出版社 : 実業之日本社
伊豆・天城トンネルの取材に来ていた雑誌記者・西東南は、川端康成の文学碑の傍で若い女性の殺された死体を見つけた。鮮やかな桜色のスーツに身を包んでいたが、顔が無惨に潰されていた。死体の身元は誰か?犯人はなぜ被害者の顔を潰したのか?静岡県警の村嶋なつみ刑事とともに、南は事件の解明に乗り出してゆく。容疑者はすぐに浮かんだように見えたが…。
「あたしが殺したのよ」愛人を殺された夫。妻が犯行を告白する。そして夫は愛人の遺体を湖の底へー私立中学受験の勉強合宿が行われる湖畔の別荘地で、いったい何が起こったのか!?東野ワールドの魅力満載。傑作長編本格サスペンス。
その瞬間、世界はすべて鮮やかになる。虚無と絶望が交差する日常から、人はいかに自己を解放できるか-狂気。吐息。切なさ。心の「フレーム」に喘ぎつづける男と女が疾走する新感覚アナーキークライム・フィクション。
キャリアでもノンキャリアでもない“準キャリア”という立場で、大阪府警新犯罪対策班に所属する梧桐渉警部は、道頓堀川を流れていた女性の胴体だけの死体遺棄事件に関わる。被害者は演劇プロデューサーで、地元演劇祭に絡んだトラブルを抱えていた。続いて発生する死体遺棄事件の現場は、全て大阪という“都市の愚行”に関連する場所だった。捜査本部や世論の驚愕を狙って、犯行動機の詳細を語るホームページまでが登場。大阪全てが劇場型犯罪の舞台と化していく中で、梧桐は意表をついた方法で犯人に迫る-。
「信長とは、何者か!?」異能の若者五人が、帝の密勅を受け、権謀術数渦巻く乱世を疾り出す!あのデビュー作『真剣』から一年。注目の著者が新たに描いた歴史冒険活劇!怒涛のごとく書き下ろし1200枚。
小劇場演劇のユニット「神戸パラダイス」が公演することになっている姫路城の広場で、劇団の主宰者・永山篤史が死体で見つかった。発見者の桝形浩人は永山とは大学の同級生で、いまは松山で劇団活動をしているが、この日の公演を見るために姫路にきていたのだった。警察の実況検分がつづくなか、公演は予定通り行われた。ところがその舞台を見た桝形は、驚きと怒りで身を震わせた。なぜかといえば…。
爆破事故発生の知らせを聞いたとき、東郷敬介警部補の背筋に冷たいものが走った。爆発現場の文化センターで行われているピアノ発表会に、妻と娘が参加していたからだ。急いでかけつけたが、二人はすでに死亡していた。その後、爆発は事故ではなくテロであることが判明。犯人への怒りに燃えた東郷は、上司の命令に抗して、独自の捜査を開始する-。
事件が起きたのは、五能線沿いの海辺にある不老不死温泉だった。一人で温泉旅行を楽しんでいた警視庁の刑事は、ふとしたきっかけで知り合った女性に誘われて、一緒に露天風呂に入った。しかし、その女性が翌朝、露天風呂で死体となって発見された。容疑をかけられたのは、警視庁の刑事だった。知らせを受けた十津川警部はすぐに部下の刑事が拘置されている弘前署に向かった。もちろん、その刑事は殺害を否定している…。
2015年、急死した国王の後継者指名をめぐって、サウジアラビアで騒乱が起こった。再び緊迫する中東情勢。イラクに駐留していたアメリカ軍と自衛隊が鎮圧に乗り出したが、各国を巻き込んで戦火は広がってゆく。困惑する日本政府は-。中東の戦火は消えず!イラクに派遣された自衛隊の10年後を予想する、衝撃と興奮の近未来国際情報小説。
「北朝鮮がミサイルを発射した。政府がマスコミ各社に伝えた」イヤホンでその情報を受け取った日比野は懐をまさぐり、携帯電話を探した。番組はもう、現場の実況からスタジオでの画面に切り替わり、畠山アナが臨時ニュースを読み上げていた。それは中継車のモニターからも見えていた。「ただいま、政府筋から入った情報によりますと、北朝鮮は我が国に向けて複数のミサイルを発射したとのことであります。どうか、国民の皆さんは落ち着いて行動して下さい」畠山アナの地味な姿が、読み上げるニュースと何ともアンバランスで、それが余計に恐怖感をそそった。
都内で起きる連続強盗事件。東北の雪に閉ざされたホテルに無料で招待された6人の若い男女。強盗事件は双子の犯行とわかっていながら、兄弟どちらが実行犯か、警察は立証できない。一方、陸の孤島と化したホテルでは密室殺人事件が起きる。そして再び…。あざなえる縄のごとくに並行する二つの物語は、どこでどう結びつくのか。
扉をあけるとオジギソウが挨拶をしてくれる、花に彩られた喫茶店。美しくミステリアスな店主とその娘が、悩める客が持ち込む謎を鮮やかに解き明かす。遠隔殺人、見えない密室、同時に4つの場所に出現した男…驚くべき不可解な現象の数々。その不可能が可能になるカタルシス。そして最終章で明らかになる壮大なる仕掛け。柄刀一は、本格を踏まえ、本格を超えた-。
永正五年(1508)、上野国赤城山の麓で生を享けた男子は、兵法修行に出た常陸国鹿島で神道流を学び、地元上泉に戻り陰流を伝授される。戦国乱世を一武将として戦うが、甲斐の武田信玄に降伏。しかし仕官を固辞し、自ら興した兵法新陰流を広める旅に出る-。上泉伊勢守信綱、兵法新陰流々祖。「生きて真剣の先に見る無刀の境地」とは。透徹した魂で兵法を極めた男の物語。
目の不自由な主人公を実体験しようと自らマスクで目をふさぎ、離れ小島・とむらい島へでかけた推理作家・高篠英麗奈。ところが、翌日、英麗奈とともに島へ渡った編集者・浅田が殺害されてしまう。島に残る海賊伝説同様、崖から突き落とされ竹に串刺しにされるという残忍な殺され方で、しかも、現場周辺にはハイヒールのあとが。だが、島には女性は英麗奈以外にいないはず…。犯人と疑われ思わず逃げ出した英麗奈だが、マスクの鍵は浅田がもったまま!絶体絶命の危機が迫る。
薩英戦争、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争、西南戦争…激動の幕末・明治を駆け抜けた男、村田経芳。近代「もの作り」の開祖にして、村田銃の開発者。欧米にも知られた名射撃家の波乱の生涯を描く長編時代小説。
幸せに見捨てられた女。偽りの幸せにすがる女…。緩慢な日常の流れの中に身をまかせる女たちが、決意する一瞬。誰も、気づかぬうちに、女は心に変調をきたす。偽りの幸せなんて、許さない。あの人の不幸を、心から願う-。直木賞作家の円熟味あふれる9つの物語。