出版社 : 光文社
朝顔売りで糊口を凌ぐ作次は、変化小僧からの施しを待ち望む貧しいひとたちの声を耳にして決意する。「俺もやってみよう」。偽変化小僧となった作次は、残虐な盗賊・つむじ風一味が奪った二千両の隠し場所に気付く。五百両を掠め取った作次に不審な男たちが…。偽者の正体に気付いた変化小僧・仙太郎は般若同心・柚木源九郎とともに、つむじ風一味を追い詰める!
京の料理茶屋「末広屋」に年季奉公にでることになった百姓の娘、お菊。寂しさと不安のなか、有名料理屋の息子の才次郎、その腰巾着の市松、武家の息子の小仲太、生真面目な又七ら同輩とともに、日々懸命に働く。お菊はやがて、又七と心を通わせるようになるが…。人生に立ちはだかる困難や失敗にめげず、未来に向かって真っ直ぐに生きる若者の姿が心を打つ傑作時代小説。
小普請組旗本・能登川清兵衛は、義母と妻に頭が上がらない毎日だが、彼には探索・暗殺者という裏の顔があった。御側衆・上野久唯から持ち込まれたのは、権勢を誇る小納戸頭取・大原石堂の殺害依頼。石堂の周囲を探るうち、清兵衛は幾重にも巡らされた陰謀の匂いを嗅ぐ。小者の峰介が作った、珍妙で抜群に使える道具の数々を懐に潜ませ、清兵衛は敵陣に乗り込む!
御家人の次男坊・杉野伸吾は、立派な戯作者になるのが夢だ。だが、師匠には、真面目すぎて話に艶がないと叱られてばかり。そんなとき、役者まがいの美貌を持つ謎の男・夕星と知り合う。兄さんと懐いてくる夕星は、伸吾の長屋に転がり込んできて…。「お助け屋」の仕事に巻き込まれた伸吾を待っていたのは、波瀾万丈の日々だった!爽やかで温かな人情活劇。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介。いまやその剣の腕は幕臣一といわれるが、いまから二十五年ほど前、道場で鎬を削った友・小暮清志郎がいた。火盗改同心にまで出世し順風満帆だった小暮はなぜか突然、上士を斬って出奔した。はたして何があったのか。調べ始めた蔵人介の前に、とんでもない「悪事」が浮かび始める。人気爆発の鬼役シリーズ上、かつてない衝撃の第十二弾。
鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!
さまざまな夫婦のかたち。立て続けに起こる事件と、ちらつく行方知れずの親分の影。文治とお加代がつきとめた驚くべき真実とはー。巨漢の十手持ちと知恵者の看板娘に、襲いかかる試練。俊英渾身の傑作時代推理長編。
大好きな作家の最新刊。発売を楽しみにしていたある日、中学二年生の野々香は、学校の手洗い場の角で忘れ物の本をみつける。好奇心から書店のカバーを外してみると、それは、まだ発売されていないはずの最新刊だった!野々香と、クラスの図書委員・高峯秀臣は、本の持ち主の正体と、どうやって手に入れたかを探り始めるー。大切な本との出会いをめぐって巻き起こる、賑やかでやさしい物語。
法律を学ぶためパリに出た青年フレデリックは、帰郷の船上で美しい人妻アルヌー夫人に心奪われる。パリでの再会後、美術商の夫の店や社交界に出入りし、夫人の気を惹こうとするのだが…。二月革命前後のパリで夢見がちに生きる青年と、彼をとりまく4人の女性の物語。19世紀フランス恋愛小説の最高傑作、待望の新訳!
「最後の始末旅」から七年。穏やかな日常に戻った夏目影二郎の元へ、国定忠治の子分・蝮の幸助が現われた。久しぶりに上州の縄張りに戻った忠治が中気で倒れたという報せに、影二郎は幸助とともに再び上州へ向かう。もはや捕縛寸前ながら逃げまどう忠治、それを追う八州廻りや捕り方たちー。そして、最期の時が訪れる!感動を超えた最終巻。「狩り」シリーズ堂々完結。長編時代小説。文庫書下ろし。
妻に先立たれ、毎日を無気力に過ごす礼二郎。彼を変えたのは、絵画同好会での幸子との出会いだった。やがて二人は恋に落ち、喜びも悲しみも分かち合いながら愛を育む。たとえ周囲の人間に後ろ指をさされようとも。だが、礼二郎は不意の病に蝕まれて…。ときめきを忘れかけていた男女が、限られた時の中で紡ぐ切実な恋愛模様を、まばゆいほどに美しく描く感動作。
高校生の村松光輝は、コンサート会場で、探し求めていた女性との再会を果たした。一年前の大雪の日に命を救われ、かつ初めて性の歓びを教えてくれた美女。ところがその会場で、彼女の連れの男性が、突然銃殺された!しかも、殺人幇助の疑いで、彼女が逮捕されてしまう。光輝と友人たちは、真相を求め、赤かぶ検事に会いにゆくのだがー。待望のシリーズ最新作。
南町奉行所隠密廻り・乾蔵人の元に、仇敵の沼津藩家老・土方縫殿助が襲われたという知らせが入った。調べ始めた蔵人の前に現われたのは、討ち入りをされた吉良家に縁のある武士。そして、米沢藩上杉家との遺恨が浮かび上がってきた。土方はなぜ襲われたのか。「忠臣蔵」に隠されたもう一つの真相とはー。瞠目の歴史ミステリーに挑んだ藤井邦夫の傑作シリーズ最終巻。長編時代小説、文庫書下ろし。
将軍・綱吉の治世に、公儀隠密の劣化を憂う老中らが立てた密かな計画。それは、各地から素質ある子を集め、優れた忍者を育てるというものだった。貧しい山村の出の一平も、妙義山中の養成所へとやってきた一人だ。仲間たちとの競い合いや友情ー学び舎での日々が、内気だった一平を逞しく成長させてゆく。だが、背後では風魔忍者衆が恐るべき陰謀を企てていた!文庫書下ろし。最注目の気鋭が放つ胸おどる冒険活劇!
「お助け金所望、五百両」応じなければ、主人を惨殺。江戸では、豪商を狙った世直し党による凶行が続いていた。『三倉屋』への投げ文が、賊を騙った手口だと般若同心・柚木源九郎が見破る。源九郎は、奪った金を庶民に配る義賊・変化小僧とともに世直し党の正体に迫る!北町の同心・小月忠吾は、源九郎と変化小僧との関わりに疑念を抱くが…。“痛快”捕物帖!長編時代小説。
名代の十手持ち辰三が姿を消したのは昨年暮れ。上方の悪党「名なしの幻造」を追ったまま行方がしれない。縄張りの日本橋をあずかる子分の文治だが、切れ者の親分と比べると頼りにならない。辰三の娘お加代が、御用の向きにも口を挟んでくる。心根の優しい大男と跳ねっ返り娘が智恵を寄せ合い、御用の謎を解き明かす。時代小説の新鋭が情感豊かに描く、傑作捕物帖。
大麻所持で逮捕されたナイジェリア人の取調べにあたった鮫島は麻薬ルートの捜査に乗り出し盗品を専門に売買する泥棒市場の存在を突き止める。そこで鑑定人として働く中国人美女・明蘭。その背後には鮫島の宿敵、仙田の存在が。鮫島と同期の香田は外国人組織の撲滅のため暴力団と手を組むことを画策していた。泥棒市場の存在を 巡って、さまざまな思惑が渦巻く!
ひとりの平凡な男が突然消えた。弟直行は、土佐清水で起きた放火殺人事件、四国の寺で次々と見つかるバラバラ死体が、兄の失踪と関わりがあるのではと高知へと向かう。真相を探る度に嘘をつく義姉を疑いながらも翻弄される直行。夫を殺したかもしれない女に熱い思いを抱きながら、真実を求めて事件の迷路を彷徨う。禁断の愛、交錯する嘘と真実。これぞ、連城マジックの極み。耽美ミステリーの名手が遺してくれた渾身の1000枚!闘病中に書き上げた執念の大長編を、追悼の意を込めて、一周忌に刊行ー。
本格ミステリーの古典から最先端までを、上から下から、後ろから、そして真正面から、斬新に独自の視点から痛快に切りまくるミステリー・ファン垂涎の異色作。生け贄となったのはーノックスの十戒、アリバイ崩し、密室殺人、逃走経路の謎、叙述トリック、レッドヘリング、図像学、ヴァン・ダインの二十則、後期クイーン問題、正確な死因、お茶会で特定の人物だけを毒殺する方法、二十一世紀本格、「見立て」の真相、バールストン先攻法にリドル・ストーリー、警察小説、歴史ミステリーおよびトラベルミステリー、さらには多重解決ー。初心者からマニアまで大〓(べし)見警部が満足させます!