出版社 : 光文社
読売屋を営む水月天一郎たちの元へ、南町奉行所の同心が読売の種をもってきた。吉原の遣手で「鬼婆あ」と恐れられるお稲が病に倒れ、武家に里子に出した息子に会いたがっているという話だった。「鬼の目にも涙」という読売種を調べ出したが、とんでもない悪事が発覚。天一郎たちは、吉原に巣くう闇と対峙する。江戸情緒と爽やかさ満点の人気シリーズ第六弾!
不動産会社の営業で訪れた家の主人が、小学生の頃の自分を知っているという。驚いた自分にその元教師が語ったのは、なぜか二十年前に起きた拉致事件の真相を巡る推理だった。当時の記憶が鮮やかに蘇る…(「沙羅の実」)。長い日々を経て分かる、あの出来事の意味。記憶を遡れば、過去の罪と後悔と、感動が訪れる。謎が仕組まれた、極上の「記憶」を五つ届けます。
北の街にすむ学術論文執筆代行業者「代書屋」ミクラは、ひそかに想いを寄せる若い助教の研究室を訪ねる。しかし彼女は消えていた。すわ失踪、と思うもじつは、研究の詰めの調査のために南の巡礼の島・辺路島に向かったらしい。はかなげでほうっておけない、だから愛しい助教。彼女の研究はしあわせの正体を心理学的に解明すること。手がかりは助教の残した意味不明の走り書きのみ。ミクラは愛車・彗星号を質入れした旅費で辺路島へ向かった。島では優勝者がしあわせになれるという春祭り、別名・すごろく祭りがはじまる。果たしてミクラにできるのか、全島を舞台とした巨大すごろくに、人間駒となって参加して、助教を探しだすことがーしあわせになることが。
大学を卒業し、所長と同期社員ひとりだけの小さな私立探偵事務所に就職した松代。ある夜見た夢の中で、彼は城の前に立っていた。城内には、“夢の中の探偵事務所”所長を名乗るレミニセンスという若い女性がおり、「これが真相です」と赤い鳥を出現させ、「彼女が嘘をついているのです」と謎めいた言葉を口にする。翌日、事務所の依頼人の女性が、「今朝、職場の前にあるアパートで火事が起きた」と話す。一年間で四回、同じ部屋から出火しているというのだが、松代がアパート前で聞き込みをすると、火事のことは誰も知らないという。「嘘をついている」のは彼女なのか?
大阪ミナミの雑居ビルにある、「ビンテージ&アンティークショップ アシュリ」。アメリカのミッドセンチュリー家具を中心とした西洋古家具店だ。ふと訪れた女子大生の季子は、店頭にあった猫のブックエンドを誤って壊してしまったのをきっかけに、アルバイトをすることになった。時を経た家具に囲まれた店は落ちつくけれど、店長も来客もなんだか謎めいていてー使い込まれた家具が呼び込む、奇蹟によく似た物語。
1970年ー新宿。ナポレオンヘアのフーテン族、深夜営業のジャズ喫茶、東口のグリーンハウス…。強烈なカルチャーとの出会いが、大学生の僕の価値観を変えた!アラウンド’70の新宿を憶う昔懐かしい7つの青春小説。
妖しい森で道に迷った騎士フルトブラントは、湖の岸辺に立つ一軒の漁師小屋にたどり着く。そこで出会ったのは、可憐にして妖艶、無邪気で気まぐれな美少女ウンディーネだった。恋に落ちた二人は結婚式をあげるが…。水の精と人間の哀しい恋を描いたドイツ・ロマン派の傑作。
八代将軍・吉宗の命を受け、竹姫を継室とする根回しのため京へ上った御広敷用人の水城聡四郎。その帰路、新たな吉宗の命で尾張名古屋に寄った聡四郎は、尾張徳川の「秘事」に触れる。御三家筆頭の運命を決める事実を握った聡四郎に、新たな刺客が放たれた。未曽有の危難を乗り越えるために聡四郎がとった秘策とはー。大人気を誇るシリーズ、待望の第十弾。
急増する野生動物による被害。狂った生態系のバランスを取り戻すため、中国からオオカミを移入し八ヶ岳に放つ計画が持ち上がった。野生鳥獣保全管理官の七倉航もプロジェクトに携わることになる。反対派との対立や中国奥地での過酷な現地調査、政治家の利己的な思惑…数々の困難を乗り越え、計画を実現できるのか!?自然と人間が織りなすダイナミズムに満ちた冒険小説!
医師やナースの間で「胃がんなら、この人」と信頼される、消化器系内視鏡手術のエキスパートがいる。その名は山崎ぶたぶた。大きな病院に呼ばれては手術をする名医だが、その“見た目”から、たまに執刀を断られることもあるという。その理由は、いったいー?病院を舞台に巻き起こる、悲喜こもごもの四つのドラマ。おまけのショートショートもついてます。
大島不動産販売に入社した若宮恵美子は、前社長の遺児で難病に苦しむ大島雅弘の世話係となるも、突然異動を命じられる。そこは現社長の高丸が、雅弘を追い落とそうと画策して新設した、クレーム対応専門部署だった。途方に暮れる恵美子の前に、探偵を名乗る男・犬頭光太郎が現れて……。次々押しつけられる難題を、破天荒に解決するユーモアミステリーの傑作!
髭面の破天荒なオヤジ・伸太郎、通称髭太郎がぼろアパートで没頭するのはヴルスト(ソーセージ)作りだった!半端な生き様を改めるため受験勉強に励む勇人は、下の階に住む髭太郎にペースを乱され、挙げ句の果てに彼の作業を手伝う羽目となる。ところが徐々にその奥深さに引き込まれて…。目的に向かって突き進む二人の熱気とヴルストの魅力が迸る痛快青春小説!
二十九歳の桐子は、求婚してきた吉森と萩の温泉に来ていた。だがその夜、桐子は宿を抜け出し別の温泉宿へと向かう。そこで待っていたのは過去五年間、秘密の関係を続けてきた妻帯者の湖島だった。桐子の胸に秘められた、ある決意とは…。(表題作)秘密の愛に彷徨う女たちが最後にとった驚愕の行動ーミステリー界に大きな足跡を残した著者の魅力溢れる傑作短編集。
警視庁捜査一課刑事・山科正人には誰にも話せない秘密がある。休暇先で強盗グループに遭遇した女性を助け、一度きりの秘めた関係を持ったのだ。帰京して殺人事件の捜査本部に加わった山科は新宿署の牛尾刑事とペアを組む。捜査が進展し、自身の秘密と事件との関わりに気づき、「悪の本性」に目覚めたことを自覚した山科。彼を疑い始め苦悩する牛尾ー。迫真の傑作推理!
中高年登山者や山ガールの増殖に加えて、今年二〇一六年から八月十一日が祝日の“山の日”となり、さらに加熱が予想される登山ブーム。だが、山は俗世間を離れた特殊な場所ー異界あるいは密室として、多くの物語の舞台になってきた。本書は厳しい大自然の中で繰り広げられる謎と殺意と愛憎に満ちた山岳ドラマを八編収録。どれも山の魅力溢れる傑作揃い!
付火の罪で倅が火付盗賊改に捕まったと、御用宿「橘屋」を手伝うおふくが主・お登勢と雇われ人の塙十四郎に訴えてきた。倅の無実を信じる母親おふく。十四郎は倅の忠太が付火の真の下手人かどうか調べ始める。すると、忠太がやっていないという証言が続出。冤罪は晴れるのか。しかし、ついに刑の日がー。親子の情を切なくも愛しく描いたシリーズ第三弾。
両国・米沢町一丁目の裏長屋に住むお糸が、十年前に死んだ一人娘を「自分が殺した」と自身番に訴え出る。心配した杢之助たちはお糸を宥めるが、時を同じくして町内で人殺しが起こる。あこぎな金貸しを恨んでの犯行かと思われたが、お糸を巻き込み、事態は意外な方向に転がってゆく。町の安寧を守るため、人に言えない過去をもつ杢之助が活躍する好評シリーズ第二弾。
辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り…。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく!恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。