出版社 : 徳間書店
ミステリ通たちを驚喜させた傑作書下し長篇。探偵小説を超えた探偵小説。初恋の相手は殺人容疑者。死体の脇で発芽したアブラナ科の子葉は無実の鍵なのか。13歳の姫子は追う。絡むウネ子60歳。男は逃げる。恋は切ない。愛はもつれ残酷だ。
大江戸の風物をめぐる七つのからくりを八丁堀同心・夢裡庵が解き明かす。七つのからくり-三乳観音の謎、愛染様の血箭の謎、踊る新造の謎、古い絵銭の謎、吉相黒子の謎、南蛮かるたの謎、当たり富くじの謎。
隆盛を誇る大唐帝国、花の都長安。陽が西方に傾く頃、長安城から天に向けて霧のような妖気がたちのぼった。それを感じ取った一人の風来坊が格式を誇る妓楼・紅花楼に上り、捜していた人物と対面した。相手は唐朝の重臣、諌議大夫・魏徴であった。長安の坊城に血の飛沫が流れるという面妖な事件を語る魏徴に、事件解決を約したこの漢は、一体何者なのか。華麗なる大武侠小説、待望の文庫化第一弾。
1999年、ロサンジェルス。政府は究極の警官訓練設備を開発させた。人工知能テクノロジーによる最新鋭のバーチャル・リアリティ・シミュレーターで、犯人追跡技術をテストするのだ。その犯人とは、183人の犯罪者の最悪の要素を合成したシド6・7。だがある日、シドは現実空間へ逃亡する。捜査に選ばれた元警官パーカー・バーンズは、シドを形成する人格の一部が自分の妻子を殺した男であることに気がつくー。
俺は“キツネ”。元ヤクザだ。元相撲取りの蒼ノ海とともに東京を追われ、札幌の旅館に宿泊していた。女将の工藤純子に惚れた弱みから、面倒なことに巻き込まれた。純子に弟の武彦を更生させるよう頼まれたのだ。純子は武彦の博打のせいで多額の負債を愚連隊の大神組にかかえていた。愚連隊のボス・大神に会った俺はなぜか大神と意気投合してしまい、いつのまにか地元の暴力団の吉本組襲撃を手伝い、さらには秘境・白神山地に行く羽目に…。都会に敗れた男と女のねじれた愛憎が迸る究極の暴力ブルース第2弾。
石神探偵事務所の野上英太郎のもとに、またしても奇妙な依頼-名門修己学院高校理事長の母親・森名スエが、孫の保一の先祖を敬う気持ちが本物なのかどうかを調べてほしい。もし、先祖をないがしろにするうつけ者であったなら、保一を学院から追い出して養子をとるというのだ。野上と助手の狩野俊介が保一の調査を始め、森名邸を訪問した夜、保一の部屋で異変が。森名家に伝わり、現在、邸から十キロも離れた寵福寺に保管されている四メートルの降魔弓から射られたと思われる矢が、保一の胸を貫いていたのだ。
東京・青山にあるニューオリエンタル・ホテルの支配人、北見慎吾は仕事も好きだが、女性はそれ以上、三度の飯よりも好きなフェミニスト。その淑女喰いの卓越したテクニックとタフネスぶりから、「今業平」との異名もとっている。その日、久しぶりに来迎寺摩里枝がチェックインした。摩里枝は、父親の急死によって二代目を引き継いだばかりの旅行代理店・東京ツーリストの若き女社長。激しいラブメイクの後、北見は摩里枝から意外な話をきかされた…。長篇官能サスペンス。
リバプールの貧しい教区にある教会に、若く美しい司祭グレッグが赴任してきた。強い信念を持つ彼は、先輩の司祭が女性と同棲していることに憤りを覚えるが、ある夜、彼が向かったのはゲイたちが集まるディスコだった。そんなある日、告解でリサという少女から父親との近親相姦の悩みを打ち明けられる。グレッグにできることはほとんど何もなかったが、このことが彼自身の秘密の暴露へとつながってゆく…。全米でカトリック教会をボイコットに立ち上がらせ、ついにローマ法皇が抗議の声明を発表した衝撃の問題作。
高校二年の武藤類子は、剣道部に在籍する、可愛い現代っ子だ。三年ぶりに偶然出会った先輩の高杉に連れられ、彼がマネージャーをしているというバンド“パルス・ギャップ”のメンバーや、スタジオ・ミュージシャンの速水果月に紹介された。数日後、すっかり親しくなった彼らが、一人暮らしを始める類子のため、引っ越しを手伝いにやって来ると、まだ誰にも番号を教えていないはずの電話のベルが鳴り始めた。
1980年代、アメリカ三大ネットワークの一つNBCで最初のアンカーウーマンとなったジェシカ・サヴィッチ。彼女こそはアメリカン・ドリームを生きた女性だっ。美しく賢く、競争の激しい報道の世界で30歳で成功する。が、つらい過去と秘密があったー。彗星のように現れ、36歳の若さで怪死した実在の人物サヴィッチの華麗なる生涯を描いたノンフィクション。映画「アンカーウーマン」の原案原作。
大和沖縄出撃に伴い空前絶後の隠密作戦が準備されていた。昭和二十年四月二日、知覧。陸軍第六航空軍楠本琢郎中尉は集団司令部への呼び出しを受けた。そこで聞かされた作戦は正に楠本の度肝を抜くものだった-楠本率いる空魔遊撃隊に、日系米兵になりすまし、拿捕したグラマンF6Fヘルキャットで米旗艦バンカーヒルに乗り込み、ミッチャー中将を人質にとって乗っ取れというのだ。そして大和が沖縄に着くまで、敵の反撃を阻止する-誰も知らなかったドラマがいま歴史の裏で幕を開く。注目のシミュレーション。
村を焼かれ、両親、仲間を殺されて、ジャングルにとり残された少年達。彼らの前に現れたのは、よその国から来たと思われる一人の女性兵士だった。その女は、少年達に自分を“お母さん”と呼ばせ、武器の扱いやジャングルでの移動の仕方を叩き込む。厳しい戦闘訓練が始ったのだ。ジャングルにひそむ“敵”との遭遇、病気…15人になった少年達の行手に待ちうけるものは…。そして“お母さん”の目的は。『後宮小説』で華々しいデビューを飾った酒見賢一の新コンバット・アクションにオリジナル短篇を加えた傑作集。
米国の陰謀か、中国の龍舌に呑まれるか新金融システム戦争勃発。消えた1兆ドルの貿易黒字と崩落の日本経済に起死回生の途「円のアジア化」を策す銀行に立ちはだかる巨大な陥穽…。驚愕の書下し警告経済小説。
その日の朝、一等陸佐の許に届けられたのは、かつて彼の上官だった退役陸将補の死を告げる省内通信であった。葬儀に出席した彼は、参列している情報関係者の不審な態度から、老人の死に彼らが関与していたことを直感する。時を追うごとに膨らむ不安ー。保全部が音も無く調査を開始、さらに防衛庁内でもその実態が知られていない対敵諜報部門が動き出したことで、それは確信へと変わっていく。書下し長篇。
無線器の故障で終戦を知らず、太平洋戦争最後の敵機撃墜をマークした男、藤巻誠二。戦犯すれすれの元陸軍大尉は、プロフェッショナルな素質と経歴を見込まれた各国のわけあり連中と共にC-47輸送機の中にいた。彼らに与えられた栄光ある特殊任務とは、無差別攻撃の暴走を始めた超弩級重戦車T-97『アキリーズ』を破壊すること。六人のはみだし野郎が戦争始末に挑む「ロジャーズ・ラフネックス」シリーズ第一弾。