出版社 : 双葉社
「仏朗機砲があれば琉球を倭寇から守ることができる…」東シナ海で勢力を拡大する海賊集団「倭寇」から琉球を守るためには最新の大砲・仏朗機砲が必要ーそう進言した元倭寇で琉球王府役人の眞五羅は、仲間たちとともにポルトガル人が支配するマラッカを目指し旅に出る。だが、マラッカ周辺は3つの国が相争う危険地帯。眞五羅たちは命の危険にさらされながらも目的地を目指すー。日本に鉄砲が伝来する戦国期直前の時代を舞台に、男たちの熱き戦いと永遠の友情を描く歴史冒険小説。
東北の寂れた街に、1ヶ月、欠かさずお参りすると、30日目の夜、この世のものとは思えない快楽のなかで死を迎えることができる神社があるという。それを体験した男の日記がネットで拡散され、その神社は話題に。死にたい人たちが、その街に集まり、街は活気を取り戻すが…。死にたい人たちの事情と街を蘇らせたい人たちの思いが交差する連作短編集。
東京で服飾の仕事をしている中村みどりのもとに、物心つく前に別れたきりの父親が亡くなったとの知らせが入る。佐賀県唐津市でテーラーを営んでいた父は、ネクタイをポーチに作り替えたりして、どうやら遺品リメイクの仕事をしていたようだ。残った注文を引き受け、父が使っていた年代物の足踏みミシンを動かし始めるとーここには自分ひとりのはずなのに“誰か”が話しかけてきた…。
出会い、失恋、両想い、別れーわたしのそばには、いつも花があった。四季折々の恋模様を鮮烈に描いたあまりに切ない物語。高校生の遙は通学の電車で、気の立った白猫に遭遇した。戸惑う彼女を助けたのは男子高校生。毎朝、同じ電車で見かける彼を振り向かせようと、遙が取った行動とはー。(「始業式」)。同じく高校生の冬紗は、入学前から長い入院生活を送っている。ある日、主治医に告げられた過酷な現実。涙に暮れた彼女に、かつての入院仲間だった春人は声をかける。(「散り桜」)。ほか、「夕立ち」「花火」「落ち葉」「コスモス」「雪景色」「ユキヤナギ」の全8編を収録した、2つのストーリーで紡がれる恋愛小説。
警視庁に出向していた琉球警察の真栄田太一警部補は本土復帰が5月15日に迫る1972年4月、那覇にある本部に帰任する。その直後、沖縄内に流通するドル札を回収していた銀行の現金輸送車が襲われ100万ドルが強奪される事件が起きる。琉球警察上層部は真栄田を班長に日米両政府に知られぬよう事件解決を命じるが…。本土復帰50年を前に注目の著者が描くノンストップサスペンス。
ノンフィクション作家の草下彰は、自分の過去を題材に作品を書こうと決意した。草下が中学生のときに両親は殺害され、その容疑者すら特定されていない。唯一の手がかりは、両親の殺害前に彼の家を訪ねてきたひとりの男だった。男の足取りを辿るうちに、草下は予想もつかなかった真実を知ることになる…。深く苦悩する母と、母子草に込めた思いとは!?圧巻のヒューマンミステリー!
夏休み、小学三年生の瑛介は血小板数値の経過観察で一ヶ月以上入院している。退屈な病院での日々。そんなある日やって来たのが、「俺、田波壮太。三年。チビだけど、九歳」と陽気に挨拶する同学年の男子だった。低身長の検査入院らしい。たちまち打ち解けた二人。壮太は、遊びを考える天才だった!-でも一緒にいられるのは、あと少ししかない。「夏の体温」(表題作)。「出会い」がもたらす「奇跡」を描いた作品集。中学国語教科書に掲載された掌編も収録!
幕府軍として新政府に最後まで抵抗した元旗本の中野梧一。維新後、その才能を井上馨に買われた中野は山口県令に抜擢され、かつての仇敵・長州へと赴く。その中野の命を農民出身の元奇兵隊士・卓介が狙うが…。政治の世界から実業界に飛び込み大成功をおさめた中野梧一を通して、維新後の新しい世の中に翻弄される男たちの姿を描いた歴史ミステリー。
女子大学院生が自宅の浴室で死亡しているのが発見された。警察は自殺と判断したが、その裏には人間も機械と同様、適切な入力(情報)を与えれば、思い通りの出力(行動)をすると主張する謎の男・鬼界の存在が。他人を意のままに操る鬼界の目的とは何なのか?そして、人間は本当に機械と同様、自在に制御することが可能なのか?第42回小説推理新人賞最終選考で選考委員から高く評価された若き才能によるデビュー連作短編集。
児童養護施設で暮らす高校生のななみ。「馬鹿にされちゃアいけない」と小学生の頃から祖母に言われ続けた言葉を胸に、医学部進学を目指して受験勉強に励む日々を送っている。進学費用のための懸命なアルバイト、ダンス部仲間との最後の文化祭、初めての彼氏…など、高校生活を色濃く過ごすなか、高三の夏、ななみが自分の意志で選びとった道とはー。新たな世界へと踏み出す少女の心許なさを掬いとりながら、前途を温かく照らす感動長編。
依頼主の死後、預かった荷物をしかるべき人のもとへ届ける『天国宅配便』。この世からいなくなったあの人が、最後に届けたかったものとはー?親友、祖母、初恋の人、先生…4つの小包が想いを繋ぐ、心揺さぶる救いの物語。
検察官をやめ郷里の福岡で法律事務所を開業している一坊寺陽子。そんな彼女のもとに同期の弁護士である桐生晴仁から2つの依頼が届く。ひとつは「桐生晴仁が佐灯昇を殺した」と書かれた懲戒請求書の差出人を捜してほしいというもの。佐灯昇とは桐生が弁護をし、陽子が公判担当検事をつとめた16年前の「両親殺し」の犯人。もうひとつは、虐待を受けていた少女が実の父親を殺した事件の弁護。「2つの親殺し」を調べていくうちに、それぞれの裏に隠された衝撃の事実が浮かび上がっていく…。
民間の科学捜査鑑定所〈氏家鑑定センター〉。所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る中、裁判の行く末はーー驚愕の結末が待ち受ける、圧巻の鑑定サスペンス!
「俺、家事育児はほかのお父さんよりはやっていると思うよ」「ほかのお父さんじゃなくて私と比べてよね」ダメ夫に愛想を尽かした恭子は、内緒でシナリオコンクールに応募、見事に最優秀賞を受賞し脚本家デビューを果たすとともに、経済的にも精神的にも自立しようとする。一方、不倫相手に捨てられた夫の孝志は久しぶりに妻を誘うが…。発達障害の疑いがある息子の子育て、コロナ禍での不自由な生活に行き詰まった二人は、ついにぶつかり合うことに。罵声飛び交う夫婦の愛憎劇。
遺書もなく自殺した双子の弟の携帯。同じ顔を持つ兄が顔認証を突破すると、礼文島行きの航空券を見つけた。そこに弟の「死」の答えはあるのかー。マルタ島、台湾、ロンドン、NY、南米、東京、青春小説の名手が紡ぐ「喪失と再生」の物語!
観測史上二番目の暴風が関東に上陸した夜、冠水した駐車場で車の下に入りこんだ年輩女性が死亡した。行政解剖の結果は「事件性はなし」。だが、救助に出場していた本田消防署上平井出張所に所属する大山雄大は、喪服の老人から「何をどうしたって助けられなかった」という言葉を残される。不審を抱いた大山は、謎の言葉の真意を探ろうと老人を追うが、その正体は驚くべきものだったー。大人気消防ミステリー第4弾!
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れないーー。最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!