跳躍の先に広がる景色はーー。明日を迎えるのがきっと楽になる、夢と現実のその先にある物語。
この人は人生をリノベーションするつもりだーー亡き夫から莫大な遺産を相続した女性の前に絶縁したはずの兄が現れ、「あんたは偽者だ」といいだす。女性は一笑に付すが、一部始終を聞いていた元マジシャンのマスターは驚くべき謎解きを披露する。果たして嘘をついているのはどちらなのかーー。謎に包まれたバー『トラップハンド』のマスターと、彼の華麗なる魔術によって変貌を遂げていく女性たちの物語。
1947年。英国軍人のイアンは、戦場で不当に斬首された兄の仇を討つため来日する。駐日英国連絡公館の協力を得つつ少ない手掛かりを追うが、英経済界の重鎮である父親ゆずりの人種差別主義者でプライドの高いイアンは、各所と軋轢を生む。GHQ、日本人ヤクザ、戦犯将校……さまざまな思惑が入り乱れ、多くの障害が立ちふさがる中、次第に協力者も現れるが日本人もアメリカ人も信用できない。イアンの復讐は果たされるのか?
チェリストの黛由佳が放火事件に巻き込まれて死んだ。由佳の自由奔放な演奏に魅了され、彼女への思いを秘めていたチェリストの坂下英紀は、火神の異名をもつ孤高のチェリスト鵜崎顕に傾倒し、「鵜崎四重奏団」で活動していた彼女の突然の死にショックを受ける。由佳の死に不審を感じた英紀は鵜崎に近づき、死の真相を知ろうとする。音楽に携わる人間たちの夢と才能と挫折、演奏家たちの<解釈>と<物語>に迫る、長編ミステリー。
わたし、悪くない。ひとりで破滅なんて絶対しない。妻に先立たれ養子の息子と向き合う老人。仕事が忙しい妻を支える気弱な夫。地方の美術館でくすぶり続ける学芸員。倒産や理不尽なリストラで無職となった同級生たち。借金苦から逃れようともがく老女。会社ぐるみで不正を隠蔽する社畜たち。彼らに正論は通じない。ひとつの嘘から、転がりだす悪意の連鎖。強がり、もがき、這い上がろうとする嘘つきたちが最後につかんだものは?
特別に優秀な児童が通う帝都小学校で、群を抜く知能を持つ双子の兄弟、圭司と有人。刑事を父に持つふたりはミステリが大好きで、身の回りに起こったさまざまな謎に挑戦する。桜の葉は何故ちぎり落とされた?雪上の奇妙な足跡の鍵を握るのはサンタクロース?密室殺人現場からの脱出経路は?トリック解明にロジカルに迫る圭司と、犯人の動機や非合理な行動に興味を持つ有人。6年生の冬、そんなふたりの運命を大きく変える事件が待っていたー新人発掘プロジェクトから誕生した、Z世代による本格ミステリの新解釈!
熱帯の無人島で起きた集団怪死事件。残された者が楽園の深部で目撃したものはー日本最南端の無人島・瑠璃島で、ある朝、海洋生物総合研究所の研究員が立て続けに死亡する。ほとんどが自殺にしか見えないが、動機の想像がつかない。生き残った研究員・高井七海は、死亡した所長が極秘研究を進めていたことを突き止める。事件との関連はあるのか?折しも、島内では動物たちの異常行動が観察され始めていた…。生物学を究めた医療ミステリーの新生が放つ、トラウマ不可避の新境地!
時は天明、戦なき泰平の世。篠山藩右筆の娘・リクは退屈な藩邸暮らしを嫌い、自分らしさを探し求め、剣術の稽古に明け暮れていた。そんなリクに舞い込む縁談話、相手は山田家の養子となったばかりの三輪源五郎だった。当時、罪人の斬首を担当する山田浅右衛門は首斬りの一族として忌み畏れられていた。ゆえに父や藩は反対し、すぐに断ろうとするが、源五郎の剣技を目にしたリクは、その深い度量に惹かれていく。
大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた大阪弁の女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗ったがーー「違う羽の鳥」 失業中で家に籠もりがちな恭一。ある日小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣の一軒家に住む老人にもらったというそれをたばこ代に使ってしまった恭一だがーー鮮烈なる”犯罪”小説全6話