出版社 : 文芸社
製鉄会社の企業戦士として海外に旅立つ父とそれを見送る母と幼い兄妹。私にとって父の残像は鉄とともに生きる姿だった。-昭和の家族史。文芸社×毎日新聞(営業総本部)「第6回人生十人十色大賞」長編部門最優秀賞作品。
この世を正しい方向に導くために活躍した英雄たちがいた。彼らの苦悩と葛藤を知ることで、正しく生きることの大切さを知り、この国の未来のビジョンを獲得しなければならない。高次元の光の存在である神仏たち、そして神仏に寄り添って行動した英雄たちが織りなす歴史こそが、真実の日本の歴史なのである。
やくざ絡みの殺人事件や、正体不明の人物を送り届けることから猫の捜索まで。表向きは司法事務所、実態は調査や探偵もやる來栖穣介は、非合法なこともするが、基本的に正義の味方で人情派。駆け引きをする相手、こらしめる相手は曲者ぞろい。一話完結のドラマを存分に楽しめる連作短編集。
神学部元教授・八色ヨハネ先生は去る十一月一日に、一人暮らしをしていた大阪市西成区のアパートで死亡しているのが発見された。享年八十八。先生は生粋の日本人であったが、「約翰」と名付けられた。聖書にはヨハネがたくさん登場するが、先生の名前はイエスの先触れとなった洗礼者ヨハネから取られたそうだ。そんなヨハネ先生は、どのように生き、どのように死んだのかー。信仰とは無縁の人たちにも「人間が生きること」の意味を考えさせられる圧巻の一作!朝日新聞Reライフ文学賞第二回長編部門最優秀賞受賞作。
パリでテロに遭遇し危うく命を失いかけたところをビビアンに救われたベネディクトは、その鮮烈な出逢いに激しく心を揺さぶられる。のちに再会した二人は強く惹かれ合うが、ビビアンには特殊戦闘員としての戦いの使命が待っていた。その頃、同じく特殊戦闘員のイングリット、グレース、ウーテにもそれぞれの宿命が迫っていた。暗闇から光へ。愛と戦いに命を輝かせる女性たちの煌めきと切なさを描いた長編小説。
元自衛官の村主は、残虐な殺人事件により恋人の雪乃とその家族を失った。犯人は二十歳の男で、危険運転を咎められたゆえの身勝手な犯行だった。村主の怒りは、犯人、その妻、そして彼らの一歳の息子へと向けられる。第5回草思社・文芸社W出版賞金賞受賞作品。
お母さん、死んじゃったけど、心の奥にいるもん。悲しくなったらマンタのように飛んできて、ギュって包んでくれるもん。-あの場所に行けばきっと会える。母との約束をかなえる夏。2021年バレンタインプロジェクト最優秀賞受賞作品。
「頼んだぞ、約束だ」目を見て頷いた。優しい目で父は、よしよしというように二度頷いた。一年経った祥月命日の頃には、私の生活は父が生きていた頃とほとんど変わらない毎日に戻っていた。しかし、時々はふっと思い出す。あの時、父は私に何を頼んだのだろうか、父と何を約束したのだろうか。葬儀の日に大人たちが私に言ったこととは違う、何か特別の大事な約束だったのではないかと。幼かった私が亡き父との約束を果たすまでの五十七年間の物語。文芸社×毎日新聞(営業総本部)「第3回人生十人十色大賞」長編部門最優秀賞作品。