出版社 : 文芸社
大化改新殺人事件大化改新殺人事件
蘇我家の秘宝がどうなったのか?志摩人は、誰に、どのようにして殺されたのか?千二百余年の歴史を秘めたこのような謎には、利敬としても、極めて興味を掻き立てられる。利敬の手にした蝋燭の揺れ動く淡い光芒の中に、古代衣裳を纏った父と娘の悲劇的な対面の情景が、ぼんやりと浮かんでいる。それは、この世のものとも思われない美しくも異様な眺めであった。
黄昏の才黄昏の才
売れないミュージシャン・音無のもとに、アーティストとしてCDデビューする話が舞い込む。これが世に出る最後のチャンスと、音無はアルバム制作にすべてを賭けるが…。自分が、何者でもなかったことに気づいた時、夢は静かに消えてゆく。黄昏の残照のように-。夢、焦り、絶望、そして孤独…、青春の残酷な結末は。