出版社 : 実業之日本社
結婚情報サービス会社に登録して、結婚相手を探していたエレクトーン教室の講師が、アパートの自室で全裸で殺された。変質者の犯行か、それとも顔見知りの犯行か-。殺された女性の親友・榊原千亜記は、難航する捜査を尻目に、単独で“敵”を見つけ出そうとするが…。
いよいよ夢にまで見た初体験。心の準備はできている。なんたって、今日あたしの誕生日なんだし。今夜だけは門限もないし、シティホテルの部屋も予約してあるし。阪神の池田投手に似たカレを、ちょっとシャレた大人向けのパブレストランに案内して…。ホテルのバスでは、過去二十年間、こんなに念入りに洗ったことはないという程、ゴシゴシと身体を洗う。もう、やる気マンマンなのだが…。
22XX年、高度に発達した電脳都市で探偵業を営む男のもとに、ひとりの美女から、失踪した恋人を捜して欲しいという依頼が舞いこんだ。捜査を進めるうちに、男は首相誘拐事件に巻きこまれ、殺人ロボットから狙われる…。
かつて父とともに坑夫として働いていた炭坑を、22年ぶりに訪れた沖田隆明。そこで出会った末原和枝から、意外な事実を知らされる。沖田の父の死は、坑内事故ではなく、仕組まれた殺人だったというのだ。怒りに燃えて、沖田は復讐を開始する-凄絶なハード・アクション。
自由勤務を命じられたサラリーマン、一攫千金を狙うチンピラたち、玉の輿を夢見るデートガール…。現代の世相が生んだ孤独な人間たちが、愛憎の果てに行きついたところは…現代を鋭く抉る巨匠の本格長編推理。
本篇の主人公は、テレクラのオーナーである。彼は、自分の店を“人妻狩り”という自身の私的な趣味に生かし、日ごと夜ごと漁色を重ねて飽きぬのだが、世の中はどうやら、好色な男のまわりにこそ、美形の佳い女が集まるようである。だが、女は百人十色。不倫妻の性の趣向も千差万別である。本篇の主人公、津島恭は、現代の人妻たちのその多淫ぶりに、ベッドの中で呆れたり、戸惑ったりの連続なのである。
17歳のある朝、僕は死んだ。それは、僕の長い墓場人生の始まりだった。おじさんとは、墓地に来てすぐ友人になった。10年前に死んだおじさんは、墓地の生活に不慣れな僕にさまざまなことを教えてくれる…。処女作が中村真一郎氏に激賞された大型新人の長篇第二作。
戦乱の中で父を失い、武将らしくない夫を捨てて、江戸城に入り、家光の乳母となって、周囲の権謀術数と闘いながら、家光を三代将軍の座につけた強い女の心の底には…。偶然から将軍の乳母という特殊な立場に立った女の強さとその裏側にある“女”の心を描ききった本格的な力作長編小説。
こんなのはなにかのまちがいにきまっているー伸弥はなにがなんだかわからずに、無人の駅前広場に突っ立っていた。朝とまったく同じ、きれいさっぱり、あっけらかんと静かなのだ。電車も動いていず、人々はベッドやふとんの中で、あるいは道端で、ぐっすり眠っている。それも、みんな幸せそうな顔をして…。起きているのは伸弥のみ。パニックに陥って街中を走り回った伸弥だが、仕方ない、とりあえず年上の女友達・二谷静香さんのマンションにいってみようと、自転車を拝借した。走っているうちに、起きている人間に出会うかもしれない…。甲州街道を走っていると、車のエンジン音が聞こえてきた。ベンツが伸弥を襲った!男が運転している。その男、酔っ払いの郭と、伸弥は東京探険へと出かけた。伸弥の背後に取り憑いた少女の霊、深夜歩きまわる夢魔。不可思議なことが続く。伸弥たちのサバイバル。次々と意表を衝く気鋭のSFファンタジー。
重ねて前科が14犯。焼跡闇市に若い男も女も、命と身体を張って手傷をうけた。傷は癒えても心に染み込んだ毒はおいそれとは消えはしない。ちんぴらヤクザ水田順二の物語。人気作家・安部譲二の自伝的小説。
永源寺峻の留守番電話に、先輩とも師匠ともいうべき楽田総一郎から「緊急の用件で会いたい」とメッセージが入っていた。青山の楽田宅を訪れると、そこには胸に深々とナイフをつきたてられた楽田の死体があった。楽田の葬儀の日、峻は突然、ツッパリ少女に声をかけられた。依頼は天才画賀シャトーブリアンの傑作「マダム・ロスタンの肖像」を見つけてほしいというものだった。その絵を楽田はどこかに隠したらしい。隠し場所のヒントを娘に遺していた。それはまさしく暗号ー松本清張の『点と線』の初版本に、すべてあり、解く鍵は三つ。スタジアム、十メートル下、ガンジン。-永源寺峻は必死に推理した。そして解けた答は意外にも…。乱歩賞作家が綴るミステリ・ファイル。