出版社 : 光文社
松木真桜→中学教師だったが、人間関係に悩み、塾講師に転身。指導者が教え子を殺害することは絶対に許せない。桧垣兵吾→学生の頃から塾でアルバイトを始め、大学卒業後、正社員に昇格。被害者の復讐を果たしたい。中森直哉→古参の塾講師。事件により塾長の心が壊れてしまうのを防ぎたい。川瀬奏音→上司のセクハラで前職を辞し、講師に。高島太一の罪が露見することで、塾の名声を傷つけたくない。須之内すみれ→別の塾にいたが、今の塾に引き抜かれる。愛する人に汚辱にまみれながら破滅してほしくない。だから、みんなが殺したい。目的は同じなのに、誰かが何かを隠している。あなたは、この結末に逆らうことができますか?
2002年、『双月城の惨劇』で長編デビュー。該博な知識と驚きに満ちたトリック設計、ゴシック・ミステリの香気をたたえた筆致で独自の地位を築いた。デビュー20周年に際して、未収録だった中短編をすべて収載する。
江戸時代に裁判は公事とよばれた。公事の当事者に手と知恵を貸す商売・公事師の駆け出し・辰次は、松代藩山手村から江戸に公事に来た村人代表の伊左衛門、三平、善六に、負けたら切腹してみせる、と大見得を切り、大金三十両の仕事を引き受ける。辰次が事情をよく聞けば形勢は山手村に圧倒的に不利で、しかも相手方の坂田町には謎の凄腕公事師・唐物屋がついているという。このままじゃ公事に負けて本当に切腹だ!世話焼きの昔馴染み・おつうに尻を叩かれたり、元大奥の奥女中のばあさん・藤波の手を借りたり、あの手この手で必死になる辰次に逆転の目はあるのか?歴史小説の名手が、お江戸の町で活躍する若い公事師の姿を軽妙に、人情味豊かに描くエンタメ時代小説の快作!
殺人鬼を追って日本から遠く離れたこの国に来た名探偵の君と相棒の俺。敵の使う治療手段のない毒で意識を失った君を連れて日本人数人で逃げ込んだのは、中世の古城に隠された五つの部屋「空中牢獄」だった。そこは、十六世紀の貴族・ドウによって恐ろしい不死身の魔物が召喚された場所だ。魔物は無敵で、不老で不死身だが、部屋に封印されていて部屋の外には出られない。その魔物が俺たちの前に突然現れた。瞬間移動のように消えては現れる魔物に、一緒に空中牢獄に入った人間が次々に殺されていく。俺は君を助けられるのか?魔術師・林泰広が仕掛ける空前絶後のマジック・ミステリ。
誘拐されたのは探偵。家族の危機を救うのも探偵。謎めいた依頼を受けたのも探偵ー誘拐犯に立ち向かうのも探偵。大野探偵事務所の所長・大野糺が誘拐された!?耳が良いのがとりえの助手・山口美々香は様々な手掛かりから、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫るが、その裏には15年前のある事件の影があった。誘拐犯VS.探偵たちの息詰まる攻防、二転三転する真相の行方は…。どんでん返しに次ぐ、どんでん返し!新世代本格の旗手が描く今年最大の逆転ミステリー開幕。本当に騙されていたのは誰だ?
愛犬が心臓病になった。手術費用は200万円。ペットショップでは売れ残った犬が鳴き、セレブが集う動物病院では、名医の診察を待つ行列ができている。-発見された人間の遺体の周りには、無数の犬の骨が散乱していた。動物医療の在り方を問う長編ミステリ。
ニヒルな同心、木暮信次郎×元刺客の商人、遠野屋清之介。消えた信次郎の謎。火傷の痕をもつ死体。泡銭を夢見る者たち。因縁の二人の行きつく先は?男と男の感情がうねり合う、これがあさのあつこの金字塔!
病気で死んだことになっていて、家族の誰も口にしなかったおばあさんが、突然巨額の資産を持って帰ってきた!?優秀な妹と違って、恋に破れ、仕事にもあぶれ、くすぶる僕は、おばあさんも“家族”なのだから仲良くしようとするが…。一族は、みんな“超・大金”を巡って右往左往するばかり。驚天動地のミステリアス・ホームコメディ!!
地下鉄に轢かれ、男が死亡した。この事件により、関連性不明の不審死は四件目だ。共通項は身体に残された「暃」の字。それは、本来は存在しないにも拘わらず、パソコン等では表示されるJISコード「5A73」の文字、即ち幽霊文字だった。刑事たちは、事件の手掛かりを探り、「暃」の解読に腐心する。しかし、その最中に五人目の死者が…。事件はどこまで広がるのか。そもそも、この文字は一体何なんだ?
音更風゛(おとふけぶう)は、「館」シリーズ全十作で知られるミステリ作家の一家にメイドとして就職した。だが一族は揃って不仲で、後を継ぐ兄妹間で殺人計画が持ち上がっている。風゛は殺人を止めるべく、計画を請け負った男・豺に接触し、死者を出さない「新・殺人計画」を考案。しかし計画当日、二人を嘲笑うかのように予想外の人物が殺されてしまい…。「館」という閉鎖空間で起こる殺人事件ー。本格ミステリの「王道」を逆手に取った怒涛の展開は全ミステリファン必見!
心臓移植経験者である南美希風と、その移植手術を執刀した恩人の娘である法医学者のエリザベス・キッドリッジ。行く先々で不可能犯罪に巻き込まれていく二人だが、愛知県のアメリカ領事私邸で起きた謎だらけの射殺事件、そして、琵琶湖のクローズドサークルで発生した二ヶ所同時の殺人事件は、今までにない危険な要素に満ち溢れていた。珍しく感情を露わに事件に挑む美希風…悲劇の連鎖を食い止める人知を超えた大胆な仮説とは!?
芸能界の暗部にも遠慮なく切り込んでいき、驚異的な持久力で“ターゲット”を決して逃さない写真週刊誌の編集者・立浪慎吾。人気タレント達のスキャンダルを暴き続ける目的は、因縁の芸能界のドンを倒すこと。協力者も現れるが、本当の味方かどうかわからない。真実を掴みとることはできるのかー。
台北の女子高に入学した「私」は、先輩の小游と惹かれ合い、戸惑いながらも付き合うことに。しかし、小游には親の無理解で入院させられていた元恋人・小莫がいた。台湾大学に合格した小游と小莫は、大学近くのアパートで同居を始める。一年後、「私」も台湾大学に合格するが、二人とは距離を取ってしまう。大学を卒業した小游と小莫は渡米し大学院へ。翌年卒業した「私」は台北で会社員になる。時は流れ数年後、小莫から国際電話で「心臓の手術をするため帰国する」と連絡があり…。今を生きる少女たちの揺れ動く青春の日々を、繊細かつ誠実に描き出した傑作。
廂の下、猫と身を寄せ合い暮らす青年、自らを“喰い残し”と名乗る顔の抉れた女、影のない美しき三姉妹の尼ー源平合戦の片隅で、長明の胸に小さな火を灯し、消えていった忘れがたき人々。八百年の時を超え、今、私たちの心を震わせる、儚く切ない物語集。
石神井公園の三宝寺池に浮かんだ不可解な水死体。肺から発見場所とは異なる水質の水が検出されたことから、刑事・片倉康孝は事件を“他殺”と推理し、被害者の男がSNSに残した写真を頼りに静岡県の大井川鐵道へ向かう。一方、父親を失った幼い娘は何かを知っているように、奇妙な言動で捜査を翻弄。さらに片倉の元妻、智子の「スピリチュアルなものを感じる」という言葉を発端として、事件の謎はさらに意外な方向へと迷走をはじめるが…。南アルプスの奥地と東京を結ぶ無数の糸口が捜査陣を撹乱する!
大学教授兼実録小説家の稲本浩三は、未解決の中里信治・美絵夫婦失踪事件を題材にした作品の取材を進めていた。事件の経過と残された謎を追う中、稲本は美絵がマルチ商法に関係していたことを知り、驚く。彼もまた類似のビジネスの罠に嵌まった苦い過去を有していたのだ…。奇しくも勤務先の学内では悪質なネットワークビジネスが問題視されている。この符合ははたして偶然なのか?言い知れぬ不安が日常を浸し始めた時、かつて稲本を騙した女の訃報が届く…。大学内に張り巡らされたネットワークビジネスの罠。被害者の学生に寄り添う男もいつしか底なしの闇に足を浸していた…。ひたひたと恐怖がにじり寄る圧巻のクライム・フィクション!
信長絶頂期。嵐で破壊し尽くされた離島に巨大南蛮船が漂着。船内には無数の棺、そして一人の赤子がいた。島の網元・利兵衞はその赤子を「姫」と名付け育てる。たちまち美しく育った「姫」は人外の存在であり、特殊な能力が備わっていた。利兵衞の小さな夢を叶えるべく、「姫」は自らの力で支配者たちを操り、異形の仲間と旅をし、各地で凄絶な戦闘を繰り広げていくー。「姫」とは何者?日本で何を為そうとしているのか?