出版社 : 勁文社
新宿区内でOLの他殺死体が発見された。女は勤務する新宿中央信用金庫の理事長萩原の愛人だった。事件を知って執拗に萩原をつけ回す迷彩服姿の不気味な男がいた。歌舞伎町分室の警視ムラマサは、男がかつてあと一歩のところで海外逃亡を許した殺人鬼梶応毅ではないかと直感した。傭兵経験もある梶応なら歌舞伎町にまた血の雨が降る-ムラマサの想像はすぐに現実のものとなった…。圧倒的迫力のハード・サスペンス。
かたくななまでに他人を受け入れようなとしないレンジと、背負った過去の重さゆえに、他人との距離を縮められない吉田。ふたりは、まだ浅い、春の夜に出会った。お互いの存在をそれぞれの心に見いだしつつも、素直になれなくて…。切なさに満ちた恋愛小説。表題作ほか7編を収録。叙情系ファンタスティック作品集。
都市銀行準大手の白百合銀行。各行が鎬を削る東京・多摩地方で敏腕を揮い、業績を順調に伸ばしていた支店長の鈴木昇は、盛夏のなか大口融資の決済を仰ぎに出向いた本社で、派遣社員の常務秘書と知り合った。さっそく彼女を口説き、食事から酒とお決まりのコースでホテルへ…。だが、美貌の彼女は思いもよらぬモノを持って鈴木の前に…。書き下ろし長篇官能ロマン。
北京行きの中国航空機が成田を離陸直後、爆破された。墜落機には警視庁捜査四課の実相寺のネタ元が…。たんなるチンピラだった男がなぜ北京に?男の行動に不審を抱いた実相寺は、事件を探るうち、その背後に中国進出をもくろむ日本企業の暗躍を知る。真相究明のため北京に飛んだ実相寺。だが、そんな彼を襲ったのは凶弾の洗礼だった。長篇ハードサスペンス。
卑劣な罠で新聞社を追われた畝原浩一は、今は私立探偵として一人娘の冴香と暮らしていた。その畝原の許に、就職を餌に女性を食い物にする会社社長梶山の決定的証拠を握って欲しいという依頼が舞い込んだ。だが、囮となった女子大生が殺され、梶山も自殺してしまう。その後、不審な男たちが冴香に触手を伸ばしてきた…。愛する娘を守るため畝原は孤独な闘いを挑む。北の街を舞台に気鋭が描く長篇ハードボイルド。
夏。高校二年になった岸本梢は久しぶりに軽井沢を訪れた。懐かしい思い出のつまったところだ。父が死んで避暑とは無縁の生活になってしまった自分に幼なじみから来た華やかなパーティの招待状。気後れはあったけど、ほのかな期待を抱いて梢はやってきた。隣に住んでいた安理に会えるかもしれないから。だけど、別荘に同級生が集まってパーティが始まると、奇妙なことが次々と起こって…。
近江の豪家の下僕・茂助は、朋輩の治作が主人に殺され、そのいいなずけだったまきが主人に囲われた事を知る。茂助のなかに貧しさと富貴の徒に対する憎しみが生まれた。主家を出奔した茂助は、やがて洛外に居を定め、貧乏公家に数寄を習うとて、復讐の大勝負に出るー。極限まで虐げられた男がしっぺ返しに生涯を賭ける表題作ほか、哀しく逞しい民の姿を描く傑作時代小説集。
江戸。幕閣は公然と賄賂を取り交わし、行政治安は紊乱を極める田沼時代。御家人として世を捨てた暮らしの斑塔十郎は、自害を願う女と出遭う。仔細ありそうなその女は、塔十郎の情けによって思いとどまったと見えた。だが、大商人山崎屋の寮に田沼意知が訪れた夜、女は全裸で殺されるー。ニヒルな塔十郎の剣が、圧政に苦しむ庶民を助けて悪を斬る!傑作時代長編。
不慮の事故で引退した天才二輪レーサーの水島は、営業マンとして、一見平穏な市民生活を送っていた。だが、ある野望を胸に秘める水島は、その平凡な貌の裏で緻密な計画の元、現金輸送車、銀行などを次々と襲っていった。大金を手にした水島は、野望達成のための最終武器を手に入れるべく、米軍空母に狙いを定めた。水島の最終目的とは…。長篇ハードアクション。
画家になった元同僚の個展で、かつての部下で結婚退職した桜木映美に再会した大宮は、彼女が離婚したと聞いて、大胆にも「君を抱きたい」と耳元で囁いた。すると朝まで一緒ならと、いろよい返事の映美。さっそくホテルへ連れ込むと、これがとんでもない好き者で、朝まで大宮は…。熟れた身体を持て余す離婚妻から女子大生まで、欲望剥きだしの女たちの性態。
ファントム・ライダーとして数々の戦歴を誇る松本栄治は、四十歳を迎え、一線を退こうとしていた。そのラストフライトの日、松本の脳裏に蘇ってきたのは、中南米での人質奪還作戦飛行のことだった。実戦では先に敵機を発見した方に勝機がある。松本は自分の眼だけを信じ、勝ち残ってきたのだ…。意地と誇りを賭して蒼穹を駆けるライダーたちの物語。本格航空小説。
東京都知事室に「東京を火の海にする…」という脅迫電話がかかってきた。犯人の狙いは…。混乱する都庁。その夜、入国管理局の収容所が襲われ、警備官を殺害、不法残留の中国人が大量脱走した。ふたつの兇悪事件を結ぶ意外な事実に気付いた警視庁捜査四課の実相寺は、怒りに燃えて、一匹の猟犬と化し、陰謀の核心に肉薄していった。長篇ハードサスペンス。
広告代理店営業課長の小倉茂郎は、寝たきりの妻を献身的に看病する良き夫でもあった。仕事上のトラブルで休職処分を受けた夜、自宅から出火、妻が死体で発見され、警察は小倉を殺人で逮捕した。小倉を上司として男性として慕う南条菜津江は無実を信じ、弁護士を依頼した。起訴された小倉は法廷で無罪を主張、激しい法廷闘争が始まった。迫真の法廷ミステリー。