出版社 : 光文社
本格ミステリーの古典から最先端までを、上から下から、後ろから、そして真正面から、斬新に独自の視点から痛快に切りまくるミステリー・ファン垂涎の異色作。生け贄となったのはーノックスの十戒、アリバイ崩し、密室殺人、逃走経路の謎、叙述トリック、レッドヘリング、図像学、ヴァン・ダインの二十則、後期クイーン問題、正確な死因、お茶会で特定の人物だけを毒殺する方法、二十一世紀本格、「見立て」の真相、バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決ー。初心者からマニアまで大〓(べし)見警部が満足させます!
仕事に生きてきた洋美と専業主婦のリラは、乳児の予防接種会場で再会した。同級生だった彼女がまさか自分と同じ時期に同学年の男の子を産んでいたなんて。頼もしいママ友ができたと好ましく思っていたが、こども同士の諍いをきっかけに、悩み苦しみ傷つき葛藤する。やられるばかりの息子が歯がゆい、乱暴な息子を愛せない。女たちの心の叫びを描く、著者会心の書下ろし長編。
警視庁の人寄せパンダと思われたドットジェイピーだが、ひょんなことから誘拐事件を解決し、一躍世間の脚光を浴びる。だが、その人気を快く思わない人物がひとりードットジェイピーに公衆の面前で恥ずかしい姿をさらされた篠原都知事だ。都知事はドットジェイピーの人気を失墜させ、解散に追い込もうと作戦を練る。そして新メンバーと称した刺客に、優秀な兄妹警官を送り込むが…。
今世紀、世界が最も注目する「水」ビジネス。騒動に巻き込まれ心に傷を負った浄水技術研究者・西野俊之は、発作的に失踪、高知に辿り着き、無愛想な老主人・源さんの焼き鳥屋に住み込みで働き始めた。しかし、店に、街に、川に、不審な者がー。彼らの目的は?源さんの秘密とは?挫折した男に何が出来るのか?水資源利権の闇に徒手空拳で立ち向かう、人生の苦みを知る大人たちの意地と恋の行方。
東京・国友塾大学で教鞭を執る村主周一郎准教授は、人並みはずれた西洋史オタク。講義内容に合わせ、襟付きマントやバルーンパンツなど、往時の華やかな衣装で熱弁をふるう。ある日、大学構内にある小劇場で、OBの演出家・長谷川の死体が発見される。死亡する直前に彼と会っていた村主は、そのとき受け取った原稿に謎の数字が書かれていたことに気づく。事件を知り、駆けつけた元教え子・橋下純香とともに、村主は真相究明に乗り出す。「歴史」に迫るように、「生きた人間が起こす事件」の真相を探る、歴史をこよなく愛する男の推理とは?血塗られた伝説、怪しげな宝探し、不可思議な暗号…横溝賞作家が贈る、知的でユーモアあふれる連作ミステリー。
ガソリンスタンドでバイトをしている野村修司は、アパートの新聞受けに謎のメモがはさまれていることに気付く。はじめは意味のわからない内容だったが、翌週以降も届くメモを見ると、それは小学校時代に起きた不幸な出来事を指しているようだ。仲間と拾った子犬を内緒で飼っていた秋葉ビルの『屋上の屋上』から、台風の日に仲間の一人、オッタが転落して亡くなったのだ。バイト先のミステリー好きの店長にメモを見せると、オッタの死に不審を抱き、メモの主を突き止めようと言い出すのだがー。懐かしくてほろ苦い、小さなメモが巻き起こす“友達の死”を巡る追憶のミステリー。島田荘司選第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作。
上流階級の令夫人であるコニーは、戦争で下半身不随となった夫の世話をしながら、生きる喜びのない日々を送っていた。そんなとき、屋敷の森番メラーズに心奪われ、逢瀬を重ねることになるが…。地位や立場を超えた愛に希望を見つけようとする男女を描いた至高の恋愛小説。
数カ月続く不漁のために周囲から同情の視線を向けられながら、独りで舟を出し、獲物がかかるのを待つ老サンチャゴ。やがて巨大なカジキが仕掛けに食らいつき、三日にわたる壮絶な闘いが始まる…。決して屈服しない男の力強い姿と哀愁を描く、ヘミングウェイ文学の最高傑作。
大規模な都市開発プロジェクトに携わる爽香は、慣れない交渉に苦戦気味。そんな折、関連企業の社員・小林京子が二人組の男に誘拐される場面に遭遇し、間一髪救出する。そして彼女の口から語られた厄介な社内問題。親族の死などの私生活に追われながらも、思いとは裏腹に爽香は危険な騒動に巻き込まれていく…。登場人物たちが年齢を重ねる大好評シリーズ第27弾!
高校の写真部に在籍する四人の少女、ミラ、カオリ、秋穂、シズ。それぞれの目線=ファインダーで世界を覗く彼女たちには、心の奥に隠した悩みや葛藤があった。相手のファインダーから自分はどう見えるの?写真には本当の姿が写るの?-繊細な思いに惑う彼女たちの前に、写真に纏わる四つの謎が現れる。謎を解くことで成長する少女たちの青春を、瑞々しく描く。
暑くけだるい夜。晴子の体は甘い匂いを振りまきながら熟し崩れていく果実のようだった。年収二千万円の企業役員でありながら、晴子は週末だけ体を売っている。十代から憧れていた和也。運命の男の転落を知り、彼女の心の中で何かが壊れたー。十七歳で初体験。和也と一夜だけ体を重ねた二十四歳。婚約者と別れた三十七歳。そして…。流転する女の人生を描く!
渋沢瑛一は、卓越した智恵で中小企業を立て直す信金マン。ある日、瑛一の父・敏之が盲腸で倒れた。入院先の病院では妙な噂が…。屋上から身を投げた新人の看護婦の幽霊が出るというのだ。彼女の死は「自殺ではない」という投書をきっかけに、瑛一は事件の解明に乗り出す。さらに、カリスマ教授の愛娘が誘拐された。恋人の婦人警官・千春とともに瑛一が謎に迫る!
殺人傷害事件で服役していた真壁が出所した。だが、真壁が命がけで殺そうとした男・王は、藤野組と組む中国人組織のボスとなっていた。一方、高級車窃盗団を追う鮫島は、孤独な老人・大江と知り合う。大江に秘密の匂いを嗅いだ鮫島は、潜入した古家で意外な発見をしたー。過去に縛られた様々な思いが、街を流れる時の中で交錯する。心に沁みるシリーズ第八弾。
夏目影二郎の住む長屋に、国定忠治の使いという男が現われた。子分のほとんどを失い、孤高の逃避行を続ける忠治からの伝言だというこの男に従って、影二郎は忠治のあとを追う。やがて、影二郎の前に忠治の姿と捕り方である八州廻りの姿が。忠治の運命は、そして、父から忠治を討つ命を受けた影二郎の決断は…。手に汗握る展開が詰まった決定版シリーズ第十三弾。
将軍の御社参を前に緊迫する日光で、死んだはずの国定忠治が目撃された。大目付の父の命で、その真偽の確認に日光へ向かう夏目影二郎。しかし、影二郎の首にも奨金がかけられていた!目の前に次々と現れる凄腕の刺客。そして、ついには妖しき京からの使いまで現れる。忠治は生きているのか。そして、影二郎の運命はいかにー。決定版シリーズ、大詰めの第十四弾。
南町奉行所の元定町廻り同心でいまは船頭となった沢村伝次郎。かつて同心のときに世話になった先輩の酒井彦九郎が何者かに惨殺された。伝次郎は悲しむ暇もなく、下手人探しに奔走するが、真相はなかなか見えてこない。下手人は何者か?そして、彦九郎が殺されなければならなかった理由とは?情に厚い伝次郎の正義の剣が煌めく。人気シリーズ、待望の第十弾!
旗本の息子ながら読売屋“末成り屋”の主となった水月天一郎の元に、向島で無理心中があったとの報せが入る。心中したのは、両替商の手代と御家人の娘。調べ始めた天一郎の脳裏に疑念が浮かぶ。なぜ二人は心中をしなければならなかったのか。謎を追う天一郎たちに刺客が迫る。人気急上昇中の著者、渾身の痛快シリーズ第四弾。正義の筆と華麗なる剣が「悪」を断つ!
竜吉は二歳で、角兵衛獅子の親方に売られた。十七歳の時に逃げ出し、軽業を活かし盗人となった。あれから八年、かつて思いを寄せた親方の娘、おようが婚家から出奔し、追われているという。おようの行方を探る竜吉に骨董屋の安五郎が近づく。火盗改めの役宅での夜働きと引き替えに、おようと会わせるという。安五郎の正体を怪しむ源蔵。竜吉は思いを遂げられるのか!?