出版社 : 徳間書店
愛くるしい表情を見せるかと思えば、ふいとどこかにいなくなる。猫という生きものはまあ、気まぐれなもの。そんな猫と人間たちが、江戸の町を舞台に織りなす喜怒哀楽。時代小説の名手たちによる傑作を、歴史小説家の気鋭・澤田瞳子がセレクト。時代小説好きはもちろん、猫好きの方々にもお楽しみいただける一冊。巻末に収録された解説『文学における「猫」の位置づけ』は出色。
アイドルに憧れて上京したものの、なかなかチャンスに恵まれないルミ。平凡な高校生だったはずなのに、修学旅行でスカウトされてアイドルの階段をのぼる寿子。二人の運命が交錯するとき、強盗殺人犯が現れて事態は思わぬ方向へ…。盗むことにかけては右に出る者のいない淳一と美人刑事真弓の夫婦が今回直面したのは、卑しい大人たちの事情による、とある策略だった。淳一・真弓コンビは、女の子たちを守ることができるのか。大好評「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ堂々の第二十巻!
私立探偵・影乃は相棒の雪永とともに谷内義光の惨殺死体を発見。ほどなく蔵主グループ会長・蔵主喜一郎の豪邸で、金庫を狙った窃盗団を撃退する。蔵主は、影乃の仕事仲間の私立探偵・唐渡美知子に、出奔した長男・清太郎の捜索を依頼した。家族の内紛に揺れる蔵主グループには、企業乗っ取りをたくらむ証券仕手筋の奸計が迫っていた…。金と欲の渦巻くバブルに踊る80年代末の東京を舞台に、「影の探偵」が凶悪犯罪を追うハードボイルド・ミステリー!
深夜二時、帰宅途中に何者かに拳銃を突きつけられた若手タレントの双葉サユリは、ダルタニアンと名乗る男に助けられる。一ヶ月前、仕事で訪れたP国で反政府ゲリラ狩りを目撃してしまったことが、狙われた原因らしい。「誰かに相談したくなったら、訪ねておいでなさい」ダルタニアンの言葉に従い、サユリは鈴本芳子の家を訪ね、“第九号棟の仲間たち”に助けを求める!好評シリーズ長篇。
老舗呉服問屋「京野屋」の隠居・文左衛門が斬殺された!下手人は一人。悲鳴をあげる間もない一瞬の出来事だった。しかも最愛の孫娘・里の見合いの日だったのだ。化粧や着付け等、里の「拵事」を調えた縁で銀次郎も探索に乗り出した。文左衛門はかつて勘定吟味役の密命を受けた隠密調査役を務めていたという。事件はやがて幕府、大奥をも揺るがす様相を見せ始めた!怒涛の第一巻!
わけあって武士を捨て、高瀬川界隈で評判の居酒屋「尾張屋」の主となった宗因は、かつての朋輩を訪ねて淀に出かけた。その帰途見かけた田圃を耕す初老の男が、四国遍路に出かけたはずの塩問屋播磨屋の主であることに気づき問いただすことに。播磨屋が語り始めた予想外のいきさつは…。高瀬川に集う市井の人々の哀歓と人生の機微を描いて深い感動を呼ぶ珠玉の連作集。
旅行ライターの細川浩が殺され、契約している貸金庫から、箱根細工の箱と奇妙な言葉が記された観光地図が出てきた。死体が発見される直前、貸金庫を開けようとした男が箱根・大涌谷で殺害され、三年前に美術評論家の江本タカシが、早世の画家・白井敬について書いたエッセイとの関わりが浮上してくる…!?白井の幻の絵が発見されれば、時価数億円になるというのだ!!
剣持直樹は、警視庁が非公式に組織した極秘捜査班の主任だ。ある朝、彼は代々木公園をジョギング中に若い女性の全裸死体を発見する。十日前にも花園神社で同様の事件が起きていた。ふたつの事件の遺留精液は同一人物のものと判明。その男は十一年前にも強姦殺人を犯し、服役後出所していた。だが容疑者にはアリバイがあった。練達の捜査班が迷宮入り寸前の難事件に挑む長篇サスペンス。
猛将・森三左衛門の三男として美濃・金山城に生をうけた森乱丸。それは織田信長が天下布武を決意した年のことだった。やがて才気溢れる若者に成長した乱丸は、天下人を目指す信長の側近くに小姓として侍ることになる。魔王の覇道を共に歩む近習衆、そして名だたる戦国武将たち。美しき若武者の目に映じた彼らの姿と心の裡とは…。主君の大望を果たすため、乱丸は自らの命を賭ける!(宮本昌孝×火坂雅志「特別対談」を収録)
近侍たちの中でも信長の厚い信頼を得る万見仙千代に亡き兄の俤を重ねる森乱丸は、才気ほとばしる言動で頭角を現してゆく。長年の宿敵であった本願寺を降し、朝廷さえ足下に組み伏せる勢いの信長であったが、その心の裡は孤独だった。百年の乱世を畢わらせ、天下をひとつにすることを己に任じる信長が第六天魔王ならば、乱丸は魔王の子。乱丸にとって主従の絆は絶対のものだった。
織田家の出頭人のひとり惟任日向守光秀の裡に兆した翳りに気づいた乱丸は、光秀とイエズス会の動向を探りはじめていた。乱丸は安土城下屈指の女郎屋を営む謎の女キリシタン・アンナにイエズス会の内情を探らせるとともに、彼女に思いをかけていたのだ。もとより主君への忠誠とアンナへの思いは比べるべくもなかったが、運命の日の朝、乱丸は自らの存念を問われることになる…。
上海の空港でツアー中の女子大生が覚せい剤密輸容疑で逮捕された。彼女の父親は、二十年前に群馬県で起きたスーパー女性店員三人殺害事件の容疑者だった。そしてツアーを企画した旅行代理店社員は同事件の被害者の娘だったことがわかる。ツアーには被害者遺族三人も参加していた。時効を過ぎた後も真相を追い続けた県警ベテラン刑事の執念がいま全てを暴く。書下し長篇推理サスペンス。
まるで時の女神がうっかり回収し忘れたような。北の大地の片隅に、ぽつんとたたずむ中学分校には、一年生四人と三年生一人が学んでいた。たった五人でも、自称霊感少女もいれば嘘つきな少年もいる。そこに赴任してきたのは、やる気皆無の若い教師。けれど、やがて彼が知ることになる少年の嘘の痛ましいわけとは?ころびながら、くじけながら明日を探す、五人の青い魂の物語。
「これから“作戦”の説明をする」。米軍機F22との模擬格闘訓練を終えたばかりの自衛隊のパイロットに向けて語られるアメリカ空軍からの指令。それは「亜細亜のあけぼの」と自称するテロリスト“牙”にまつわるものだった。日本をテロの恐怖に陥れ、ベトナム編隊を全滅させ、護衛のアメリカ空軍を手玉にとった因縁の相手“牙”との対決の刻、迫る。大好評スクランブルシリーズ最新刊!
博多の仏師・清三郎は木に仏性を見出せず、三年間、京へ修行に上る。妻のおゆきは師匠の娘だ。戻ると、師匠は賊に殺され、妻は辱められ行方不明になっていた。ようやく妻が豪商・伊藤小左衛門の世話になっていると判明。お抱え仏師に志願し、十一面観音菩薩像を彫り上げた。しかし、抜け荷の咎で小左衛門は磔となり、おゆきも姫島に流罪になってしまう。おゆきを救うため、清三郎も島へ…。
粉もん発祥の地・神戸には、ソースを作るメーカーが何社もあり、それぞれがお好み焼き用、焼きそば用、たこ焼き用など、たくさんの種類を販売している。それを数種類ブレンドし、かすを入れたのが、長田地区のお好み焼き。人気店「駒」でも同じだが、店で使用するソース会社が経営の危機に陥った。高利貸し、ヤクザ、人情篤い任侠、おまけにB級グルメ選手権の地方選抜が絡んで…。
水都セキュリティーサービス警護課に所属する岡崎大希は、グループ総帥じきじきに呼び出され、ある特殊任務を与えられた。それは、宗教団体アマツワタリの指導者である天川煌という十七歳の少女の護衛だった。教団の内紛で事故にあった彼女は入院中。さまざまな思惑を持つ連中の追跡を振り切り、彼女をようやく安全なホテルへ送り届けたと思った矢先、大阪府ほぼ全域が、異世界に転移した!!(日本SF大賞受賞『突変』シリーズ新作)
これはうつつのことなのかー。目付・川名佐吉のいる備中高松城は、秀吉による兵糧攻めの一環として、周囲を水で囲まれ、陸の孤島と化していた。そんな中、城中で老臣の暗殺が起きる。早速、佐吉は犯人探しを始めるが、飢えと日を追うごとに増す水位、非協力的な家臣たちが邪魔をし、調べは遅々として進まない。さらに、何者かの凶刃が佐吉の命を狙い…。密室の城で一体何が?!