出版社 : 出版芸術社
秘密裡に堕胎を請け負う医院で、手術後の患者が投身自殺を図った。書生の健次郎は、とっさに死体を庭に埋めてしまうが、やがてその秘密が掘り返される時がきた…。凄まじい迫力で、人間の業と哀しみを描く名作「緋の堕胎」。寮に軟禁され、吸血鬼からのお召しがあるたびに自らの血を提供する無気力な若者たち。彼らを飼育する吸血鬼の恐るべき正体とは?エラリィ・クイーンに絶賛され、世界各国で翻訳された表題作「黄色い吸血鬼」をはじめ、単行本未収録作品「砂糖菓子の鸚鵡」を含む恐怖ミステリの傑作・全12篇。
ホラーを知り尽くした著者が、自信をもっておくる本格的怪奇小説の決定版!とにかく怖い!怪奇実話作家のもとに持ちこまれた一冊の日記帳。赤い羽根を極端に恐れる男の記録に隠された驚愕の真実とは?切れ味するどい第一章「赤い羽根の記憶」から、幽霊屋敷パターンに新機軸をうちだす第三章「黒い家」、今までの登場人物が総登場して百物語をくりひろげる最終章「百鬼譚の夜」まで、奇想と企みに満ちた恐怖の迷宮の中で、怪奇小説ならではの醍醐味をたっぷりと味わっていただきます。
名探偵復活を提唱し、多彩なシリーズ・キャラクターを創造した都筑道夫。本格ミステリのファンを魅了し続けるその名探偵たちが一堂に大集合!なまけ者の詩人探偵が大活躍する「キリオン・スレイの生活と推理」、究極のアームチェア・ディテクティブ「退職刑事」シリーズから、謎解きを前面に押し出した捕物帳の傑作「なめくじ長屋捕物さわぎ」まで、11人の名探偵が競演して繰り広げる、華麗な謎と論理のエンターテインメント!巻末には、ファン待望の都筑道夫全著作リストを収録。
一匹狼・片岡直次郎が活躍するコミカルなオフビート・アクションから、都会に生きる人々の生活を、冷めた目で優しく見つめる正統派ハードボイルド・西蓮寺剛シリーズまで、名手・都筑道夫が描き出す11の物語!他に、エド・マクベインの名作「酔いどれ探偵」シリーズのパスティッシュ、オカルティックな事件に挑むルポライター・雪崩連太郎、SFミステリの傑作「未来警察殺人課」、都筑ミステリの到達点ともいうべき下町人情ハードボイルド「ホテル・ディック」シリーズ等々、アクション・ハードボイルドの探偵が総登場。
名アンソロジストとして数々の怪奇小説集を編纂してきた鮎川哲也と、本格ミステリ作家としての作風とは対照的に、熱狂的な怪奇幻想小説のマニアである芦辺拓の二人が、自信を持って選び抜いた幻の怪奇探偵小説傑作集!染色体を改良して食用蛙の巨大化を計る老科学者の、隠された恐るべき企みとは?マッド・サイエンティストテーマの怪作「人喰い蝦蟇」や、戦時中に海の藻屑と消えたはずの妻が、魚の姿になって夜ごと夢枕に現れる鷲尾三郎の名作「魚臭」の他、鮎川哲也自身の珍しい怪獣小説「怪虫」を特別収録。
中学生-大人と子供の間羽化を待つ蛹。小説現代推理新人賞作家・釣巻礼公が、今まで誰にも書かれなかった思春期の神秘を描く本格推理長編第一作!名門・岩清水中学の将棋部部室で副部長の小雪が殺された。死体の両耳は無惨にも切りとられていた。小雪が残した詰め将棋に隠されたメッセージを手掛かりに、ノホホン少女・九十九桂が事件に挑む。しかし、またしても女子部員が第二の犠牲者に。今度は舌を切りとられて…。彼女には『援助交際』の噂があった。やがて、犯人の魔の手は桂にも襲いかかる。大人と子供の間の『蛹』の季節を生きる中学生。成長、いじめ、自殺そして援助交際といった、様々な問題に不安と戸惑いを感じながらも彼等は「負けるもんか」と事件に立ち向かう。
謎の長編ミステリの著者を捜せ!同人誌に掲載された長編推理小説『ネメシスの哄笑』を巡って次々と起こる奇怪な殺人事件!推理小説同人誌「オフショット」の会誌に載っていた長編ミステリ『ネメシスの哄笑』は、近年まれに見る大傑作であった。ぜひ出版したいのだが、残念ながら前半がない。ミステリ編集者である私は、著者に連絡をとろうとするが次第に不可思議な連続殺人事件に巻きこまれていく…メタ・ミステリの鬼才・小森健太朗が、奔放なストーリーテリングで読者を夢幻の世界に誘う、書下し超本格推理。
いま甦る本格推理小説のスタンダード!本格ミステリ界の重鎮・鮎川哲也の代表的傑作集!『赤い密室』には、名作『りら荘事件』の原形として名のみ伝わる幻の初期中篇「呪縛再現」を特別収録!他に、殺人現場から逃走したピエロがトンネルの中で消失してしまう「道化師の檻」、鍵の掛った浴室でストリッパーの死体が発見される「黄色い悪魔」等、全6篇。
13世紀末、イタリアの小さな共和国ジェーノヴァに連行された一人の捕虜。世界をまたにかけた大商人であり冒険家・マルコ・ポーロ。だが、人は彼を「百万マルコ」と呼び、その話を信じようとはしなかった。彼の博識に心酔する数少ない一人、書記のジューリオが奇怪な殺人事件に巻き込まれた時、マルコ・ポーロの推理が冴える。中世イタリアの風物を悠揚せまらぬ筆致で活写しながら、「東方見聞録」執筆の謎にせまる傑作歴史マステリ。
少女マンガ『ローウェルの密室』の作中で密室殺人事件が発生。『コミケ殺人事件』の著者が、前代未聞の密室トリックで読者に挑戦する二次元本格推理・書下し800枚。休みのある日、真っ暗な森に迷い込んだ恵と保理は、不思議な老人の手で、少女マンガ『ローウェル城の密室』の世界に送りこまれ、マンガの登場人物・メグとホーリーになってしまう。蛮族が跋扈し、奇怪な風習に支配されたその世界で、密室殺人事件が発生した。二次元世界での殺人を描き、史上最年少の十六歳で江戸川乱歩賞最終候補に残った幻の超本格推理ついに登場。
年二回開催されるマンガファンの祭典・コミックマーケット。数十万の人出で賑わうその会場でサークル「大きなお茶屋さん」のメンバーが次々と殺された。推理小説のファンクラブ「大きなお茶屋さん」では、美少女戦士が活躍するSFミステリ「ルナティック・ドリーム」の完結を前にして、各人が予想した結末をまとめた同人誌「月に願いを」を発行していたが、殺人鬼“影”は、大胆にも、その中に殺人予告状を挿入していたのである。その正体は何者なのか、動機は。狂気にいろどられた惨劇は、やがて意外な展開をみせはじめるが…。すべての謎をとくカギは、「月に願いを」に収められた7つの短篇ミステリに隠されている。同人誌をまるごと一冊挿入するという異色の構成で読者に挑戦する、新鋭の書下し「超」本格ミステリ。
偏屈で漁師たちから恨まれている網元が、突堤の先端で射殺された。犯人は、どんなトリックで被害者を前から狙撃したのか。書下し表題作「見えない風景」ほか全5篇収録。放浪探偵・呪師霊太郎、映画探偵・相司卓間、そして謎の路上探偵…山田ミステリの名探偵が総登場でくりひろげる華麗な謎と論理の競演。著者初の本格ミステリ短篇集。
不気味な昆虫の群れにとりかこまれ、巨大な蜂に犯される。極限の悪夢を描いた表題作「月のない夜に」のほか、愛児を喪くした若い母親がかいまみた一夜の地獄「11月の子供」、狐狗狸さんに興じる女の子たちを襲った見えない影「ついてくる」など、精選モダンホラー全8篇。
日本怪獣映画の原点というべき不朽の名作。企画書として書かれたまま、永らく埋もれていたオリジナル原作を、初めて単行本化。(「ゴジラ」)。東宝怪獣映画シリーズ中、唯一ビデオ化されていない幻の作品。ゴジラと同じ香山滋による原作は、昭和30年の初刊以来、38年ぶりの復活。(「獣人雪男」)。キノコ人間・マタンゴの恐怖を描いてファンの評価も高い異色のホラー作品。掲載誌不明とされていた原作小説をついに発見。(「マタンゴ」)。
二億年の眠りから醒めた巨大翼竜ラドン。原作は雑誌の別冊附録として発表されたため、ほとんど入手不可能。(「ラドン」)。ザ・ピーナッツの歌声に導かれ優雅に空を飛ぶモスラは、ゴジラと並ぶ人気怪獣である。これも別冊附録に発表、初の単行本。(「モスラ」)。二大怪獣の激闘を描いて平成ゴジラシリーズの口火を切った傑作。応募入選のオリジナル原作は、もちろん単行本初収録。(「ゴジラVSビオランテ」)。
優秀なコンピュータ・エンジニアである本田一郎は、二つの顔をもっていた。妻との交渉はほとんどなく、夜になると女性を求めて街へとくりだす一郎は、甘いマスクを武器に孤独な獲物を狩るドンファンなのである。そんな一郎が、ある日突然逮捕された。彼が今までにつきあってきた女性達が次々と殺され、現場には一郎の犯行を裏付ける遺留品が残されていたのだ。巧妙に仕組まれた罠。彼を陥れたものは誰か?妖しい筆致で読者を夢幻の境に誘う異色のサスペンスロマン。
組合闘争にゆれる本多銃砲火薬店。その工場に勤める花城由記子が、遺書をのこして失踪した。社長の1人息子・本多昭一と心中するというのだ。しかし、昭一の遺体が発見されてからも、その行方は杳として知れなかった-。ついに殺人犯人として指名手配をうける由記子。姿を消した姉を追って、花城佐紀子は必死の捜索をつづけるが…。本格、社会派、サスペンスの見事な融合。ロマンにあふれた作風で、笹沢ミステリの原点をなし、第14回日本推理作家協会賞を受けた傑作長編。
曲垣賞に沸く秋の競馬場で、一人の男が刺し殺された。たまたま居合わせた警視庁特犯課の新米刑事・小湊進介は、先輩刑事の海方惣稔とともに捜査を開始するが、今度はその犯人が射殺されてしまった。次々と連鎖していく被害者と殺人犯の奇怪な輪。そんなことがあり得るのだろうか?常軌を逸した連続殺人事件は、二転、三転、四転、五転…。読者をだますことに全精力を傾注する著者が、その面目を遺憾なく発揮した、本格推理の最高傑作。