出版社 : 光文社
「また買ってしまった」。何かに導かれたかのように古書店に入り、毎回、本を手にして店を出てしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は目眩く悪夢へと引きずり込まれ、現実と虚構を行き来しながら、背筋を寒からしめる奇妙な体験をしていく…。古書蒐集に憑かれた人間の淫靡な愉悦と悲哀と業に迫り、幻想怪奇の魅力を横溢させた、全六編の悪魔的連作短編集!
岸谷亮一は自動車販売会社の営業マン。三十歳の誕生日に上司に誘われ、初めてSMショーの店を訪れる。店のママで、“女王様”の姫花から個人的に誘いを受けた岸谷は、彼女に導かれるまま上流階級の秘密の社交界へと踏み入っていく。平凡な生活を送っていた男の運命が動き始めた…。青春官能小説をリードし続ける著者が、官能の海を旅する青年を瑞々しく描く!
長距離トラックでの仕事を終えて、健二が帰宅すると、マンションの部屋はスッカラカン。妻の香織が家財道具一式を引き払って出て行ったのだ。健二の実家に二歳半のひとり娘を預け、消えた妻。大型タンクローリーの助手席に乗せた愛娘とともに、仕事をこなしながらの妻探し。香織が出て行った事情とは!?愛しの妻と復縁は出来るのか!?笑って笑って、泣ける一冊。
(サル)猿田(コ)骨崎(リ)リサコ、三人のメンバーによる「便利屋」には、「便利屋」の範疇を超えた依頼が舞い込む。失言を恐れる議員を辞職の危機から救い、自殺志願の少女に思いとどまるよう説得。行方不明者のブログ代筆や替え玉受験、首の切断まで。無理難題が次々と押し寄せる!破天荒トリオが巻き込まれる七つの短編ミステリーと五つのショートショート。
仮面兵団に侵攻されたシンドゥラ国が援軍を求めてきた。アルスラーンは、ナルサスの助言を受け、敵の意表を突く策をとる。それは、北側から迂回し、チュルク国境を突破するというものだった。作戦は功を奏し、パルス軍は勝利の進撃を続けるのだが…。ついに迎えるヒルメスとダリューンの一騎打!さらにファランギースの悲しい過去が明かされるシリーズ第九弾!
将軍の毒味役を務める矢背蔵人介は、実父・孫兵衛の料理屋で孫兵衛の元上役である天守番之頭・中村勝之進と出会う。しかし、中村は何者かに斬られてしまう。その裏には薩摩の影がちらつく。なおも死の背景を探る蔵人介の前に、父・孫兵衛の知られざる過去が浮き上がり、自らの「出生の秘密」も明らかになってくる…。衝撃のラストに落涙必至の人気シリーズ第十七弾。
御広敷添番として四代将軍家綱の側室を刺客から守った無住心剣術の達人、工藤小賢太。その後、役を解かれて小普請入りすると、妻を娶り子どもたちとの穏やかな生活を送っていた。元号が元禄に変わり、跡継ぎのいない綱吉の将軍継嗣を巡る争いが勃発すると、またも小賢太は巻き込まれることにー。前巻『幻影の天守閣』刊行から十一年。著者渾身の書下ろし「続編」。
製薬会社のMR・友永孝は見知らぬ男女から電車内での痴漢の疑いをかけられて駅から逃走、駅前交番の新人巡査・新田真人に逮捕された。友永は無実を訴えるが、聞き入れられず留置場へ。後日、真人は被害者の女子大生と目撃者の中年男に疑いを抱き、老弁護士・五味陣介に協力を求めるがー。三人は、想像以上に深い事件の闇へひきずりこれまていく。留置場から拘置所、そして法廷へ。仕組まれた冤罪との闘いを徹底した緻密さで描く、異色の警察小説!
水野剛太、25歳。高校卒業後、ロックにのめり込むが芽は出ない。バイト先のコンビニも閉店の憂き目にー。ある日、偶然入ったヤンキーバーガーで、フェラーリを乗り回す社長にスカウトされ、有頂天になる剛太。しかし、それが悪夢の始まりでもあった。超長時間労働で残業代はスズメの涙、パワハラは当然…。さあ剛太、これからどうする?
人々は彼を、愛情をこめて「白痴」と呼ぶ…。この最高の「恋愛小説」はペテルブルグへ向かう鉄道列車の中から始まる。スイスからロシアに帰る途中のムイシキン公爵と父親の莫大な遺産を相続したばかりのロゴージン。2人の青年が出会った絶世の美女、ナスターシャをめぐる熱き友情と闘い。
結婚を控え、手相占いに翻弄される「アーサー・サヴィル卿の犯罪」。生真面目で頑張り屋の幽霊が棲みつくお屋敷をアメリカ公使一家が買って一騒動「カンタヴィルの幽霊」…。長詩「スフィンクス」ほか短篇4作に、出獄したワイルドを迎えた親友の女性作家エイダの「回想」を含む佳作を収録。
ひとり、入ったら、ひとり、消えるー。年金生活の貧困シニアが入居する「加賀美荘」は「殺人アパート」だと囁かれていたー。FBIで捜査の訓練を受けた上條麗子刑事は、犯人像作成のプロフェッショナル。日本で初めてME(メディカル・イグザミナー)の資格を取った一柳清香特別検屍官。警視庁行動科学課の美人コンビが事件の真相に迫る!人気シリーズ第3弾。
県警捜査四課のエースだった片桐誠一は、情報漏洩の疑いで左遷された。十年後、濡れ衣を晴らす機会が訪れるが、上司から拳銃のやらせ捜査を命じられ、かつての捜査協力者だった暴力団幹部の刀根剛に協力を求める。しかし刀根は組を追われる寸前で、誠一の息子、遼平は職を失い多重債務に苦しんでいた。三人は巨大組織を相手に絶体絶命の窮地を脱出できるのか!?
「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣ー次々に住人が引き起こすトラブル。そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは…。希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。
いまや真朱の街は、妖怪“濁”が持つ無数の腕によって完全に包囲されていた。人々の憎悪を糧に強大化し続ける“濁”。県警の忌島らの奮闘もむなしく、力の弱い妖怪や人間たちが次々とその餌食にされていった。拝み屋・播磨遼太郎と百目ら妖怪たちは、ついに手を結び、最強最悪の敵に立ち向かってゆくー。凄絶な最終決戦の結末は!?人気シリーズ待望の完結編!
葬儀ディレクター・倉木和利の前に現れた不審な男は、いきなり「私の葬式をあげて欲しい」と切り出した。この男によって「ダビデの心臓」なる秘密グループに巻き込まれた倉木は、そこが一流の人物のみで構成され、自殺をゲームとして楽しむ集団だと知る。死と生の狭間を楽しむ倒錯した快楽の果てに倉木が見たものはー。極限の生を描いた話題作が文庫化
東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。校地買収で功績を上げ専務理事にのし上がった石田謙一だが、彼には大島圭蔵理事長の椅子を奪うという、さらなる野心があった。理事長と女性職員との関係を握った謙一は、そのスキャンダルを暴き理事長失脚を図るが、彼自身もまたバーのマダムとの情事や一人息子の非行という秘密を抱えていた…。
大島理事長と事務員・秋山千鶴子の関係を訴える投書を腹心の鈴木事務局長に偽造させ、新学長招聘も画策する謙一。一方、大島は謙一を懐柔すべく料亭に接待した。しかし席上、話は意外な展開を見、二人は互いの牙をむき出しに。謙一の解任を画策する大島。乱れ飛ぶ怪文書。学園経営権をめぐる激しい攻防の果て、遂に緊急理事会は招集された。教育界の腐敗をつく問題作!