出版社 : 光文社
侠客の父と、ネグレクトの果てに自死した母。彼は17歳で天涯孤独となった。喧嘩と女に明け暮れ、全財産6万円を握りしめ上京。そして、薬物に溺れ、どん底に堕ちたー。もがく男と、巡る人間たちに光をあてる、絶望と再生の物語。
大手製菓会社「マロン製菓」に勤めるタヘ、ウンサン、チソン。20代後半、独身、経済的余裕がなくワンルームで一人暮らし、業務評価はいつも「無難」ランクと共通点が多く仲が良い。あるとき、財テクに詳しいウンサンが仮想通貨・イーサリアムへの投資を始め、面白いように儲かるという。最初は懐疑的だったタヘとチソンも、今の給料では先が見えない!とイーサリアム投資を始めることに。3人は通貨価格のアップダウンに一喜一憂しながら、自らの人生を見つめていくことになるがー日本と同じく厳しい時代を生きる若者たちの、切実ながらも逞しい姿を描いた韓国の“ハイパーリアリズム”小説。
史上まれにみる出世街道を突き進んだ戦国武将・豊臣秀吉の魅力あふれる物語。織田信長の美濃攻めが始まる。斎藤龍興領の要衝、墨俣に一夜にして城をつくり、敵はおろか信長の度肝を抜いた藤吉郎の奇想天外な策略の数々とは?そして、いつもその傍には野心家の兄を支える弟、小一郎の姿があった。次々に加わる仲間たちと藤吉郎一家が、力を合わせて乱世を生き抜いてゆく!のっけから大興奮!歴史に新たな息吹を。異能の時代小説家、渾身の書下ろし!
外科と内科、両方の要素を併せ持ったジェネラリストそれが泌尿器科医です!御子柴記念病院の泌尿器科医・鮎川のもとには今日も多くの患者が訪れる。中には、羞恥心から嘘をついたり、不調の原因を隠したり、人に言えない秘密を抱えている人も多く…。泌尿器科ならではの多様な謎に真摯に向き合う鮎川。元ヤンキーの看護師長、忍者のようなソーシャルワーカー、美容家顔負けの皮膚科医、同期の救急科医など心強い仲間たちとともに病と事件の早期解決に挑む!
生きた、愛した、戦った。女たちが命を懸けて守り抜いたものとは。魂の叫びが聞こえてくる。時代小説の名手が描く、荒れ狂う世に翻弄された七人の女性たちの濃密な24時間。
ここ、「メゾン・ソレイユ」には、わけありな人ばかりが住んでいるの。…あら。あんたも入居資格は充分あるみたい。もしかして小説家の梅野優作の都市伝説を聞いてやってきたの?推理小説が好きな人も多いのよ、このアパート。あっちで事件、こっちで事件…管理人のわたしが休む暇もないんだから。何か悩んでるっていうなら、三階の心理カウンセラーに相談するのがいいわ。「眠れるようになる本」を紹介してくれるみたい。たしか、題名は『グッドナイト』だったはずよ。
国内トップの大学を卒業し一流企業に就職したものの退職、現在はフリーランスの翻訳者として慎ましく暮らす凛子。姪の莉緒は、読書と昆虫が大好きで論理的思考が得意だが、融通が利かずコミュニケーションに難がある、危うい小学生だ。莉緒の中学受験に伴走することになった凛子は、周囲の期待にうまく応えられなかった自分の半生を振り返るー。頭がいい女子だから、いくつもの幸せを受け取れなかった。そんな私が、彼女の背中を押していいのだろうか。
遺体の入った棺が、市内で次々に発見された。動機の見えない一連の殺人を繋ぐものは、現場に残された中国妖怪「地羊鬼」の名前のみ。新米刑事・八木沢は、オカルト担当を自称する警部補・林原とコンビを組み捜査を進める。だが、過去の連続児童誘拐殺害事件、密室変死事件との関連が浮かびはじめ、事件の全容はもはや人間の手に収まらないものになっていたー。
都会の片隅で人目を忍んでひっそりと暮らすひとりの女。何かから逃れるように、誰にも気づかれないように、孤独で単調な日々を送る。パチンコ景品交換所、連れ込み宿の清掃、惣菜店の裏方、訪問介護の現場。自宅も仕事も転々とするのは何か理由があるらしい。実は彼女にも、かつて幸せな暮らしがあった。仲のよい友人、家族との時間。充実した日々は、ある違和感から少しずつ壊れていく。そして、ついにある事件を発端に、彼女の人生は破滅するー。秘密を抱えた女が決意する、愛憎の果てにあるものとは。
人をゾンビ化する悪夢のウイルス・HSCCを殲滅するため、感染者を乗せた豪華客船クイーン・マム号が太平洋の孤島・黄血島近海に沈められてから約1年半。船を引き揚げ、QM号に残された最後の灰人(ゾンビ)を回収する極秘プロジェクトが動き出す。警視庁刑事部の巡査長・天城由羽は、QM号をともに沈めた海保・SST(特殊警備隊)の来栖光と黄血島へ向かう。島で出会った潜水士・菊田吾郎は、長年交流のない由羽の父親だった。母との離婚後、父へのわだかまりを抱えたままの由羽はー。極限状態にほとばしる慟哭!究極のゾンビアクションノベル再び!
リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク「金石」の幹部、高川が警視庁公安に保護を求めてきた。正体不明の幹部“徐福”が、謎の殺人者“黒石”を使い、「金石」の支配を進めていると怯えていた。「金石」と闘ってきた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、公安の矢崎の依頼で高川と会う。その数日後に千葉県で“徐福”に反発した幹部と思しき男の、頭を潰された遺体が発見された。過去十年間の“黒石”と類似した手口の未解決殺人事件を検討した鮫島らは、知られざる大量殺人の可能性に戦慄したー。どこまでも不気味な異形の殺人者“黒石”と、反抗する者への殺人指令を出し続ける“徐福”の秘匿されてきた犯罪と闘う鮫島。“新宿鮫”シリーズ最高の緊迫感で迫る最新第十二作!
親に偽装転入させられ、進学率の高いチョンミン洞の中学校に通うカンイ、裕福な家庭でモデルを目指すリーダー格のソヨン、チョンミン洞の貧民街に住むアラム。3人は家出を企て、ソウルに辿り着く。しかし、路上生活は厳しいもので、身も心も疲弊した少女たちは家に戻る。その後、自分が頂点に立つために人を貶めるソヨンの態度に、3人の関係は壊れていく。いじめは暴力にエスカレートし、やり場のない感情は暴走の果てにー格差、搾取など大人の加虐に晒されてきた少女たちは、痛ましい選択を繰り返す。最善を望んで最悪をたぐり寄せた、壮絶なる青春群像物語。第4回韓国文学トンネ大学小説賞受賞。
憧れの職場にいたのは、迷惑行為に無自覚な勘違い男。盗難騒ぎにストーカー、突き落とし。次々起こる事件を、コイツに解決できるはずがない!戦う女性に贈る、爽快ミステリ!
遠くない未来。残酷な格差と棄民により退嬰と衰亡に苦しむ、とある日本。瀬戸内の孤島にある「桜瀬女子高校」は今夜、伝統ある卒業の儀式を迎えていた。卒業生が夜を徹し友や海や孤島と語らう「卒業夜祭」の儀式を。真夜中の篝火と桜花の中、ひとり、またひとりと灯を掲げ校舎を離れゆく卒業生。だが校長と政府以外誰も知らない。この卒業夜祭の壮絶な真実を。卒業生のうち選ばれた7人だけが今夜、滅びゆく日本を、世界をそしてヒトを救う「侵略者」となることを。何も知らぬまま神と対峙させられる7人の少女らは、今夜を、世界を生き残ることができるのか?総伏線主義の正統派ロジック本格、至極の最終章。
埼玉県の大家族で育った日村天使は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子と知り合った。数年後、訳あり老人が長逗留する古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。天使は、投資家だという光子の指南で、生きるノウハウを学ぶことになるが…。