出版社 : 幻冬舎
2次予選での課題曲「春と修羅」。 この現代曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。 マサルの演奏は素晴らしかった。 が、明石は自分の「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。 12人が残る3次(リサイタル形式)、6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に勝ち進むのは誰か。 そして優勝を手にするのはーー。
引っ越しのために部屋を片付けていた千波は、読んだ覚えのない一冊の本を見つける。ページをめくると、未開封の手紙が挟まっていた。差出人はYUKI。そこには、「わたしも人を殺したことがある」と書かれていた。YUKIって誰?私は人を殺したの?千波の過去の記憶を巡る旅が始まった。切なくも温かな真実が明らかになる感動のミステリー。
企業間に起きた問題を、秘密裏に解決する鶴谷康。半年前の土地トラブルで銃撃された傷が癒えぬ中、入院先の理事長から病院開設を巡る土地買収の処理を頼まれる。一度は仮契約まで進んだ話だが、売主が約束を反故にし、行方を晦ましているらしい。その裏では関西のヤクザによる跡目争いが絡みー。捌き屋稼業引退の危機!?鶴谷に秘策はあるのか。
地球上、もっとも珍妙で愉快な生き物、それは男。ハドリアヌス帝、プリニウス、ゲバラにノッポさんに山下達郎さん。古今東西の男を見れば真の「男らしさ」が見えてくる?世界的、はたまた極私的目線で観察し倒す新男性論。
いぶし銀の働きでお夏を支える料理人の清次が、哀しき母子との交流を人知れず深めていた。女の亭主は理由あって旅に出ているのだという。やがて旅帰りした亭主と対面した清次は、その男に好感を抱く。だが彼の眼差しには、修羅場を潜った者特有の鋭さが含まれていた。男の過去に一体何が?脛に傷持つ者は幸せになれないのか?感涙の第九弾。
警察官の姉が東シナ海の訓練で行方不明となって五年、防衛上の機密を理由に当局が真相を明らかにしないなか、新聞記者の山本秋奈はキャリア官僚の堀口とともに謎を追う。折しも沖縄ではオスプレイの墜落、県警本部長狙撃など事件が続発。一見無関係なこれらは、ある重大な国際問題と繋がっていた。圧倒的リアリティで日本の今を描く情報小説。
同族会社、墨田鉄工所社長の川野宗平は少数株を凍りつかせたまま放置。理不尽に泣く少数株主を救うため、豪腕弁護士の大木と、伝説のエリート経営者・高野が立ち上がる。少数株は法外な相続税を負わせる疫病神にもなれば、20倍の価値に跳ね上がることもある。紙くず同然の株を大金に変えろ!法律を熟知した企業弁護士が描く怒濤の逆転劇。
高知で農家を手伝う北嶋英二の双子の兄が自殺した。「農地を祇園京福堂の清水京子に譲る」と書かれた遺書を持ち英二は京子を訪ねるが、彼を兄と間違い“失踪した恋人”との再会を喜ぶ姿に真実を伝えられない。ところが翌日、京子と職人の密会が発覚。京子は兄を愛していたのかそれともー。ここは腹黒の街。美しき京女の正体を“よそさん”は暴けるか。
地味なのに男性社員人気が高すぎる総務の江崎さん。居眠り常習犯でも、出す企画はすべてヒットする同僚のモニワくん。恋人がいなくても擬似恋愛でキレイになる後輩。「なんだか最近、あの人変わった?」と噂される彼らの秘密は、職場でのあり得ない行動に隠されていた。人を元気にする面白おかしい仕事ぶりが18篇収録されたショートショート集。
若村未来の前に、疎遠だった祖母の妙子が現れた。しかし会うなり祖母は倒れ、介護が必要な状態にー。「いっそ、ぽっくり死んでくれたら」と実家の両親は祖母を見捨て、未来はひとりで看る決意をする。日に日に物事を忘れ、暴れ回る祖母。老人ホームなどの施設も空きがなく、お金に困った未来は、自分の身体を売り、ある事件を引き起こす…。
祝儀能殺人事件を解決した労を称えられ、稲生下野守から茶会に誘われた多田文治郎。世に名高い陶芸家・沼波弄山が主催する茶会は趣向を胸らした宴席へと続いたが、山場となった江戸では珍しい「普茶料理」の最中、厠に立った客が何者かに殺される。犯人は列席者の中に?手口は?文治郎の名推理が始まった。人気の時代ミステリ、待望の第三弾!
1968年(昭和43年)12月10日、府中で起きた「三億円事件」。白バイ警官に扮した犯人は盗んだ三億円とともに永久に消えた。昭和を代表するこの完全犯罪事件に、人気のミステリー作家5人が挑んだ競作アンソロジー。事件に翻弄される者、助けられた者、模倣する者、犯人に恋する者ー。事件を題材に描く5つの物語は、謎の真相に迫れるのか?
見合いの席で一目惚れ、没落華族の元に嫁いだ、豪商の娘・菊乃。しかしそこは地獄だった。妾の存在、隠し子、財産横領、やっと授かった我が子の流産ー。菊乃は、欲と快楽を貪る旧弊な家の中で、自立することを決意すると、高慢な女中頭に暇を出し、傾いた財政を立て直す。激動の明治に鮮やかに華開く女の一生。
表の顔は米問屋の居候、裏の顔は二代目鼠小僧の百地市郎太。相棒のお藤と旗本屋敷に忍び込んだその時分に古本屋で残忍な殺しが発生し、町方の大谷木から下手人の疑いをかけられてしまう。そもそも市郎太を鼠小僧ではないかと怪しんでいた大谷木。市郎太はその考えを逆手にとって探索の助を申し出るのだが…。大人気の最強義賊伝、圧巻の第三弾!
慶安三年、町人の悪党集団「町奴」の頭領・幡随院長兵衛が何者かに殺された。対立する旗本の悪党集団「旗本奴」の頭領・水野十郎の仕業ではないかと疑う町奴側は報復を画策。お菊という女をめぐって両者の関係はさらにこじれ、楊枝屋の女侠客お吟、凄腕女剣士の佐々木累らを巻き込んで、全面抗争へと発展していく。一気読み必至の痛快時代小説!
日本橋の乾物問屋に生まれながらも博徒の道を歩んできた丹次。できそこないの自分にいつも優しかった兄・佐市郎の窮状を知り、八丈島から決死の覚悟で島抜けした。ようやく着いた江戸で佐市郎や家業を潰した兄嫁と情夫の行方を捜すが、追われ者の身ではままならない。そんな折、ふと懐かしい悪友の顔が浮かび…。人情沁みるシリーズ第二弾。
大坂の生國魂神社に笑いの神様がいるー。その名は米沢彦八。まだ笑いが商売になっていない江戸中期に、大名の物真似で権力に歯向かい、滑稽話で聴衆の心を掴んだ男。仲間の裏切りや盗作騒動など、多くの挫折を味わいながらも自分の笑いを追求していく彦八。笑いで人を救い、笑いの為に一生をなげうった愛すべきぼんくら男、波瀾万丈の一代記。
老中水野忠邦の改革に楯突いたとして、南町奉行を罷免された矢部定謙に、桑名送りの沙汰が下った。北町奉行遠山金四郎は、今生の別れをと、厳しい監視を掻い潜り矢部に会う決意をする。一方、下谷の常磐津の師匠宅に賊が押し入った。三両が奪われ、師匠の間夫が殺されたという。探索を指示する金四郎だが、事件の裏に水野の手下の気配がしてー。