出版社 : 光文社
一九四九年、終戦から四年が経った東京。陸軍中野学校出身でかつて破壊工作員だった藤堂直樹は、歴史学者の守屋淳一郎と物理学者の和久田元から過去に時間を遡る手段を発見したと聞かされる。さらに二人は直樹に思いがけない依頼をしてきたー「過去に戻って、戦争を始めた者たちを排除して欲しい」。-目指すは満州事変の阻止。未来は、本当に変わるのか?
権力の座を望む長女、その姉を恐れる次女、父親が気がかりな三女。日本一の家具店を一代で築いた“家具王”宝田壮一だが、寄る年波には勝てず、また後継者選びにも悩んでいた。三姉妹も役員だが、それぞれの強い思いが不協和音となり、家族間に暗い影を落とす。一族を取り囲む社員たちに加えて投資ファンドの策謀が絡み、影は濃く、深くなるばかり。宝田家具には“破滅”への道しかないのか!?家族の“絆”は、幻想にすぎなかった。『リア王』を下敷きに、古くて新しい家族の悲劇を描いた意欲作。
“どんでん返しの帝王”が描く大人気検察ミステリー、待望の第3弾!南海電鉄岸和田駅にて、無差別殺人事件が発生。7名を殺害した笹清政市(32)は、自らを失うもののなにもない“無敵の人”と称する。ネット上で笹清をロスジェネ世代の被害者だと擁護する声があがるなか、大阪地検で郵送物が爆発、6名が重軽傷を負った。被疑者“ロスト・ルサンチマン”は笹清の釈放を求める犯行声明を出す。事件を担当する大阪地検の不破俊太郎一級検事は、調査中に次の爆発に巻き込まれー連続爆破事件は止められるのか?“ロスト・ルサンチマン”の真の目的は何なのか?
上高地の横尾山荘に宿泊中の女が失踪した。翌朝、同じ山荘近辺でテント泊をしていた男が刺殺体で発見される。二つの事件に関連性はあるのか?松本署の道原伝吉は複数の可能性を視野に入れ、捜査を開始する。その過程で、女の交際相手の許へ赴くが、直後に蒸発。時を同じくして、七里ヶ浜で事件の関係者が殺された。不気味に連なり続ける事件を食い止めるため、道原は江の島に向かうが…。
白い死神に翻弄される人々になす術はないのか!?漁師の原因不明の失踪が、発端だった。巨大なホホジロザメが目撃されるようになっても、一時的に迷い込んだだけだろうと誰もが考えた。しかし彼らは、いつまでたっても外海に去ることはなかった。事態は悪化の一途を辿る。追い出せないのか。駆除するしか、ないのか。そもそも、そんなことはできるのか!?平和な海を取り戻すべく、決死の掃討作戦が始まろうとしていた…。
父が病に倒れた。進行は凄まじい速さだった。家族と自分の今までとこれからを考える暇も与えてくれなかった。きっと誰もに訪れる。でも、会えなくなるのはやっぱり寂しい。別れの日を前にした人々の思いが胸を打つ、感動の傑作。
なぜ自殺が続くのか?終の棲家で信じるべきは何なのか?秘密を暴く快感と、アッと驚く結末が読者を待ち受ける!常駐看護師の冬木栗子が勤める老人ホーム「山南涼水園」で、男性入居者が滝壼に飛び込んだ。彼は溌溂と過ごしていたはずなのに…。自責の念に駆られた栗子が調べ始めると、遺産問題、派閥争い、横恋慕…と、施設内部を蝕む黒い秘密が露わになっていく。そして、彼女がいよいよ不安を募らせた矢先、さらなる入居者の“自殺”が発生してしまいー。『交換殺人はいかが?』『消えた断章』で活躍した元刑事・君原継雄が主人公を導く最新作。
憧れだったはずの仕事を辞め、前に進めなくなってしまった明日香の前に現れたのは、アパートの塀の上にいるサビ猫の「ぶーさん」だった。ある日ぶーさんが病気になったと訴える少女の話を聞いた明日香は、行きがかり上、動物病院へ連れていくことになった。その古びた動物病院で思いがけず、ぶーさんは明日香の人生を変えることになる。そして数年後、お別れの時が訪れた。(「ぶーさん」より)友人で、家族で、パートナー。私たちにとって、かけがえのない存在であるペットたち。彼らとの出会いとお別れ、幸せを描く、4つの感動の物語。
昭和ー平成ー令和。それぞれの時代の風俗を巧みに取り込みながら、容姿への疑問と不安を物語に昇華させた連作集。美貌も知名度も偏差値も功績もすべてをぶっとばす、あの部分。ルッキズムの悪口は蜜の味?ヒメノ式「家族の寓話」へようこそ。
陸上自衛隊・神家正成「迷彩の天使」。新型コロナ感染症という「災害」の渦中にある豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号に「派遣」された陸上自衛隊二等陸尉の看護官・畠山知重。妻として、母として、看護師として悩みながらも懸命に現場に立つ彼女の前に、意外な感染者がー。海上自衛隊・山本賀代「氷海」。コロナ禍の中、砕氷艦「ゆきはら」は南極に向かい前代未聞の無寄港無補給航海に出た。初めての南極への航海で、二等海尉の航海士・三津田流至は航海長・川尻の連日の厳しいしばきに耐えながら、思いがけないものを見つけた。航空自衛隊・福田和代「空のプライド」領空侵犯への対応のため常に待機する飛行隊のパイロット、盛岡保二等空尉は単身赴任。コロナ下で家族にも会えない日々だ。彼が働く築城基地で、ハトが着陸時の戦闘機に接触し機体が破損したのにハトの死骸がない、という考えられない事故が起きた。その謎を追う盛岡はさらに謎にぶつかる。「新型コロナ下」という限界状況を設定し、各自衛隊を熟知した作家たちが、その隊の特性特徴を活かした趣向で書き上げた、読み応えあふれる新しいエンターテインメント!
一膳飯屋「だいこん」を知人に譲ったつばきは、父安治と母みのぶと、新たな三人暮らしを始めた。不景気風が吹く江戸の商いはどこも経営不振でどの店も苦労していた。ある日、富岡八幡宮に参拝した安治は、薬種問屋「蓬莱屋」が看板の思案を求めていることを知り、渡世人の弐蔵と講釈師で絵心のある三太郎を仲間に、巨大提灯という壮大なスケールの看板を提案する。
命拾いした「洞窟仲間」七人を相次いで襲う危機ー。闇の中でよみがえった「過去」が新たな事件を生む!崩落事故で洞窟に閉じ込められてしまった男女七人。全くの闇に包まれ薄まっていく酸素に全員が朦朧とするなか、何者かが過去に犯した殺人の告白を始めた…。間一髪、ある娘の機転により奇跡的に全員が無事救助されたが、あの告白が誰のものなのかは謎のままだった。やがて、命拾いした七人のうち、若くにぎやかだった仲間千枝が刺し殺される事件が発生。その直後、やはり洞窟から生還した会社員・小泉昭夫がひき逃げに遭い命を落とす。二つの“事件”のつながりに気付いた片山刑事と妹の晴美は、ホームズと共に事件の真相に迫っていく!大人気シリーズ第55弾!
容姿端麗、頭脳明晰のカリスマ極道・柴崎純也は、飲酒運転で人生を失った元銀行員・後藤喜一をスカウトし、マネーロンダリング専用の投資コンサルティング会社「60%」を立ち上げる。違法行為に気づくも、地下社会のしがらみのない生き方に惹かれていく後藤。柴崎が従来の反社会組織とは違う不思議なコミュニティを形成し、強い絆で勢力を拡大していく中、「60%」の存在意義にも大きな変化が訪れる。やがて来る絶体絶命の破滅…信ずるべきは誰なのか?ハミダシ者たちの苦悩の選択が始まる。
椎名留美は元警官。山形市に娘と二人で暮らし、探偵業を営んでいる。便利屋のような依頼も断らない。ある日、風俗の送迎ドライバーの仕事を通じて知り合ったホテルの従業員から、息子の捜索を依頼される。行方がわからないらしい。遺留品を調べた留美は一人の女に辿り着く。地域に密着した活動で知名度を上げたその女は、市議会への進出も噂されている。彼女が人捜しの手がかりを握っているのだろうか。
丘の上の小さなピッツェリア「デリンコントロ」。閉店間際に飛び込んできた男性客が、マルゲリータを食べた途端、絶命した。ピザに毒が入っていたのか?今夜はオーナー不在、店のスタッフは4人…ということは、犯人はこの中にいる!?離れて暮らす娘を持つバツイチの仁志、なぜか仁志に敵意を見せる女子大生・映里、天真爛漫を装う小悪魔・久美、実はピザが嫌いな伸也。誰もが秘密を抱えていて、誰もが怪しいー。事実は1つ。でも事情は4つ。すべての真相は店の中にある。仕掛け満載のワンナイト・パズラー。
十月の日曜の朝、横浜・日吉に住む千弦は昨夜近くの小道で女性が刺殺されたことを知る。しかもそれは昨夜「相談したいことがある」とのみLINEを送ってきた幼なじみの玲奈だった。相談は事件に関わるものだったのかー悩んだ千弦は真相をさぐろうと決意する。千弦は玲奈のゼミ教官・葛葉の態度から、玲奈がなにか問題を抱えていたと確信する。しかも玲奈の足跡を辿る千弦を尾行する影が…。事件の背後にはいったい何が潜んでいるのか?未来と仲間の見えない時代に凄絶な孤独が引き起こした悲劇の結末とはー。
行き場のない母子を守る「のばらのいえ」は、大学のボランティア活動で知り合った志道さんと実奈子さんが、「かわいそうな子どもを救いたい」と理想を掲げ同志となって立ち上げ運営する家。そこに暮らす祐希は、束縛され未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出した。十年後のある日、志道さんが突然迎えに来る。しらゆきちゃん、べにばらちゃんと呼ばれ、幼少のころから一心同体だった紘果を置いてきたことをずっと後悔してきた祐希は、二度と帰らないと出てきた「のばらのいえ」に戻る決意をするがー。
長崎の中学校で仲良くなった同級生のすぐりと気持ちがすれ違ったまま、親の仕事の関係でニューヨークに移住し、高校生となった一葦。激動する社会で悩み、恐れ、ふさぎ込みそうになる。救ってくれたのは、NYの高校でオタク友達と始めた“アカペラコーラス”だった。そして歌声は海を越えて、遠い長崎のみならず世界とも繋がっていくー。ニューヨーク在住の著者が、彼ら、彼女らの青春を色鮮やかに描くエバーグリーン小説。