出版社 : 光文社
著者初の書き下ろし自伝「勤労」小説。大学生時代、3カ月の会社員生活、原稿用紙に鉛筆と喫茶店、バーの日々。あのころのジャズ・歌謡曲・ロックと、作家以前の「僕」の物語がいっぱい。登場する121枚のレコードジャケットをオールカラーで収録。
本来は農民や職人むけのおもしろくてためになる、実用志向の読み物だった「暦物語」。ブレヒトの本作品は、老子やソクラテスやカエサルなどの有名な人物から無名の兵士、子どもまでが登場する“下から目線”のちょっといい話が満載のミリオンセラー短編集だ。ブレヒトの魅力を再発見する!
高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。人気女性誌「VE RY」連載時から話題沸騰の衝撃作!
東北の港町・仙河海市の中学校で教師を勤める和也。担任するクラスに転校してきた早坂希は、問題を抱える少女だった。朝帰りの噂を聞いた和也が早朝、様子を見に行くと、希のジョギングする姿が。和也は、顧問を務める陸上部への入部を希に勧めるがー。多感な中学生と若き教師の心温まる物語。東日本大震災以降、仙河海市を舞台にした著書の先駆けとなった作品。
定年間近の石神井署の刑事・片倉康孝は、孤独死した小切間清という老人の捜査を担当する。が、部屋には身元を示すものは何一つない。さらにスーツケースから古びた白骨死体が発見される!部屋にあった写真の女か?遺留品をたよりに柳ヶ瀬に飛んだ片倉は、女が舞台女優だったこと、小切間清が伊勢湾台風で亡くなっていたことを突き止めるー。哀切さが心に沁みる傑作。
総武線で隣を並走する電車に乗っていた、自分に瓜二つの男。後日その男と再会した俺は、気づけば犯罪者にさせられていた。顔が同じことを利用して周到に仕組まれたらしい冤罪。あいつはいったい誰だ?なぜこんなことを?日常を突然奪われた俺の、必死の逃走劇が始まった。自分から過去から警察から、逃げて逃げて逃げまくれ。疾走する新感覚のエンタメ小説。
街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」)何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」)事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは?全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。
如月七、通称セブン。都内M署の女性刑事だ。管轄の湯島にあるラブホテルで女子高生が殺された。絞殺され、非常階段の踊り場に吊されていたのだ。防犯カメラの映像には、彼女とホテルに入った後、独りで去る男の姿が。被害者は、秋葉原の街で特殊なアルバイトをしていたらしいのだが…。美貌の女性警官が悪魔のように狡猾な犯人を追う、衝撃のシリーズ第一弾!
六歳の真子のもとに、ある日子猫がやってくる。みゃーと名付けられた子猫は、しきりと人間に話しかけてくる。話すことが苦手だった真子は、みゃーとの会話を大切にしながら成長していった。だが真子が大学に進学したときから、その関係に変化が…。(「ネコの時間」)精一杯繋がろうとする人と猫。幸せも哀しみも、猫からもらったたくさんの想いが胸を熱くする感動の七編。
テレビのお宝鑑定番組に、大坂城落城の際に千姫が頭にかぶったという打かけが出品された。持ち主は千姫の末裔を名乗る、気品に満ちた美女だった。彼女が出品した打かけに、買いたいという申し出が相次ぐ。だが、彼女に近づく者は、次々と悲惨な死を遂げていった。謎めいた美女の周囲で続く殺人事件ー十津川が解き明かした、そのあまりにも哀切な真相とは?
大手都市銀行元役員から消費者金融の最大手・富福に迎えられた大宮紘平は、資金調達や、銀行の系列化阻止に辣腕を振るい、社長に昇格する。が、絶対君主として君臨するオーナー会長・里村栄一に阻まれ、経営の多角化もままならない。一方、過剰融資や貸し倒れの増大など、社内外には問題が山積みー。消費者金融の暗部を抉り出し、その後の凋落を予言した傑作経済小説。
為永春水、恋川春町、式亭三馬、山東京伝など。どこをとっても個性的な江戸の戯作者たちは、娯楽を求める庶民の熱狂的支持を得、笑いと嘘で社会・文化を支えた。権力におもねることなく物語を書いた戯作者たちと、彼らを取り巻くちょっとハミ出た市井の人々の紡ぎ出すドラマを、史実を踏まえて生き生きと描き出す。江戸の空気感たっぷり、粋な井上節が炸裂、痛快。
紀伊勝浦藩の御家騒動に仕掛けられた、老中の罠を切り抜けたジョゼフ按針。共に戦った松平慶次郎に従って長崎に赴き、キリシタンたちの動静を探っていた。一方、黒幕の老中は、ガレオン船団を率いるポルトガルの代表と密会していた。島原で高まるキリシタンたちの緊張の裏には、老中とポルトガル人のさらなる陰謀が!破天荒な旗本の活躍を描く時代活劇、完結編!
小普請の御家人ながら辻占をしている鏑木左京之介。ある日、吉原の大門に屍体がはりつけられた。その横には、左京之介への意趣返しなのか、「腹を切れ」との文言が記されていた。その後も続く殺人に業を煮やした町方から、七日以内に下手人があがらなければ切腹しろという要求を突きつけられ、左京之介、絶体絶命の危機。はたして下手人はー。好調シリーズ、第三弾。
長野オリンピックから18年。今こそ語ろう。あの開会式で何があったのか。ライフル射撃のオリンピック特別訓練員としてモスクワ五輪をめざしていた長野県警所属の神稲貴之。テルアビブ空港乱射事件の被疑者として逮捕され、釈放後、地元の自動車整備工場に勤め、逼塞した生活を送っている荻窪克巳。ふたりの運命は、戦後の混乱期の謎をめぐって、奇妙に交錯し始めるー。平和の象徴オリンピックが始まる日、昭和の闇のひとつが、清算されようとしていた。
1930年1月、霧深きロンドン。米英仏伊、そして日本の五大海軍国によるロンドン海軍軍縮会議が始まろうとしていた。世界恐慌が吹き荒れ、緊縮財政と戦争回避が叫ばれているなかではあったが、各国それぞれの思惑と輿論を抱え、妥協点を見出すのは容易ではない。日本の全権団長は若槻礼次郎。随員には雑賀潤外務省情報部長がいた。難航を極める交渉の果て、雑賀は起死回生の案を捻り出すがー。誇り高き外交官の活躍と、統帥権干犯問題の複雑な経緯を、精緻かつ情熱的に描ききった、今こそ読まれるべき傑作。
ここから出て生きていける可能性があるなら、それが藁だとわかっていても、俺はすがるしかないんだ。犯罪性向を持つ邪悪な人間「欠落者」を選別できるようになった社会ー。欠落者は脱出不能の人工島に隔離されている。BDことセイもその一人。だがセイは、自分が残虐極まりない欠落者たちとは違うことを知っている。なぜこんなことに?どうすれば、分かってもらえる?自由とひきかえに得た特異な能力で、島に逃げ込んだ凶悪犯を狩るセイに、密命が持ち込まれる。報酬は言い値。そればかりか恩赦で島を出られるというのだがー。
中学3年生の緒方櫂は、従兄妹の未来を奪った加害者に復讐を誓った。自分の左目は見た者を石にする“邪眼”だと称する高橋文稀は、15歳の誕生日に自殺する計画を立てた。夜の公園で出逢った二人は、文稀が死ぬまでの間、櫂の復讐に協力する契約を結ぶ。予行演習として、少年法に守られ罰せられない犯罪者たちを一人ずつ襲っていくが、彼らの制裁は次第にエスカレートしていきー。復讐の意味を問いかける衝撃作。