出版社 : 双葉社
周三は銀行で不良債権処理に追われる日々を送る。20年勤務し、早期自主退職した周三は、学生時代に封印した登山を再開するつもりでいた。だが母子家庭を支援するNPOバンクに関わることになる。周三自身は父親を知らず、母親とは義絶していた。その母親が今、死に瀕しているというー。人生の岐路に立った男が、自分を見つめ直すとき。共感と静かな感動を呼ぶ長編小説。
人気AV女優・川上ゆうが、デビュー前の自らの体験をベースに書いた自伝的“青春”官能小説が待望の文庫化。-16歳の高校生・ユウは“初恋の人”フッくんと何度も体を重ね、愛し合う悦びを知るも、自分の中にある“抗えない欲望”に気付いてしまう。“セックスをとことん味わってみたい”。別れを選んだユウが自らに課したミッションは、男と女とセックスを極めて「いいオンナになること」。好奇心と探究心に導かれたユウの成長物語が始まる。
高熱を発し肺炎を併発させた広瀬裕一郎は、近所の病院で療養の日々を送っていた。ある夜、女医の佐野かおりが回診に訪れ、二人きりの病室で躯をすり寄せながら裕一郎の胸元にそっと手を差し入れてきた。近所でも美人で有名なかおりのアプローチに、27歳の裕一郎の下半身は敏感に反応し…。書き下ろし長編柔肌エロス。
一度関係を持った女性に違和感を覚え、その源を探るべく、再びの逢瀬を約した男が性愛の深淵を覗き見ることになる「淫欲溢れてやまず」。恋人とベッドを共にしていても、少年の頃から憧れていた義姉の姿に思いを重ねてしまう男の情欲を描く「死んでもいい」など、第一線の人気作家による書き下ろし官能アンソロジー。
「男はみんな奇跡を起こしたいと思ってる。好きになった女の子のために」-ある夜、北村志織は部屋の壁の穴から“一年後の今日”を生きている平野という男性に話しかけられた。平野は、同じマンションに住む顔見知りだった。翌日の新聞の見出しを次々と言い当てる平野に、志織はひとつのお願いをされる。“未来の平野”には、ある目的があったー時空を超えた奇跡のラブストーリー。
日本橋の両替商「菱屋」の金蔵に忍び込んだ勘兵衛は、帯封のついた小判二百両を盗み出した。だが、その小判が混ぜ物の多い贋物だと気付いた勘兵衛は、贋金鋳造の背景を探るべく菱屋の周辺を洗いはじめる。一方、菱屋の主・清左衛門は、蔵に残された千社札から贋金を奪ったのが盗賊“眠り猫”だと知り、その正体を暴こうと動き出す。大好評書き下ろし時代小説、シリーズ第七弾。
笑い声の絶えない養護院草の実荘で暮らす双子の姉妹ちさととちなみ。その母親お千佳が出産を間近に控え、妊娠中毒症に罹ってしまった。そんな折り、木挽町の両替商三国屋紀右衛門宅に、かつて放蕩の限りを尽くして勘当された養嗣子の児太郎が訪ねてくる。ところがその児太郎は脇腹を匕首で刺されていた上に、労咳を患っていたー。親子の愛と儚さ、男と女の情を細やかに描く書き下ろし時代小説、好評シリーズ第八弾。
着服した御用金で公領の大水を見事引かせた隠密廻、八巻卯之吉がついに江戸に凱旋。震え上がる悪党をよそに久々の吉原を満喫する卯之吉だったが、一方で花のお江戸の奇妙な変化に気付く。なぜか砂糖が出回らなくなっていたのだ。さらに商家の蔵だけが燃え落ちる不審火が次々と発生し、卯之吉の尋常ならざる好奇心にも火がつく。累計五十万部突破、無敵の超絶面白シリーズ!
左門が義堂一角を討ち果たしたことで、難を逃れたお神楽一家に、とある寺から、寺が催す富突の札を引き取ってほしいという依頼が持ち込まれる。だがその富突を巡っては、妙な噂が流れていたー。赤鞘組副頭目轡田兵庫の実力がついに明らかに!?男も惚れる無頼漢、三日日左門の活躍を描く、驚愕のシリーズ第四弾!!
深川の菓子屋「唐松屋」で売られる「長生団子」が江戸で大評判になる。なんでも異国の秘密の甘味が含まれているとのことで、一度食べたら忘れられない美味しさだという。そんな折、長生団子を懐に入れたまま、何者かに斬られた長崎奉行所同心の死体が見つかる。「使の者」猪三郎は、南町与力の村雨卯之助から唐松屋を探るよう指示される。話題の新シリーズ第二弾!
ここは、猫まで多く住みついてしまう人情たっぷりの下町。大学病院医師の鳥羽裕太は、病院で事務をしている石倉夏海の甥を事故から救った。それ以来親しくしているのだが、夏海は面白おかしい出来事や予想外の展開を引き寄せる“体質”で、一緒にいると次々と事件や騒動がやってくる。考えるタイプの裕太と行動派の夏海。名コンビが町の謎を解決する!愉快な登場人物が彩る、ほのぼの連作ミステリー。
深夜の学園に呼び出された少女・榊原来夢は、ミステリー研究会の先輩・白河美里の死体を発見する。警察は来夢を疑うが、名探偵・鵺夜来人の登場で事件は新たな局面へ…。次々と容疑者が殺害される中、探偵の口から語られる「意外な犯人」とは…!?
上杉謙信、織田信光、浅井長政、柴田勝家…。彼らは、戦国の覇者・織田信長をどう見ていたのか。嫉妬・焦燥・矜持・疑心。様々な心情が渦巻く中で、戦国の世を生きる者たちは強大な影に溺め捕られていく。-これまで多くの作家が描いてきた信長の実像を、新たな手法で描く挑戦的戦国期。
日本橋の呉服商「三浦屋」の箱入り娘、お雪は今年十九。その美しさは広く江戸中に知れ渡り、“室町小町”と謳われるが、本人はいたって内気で、家に引きこもる毎日。そんな折、両国の見世物小屋で「ろくろっ首」の見世物を演じていた女の首なし死体が見つかる。その話に興味津々のお雪は家を抜け出し、現場を訪れるが、ならず者に襲われてしまう。新シリーズ第一弾!
梅香が漂い、霊峰富士を望む小梅村が柔らかな陽射しに包まれる頃、尚武館坂崎道場では、晴れて入門を許された空也をはじめ、多くの門弟衆が稽古三昧の日々を送っていた。そんな折り、道場主坂崎磐音宛てに、遠州相良より一通の書状が届く。時を同じくして、幕閣に返り咲いた速水左近が下城の途次に磐音のもとを訪れ…。超人気書き下ろし長編時代小説第五十弾。
雲ひとつない夏空の下、穏やかな豊後水道の波を切る関前藩所蔵船豊後丸の船上に、坂崎磐音とその一家の姿があった。病に倒れた父正睦を見舞うため、十八年ぶりに関前の地を踏んだ磐音は、帰国早々国許に燻ぶる新たな内紛の火種を目の当たりにする。さらに領内で紅花栽培に心血を注ぐ奈緒の身にも…。春風駘蕩の如き磐音が許せぬ悪を討つ、“剣あり、恋あり、涙あり”の書き下ろし長編時代小説第五十一弾。平成の大ベストセラーシリーズ、ここに堂々完結!
最愛の妻はすでに亡く、たったひとりの娘も独立し海外で暮らしている。大学教授・葉山英介は平穏な人生の冬を送っていた。しかし、過去がそれを許さなかったー葉山の手がけた最後の仕事が因縁となり、彼はかつての世界へ舞い戻ることになる。愛する者と、男の誇りを守るため、葉山はふたたび銃を手にする。
20歳の夏休み。新しい自分になれるかもと海外旅行を計画したが、直前になって旅行会社に騙されて出発できなかった僕。仕方なく地元で中学時代の同級生と過ごすが…。覚えのないいじめを赦してくれと言われたり、訳ありだった女の子と再会したり、次から次に起こる事件。しまいには「ひとを殺しちゃったみたいだ」と携帯電話が鳴る始末。いったい僕の夏休みはどうなるんだ!?恋も友情も笑いも涙も入り乱れ。何が何だかわからないが“何か”だけは確かにあったあの頃を、まるごと描いた青春小説。
デザイン事務所で働くわたしは上京して数年、流されるまま生きてきた。そんな単調な日々のなかで、ある年下デザイナーの存在がふと気になりだす。-不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、今この瞬間に交わすキスだった。(表題作)友達、恋人、家族…様々なシチュエーションのキス。そこにある温かくて切ないつながりを、繊細な筆致ですくいとった五編。