出版社 : 早川書房
失踪した夫を捜してくれないかー元刑事のパレスは、知人女性にそう頼まれる。小惑星が地球に衝突して人類が壊滅すると予測されている日まで、あと七十七日。社会が崩壊していくなか、人ひとりを捜し出せる可能性は低い。しかし、できるだけのことをすると約束したパレスは手がかりをたどりはじめる。奇妙な店、学生たちが支配する大学、難民が流れつく海辺…捜索を始めたパレスは、混迷する終末の世界を目にする。『地上最後の刑事』に続き、世界の終わりの探偵行を描いたフィリップ・K・ディック賞受賞作!
人間と認められるのは12歳以上、12歳未満の子供は人間と認められず、狩り立てられてしまう…衝撃のディストピアを描いた表題作を、新訳で収録。長篇『ユービック』と同一設定の中篇「宇宙の死者」、ディック短篇の代表作として知られる現実崩壊SF「地図にない町」(新訳)、侵略SF「父さんもどき」、書籍初収録作「不法侵入者」、晩年の異色作「シビュラの目」ほか、幻想系/子供テーマSF全12篇を収録する傑作選。
棘のある舌で少女を舐め苛む怪異な男爵の物語…?日本の稀覯本『猫舌男爵』の翻訳に取り組む外国人翻訳家ヤン。だが、言葉と文化のギャップは誤解と憶測を呼び、ヤンと本の関係者たちを思いがけない運命へ導く。爆笑必至の表題作他、死期が近づくと水槽に入る奇妙な世界の死生観と孤独を描く「水葬楽」、女性画家の生涯を死亡時点から遡ることで驚愕の真実が明かされる「睡蓮」など、小説の無限の可能性を示す奇談集。
テロや民族紛争の激化に伴い発達した近接戦闘兵器・機甲兵装。新型機“龍機兵”を導入した警視庁はその搭乗員として3人の傭兵と契約した。警察組織内で孤立しつつも彼らは機甲兵装による立て籠もり現場へ出動する。だが事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた…日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞の“至近未来”警察小説シリーズ第1作を徹底加筆した完全版。必読の特別企画多数収録。
突如として世界に出現した謎の領域“エリアX”。そこでは生態系が異様な変化を遂げ、拡大を続けていた。監視機構“サザーン・リーチ”に派遣された、生物学者をはじめ女性4名からなる調査隊は領域奥深く侵入し、地図にない構造物を発見、そしてそこに棲む未知の存在を感知する。さらに進むべきか、引き返すべきか?無事に帰還できた隊は過去に存在しない…。大型エンタテインメント“サザーン・リーチ”三部作開幕。
若手文楽人形遣いの屋島達也は、師匠・吉村松涛のもとで充実した修業の日々をおくっていた。そんなある日、達也は怪しげな魅力を持つ花魁の文楽人形「桔梗」を見つける。桔梗は『しだれ桜恋心中』という演目専用に作られた、特別な人形らしい。だが、約60年前に『しだれ桜恋心中』が上演された際、技芸員が次々と不審死を遂げていたことを知り、達也は桔梗に近づくことを恐れはじめる。一方、補助金削減問題に揺れる日本文楽協会は、『しだれ桜恋心中』を呪いの演目として興行し、観客を呼びこもうとするが…。一つの演目に込められた想いが引き起こす悲劇を描いた、第4回アガサ・クリスティー賞受賞作。
貧しい村に生まれた少女は、三歳のときに都会の子供のいない裕福な夫妻に引き取られる。親代わりとなって少女を育ててきた兄は、つらい別離の後も妹のことを思いつづけるが…『君のためなら千回でも』の優れたストーリー・テラーがおくる傑作長篇。全世界で450万部突破。
奔放な母との関係に悩む聡明な若い女性。傷を負った都市で働く医師の人生を変えた少年期の出会い。様々な土地で人々が織り成すドラマは、貧しい兄妹が引き離されたあの日につながっていた。普遍的な愛を描き、70カ国以上で刊行が決定した世界的ベストセラー。
西暦2400年、地球はナノハザードによって廃墟と化し、人類の多くはデータとなって電脳世界ディーヴァで暮らしていた。しかしディーヴァが、フロンティアセッターと名乗る謎の存在からハッキングを受ける。ディーヴァの捜査官アンジェラは、マテリアルボディを身にまとって地球に降り立ち、地上捜査員ディンゴとともにフロンティアセッターの謎を追う。虚淵玄(ニトロプラス)×水島精二の話題のアニメを完全ノベライズ。
劇場アニメ「楽園追放ーExpelled from Paradise-」の世界を構築するにあたり、脚本の虚淵玄(ニトロプラス)が影響を受けた傑作SFの数々-W・ギブスン「クローム襲撃」、B・スターリング「間諜」などサイバーパンクの初期名作から、藤井太洋、吉上亮の最先端作品まで8篇を厳選収録する。「楽園追放」の原点を探りつつ、サイバーパンク30年の歴史に再接続する画期的アンソロジー。
私立探偵フィリップ・マーロウのオフィスを一人の優美な女が訪れた。その名はクレア。髪はブロンドだが、瞳は黒色という珍しい取り合わせだ。香水会社を営む裕福な一族の出だという彼女は、突然姿を消したかつての愛人を探して欲しいと依頼する。マーロウは、なぜ自分にと訝りながらも、この美しい女の依頼を受けて調査を始めた。それが忘れがたい過去と再び向きあう契機になるとは知らず…。英文学最高峰のブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが別名義で挑んだ、チャンドラー『ロング・グッドバイ』の公認続篇!
“泥沼の家”と呼ばれるその部署は、英国情報部の最下層だ。不祥事を起こした部員はここに送り込まれ、飼い殺しにされるのだ。若き部員カートライトも訓練中のミスのせいでここに放り込まれ、連日ゴミ漁りのような仕事をさせられていた。もう俺に明日はないのか?ところが英国全土を揺るがす大事件で、状況は一変した。一か八か、返り咲きを賭けて“泥沼の家”が動き出す!英国スパイ小説の伝統を継ぐ新シリーズ開幕。
何千年ものあいだ、石と嵐の世界ロシャルは全能神から遣わされた十人の使徒により守られてきた。だがその彼らも“無をもたらすもの”との終わりなき戦いに力つき、あとには人類を見捨てた“光の騎士”伝説と、破片剣と破片鎧という武器だけが残された。そして4500年後…アレスカル国とパルシェンディとの同盟締結を祝う宴の夜、サージ結束者にして破片剣の使い手“白き暗殺者”によって国王ガヴィラルが弑されてのち、ロシャル全土は血で血を洗う新たなる激動の時代に突入した!ホイットニー賞、デイヴィッド・ゲメル・レジェンド賞に輝く、壮大なスケールのファンタジイ絵巻、開幕!
“サラセン”のテロ計画は、ついにその準備を終え、実行の日が迫っていた。かすかな手がかりをつかんだ“ピルグリム”は、最後の望みをかけて“サラセン”の過去を追う。まったく姿の見えなかった敵の姿がおぼろに浮かびかけ、衝撃が“ピルグリム”を襲う。だが、計画決行までの時間は残り少ない。意を決した“ピルグリム”はついに危険極まりない賭けに出るが…雄大なスケールで驚異のマンハントを描く超大作、完結!
作家志望の青年は、新人賞に落ち続けることに絶望し、人生最後の旅に赴く。名前を棄て、家族を棄て、友人を棄て、わずかな金と数枚の黒い服、数冊の愛読書を黒いトランクに詰め込んだ。金田耕一、明田五郎、神沢恭一、星川龍一…古今の名探偵にちなんで名乗った偽名ゆえか、青年は行く先々で奇妙な事件に出会う。そして、旅が終わりを告げるかに思われた東京・信濃町のアガサ・クリスティー賞授賞式の会場でも悲劇は起きた!三沢陽一、有栖川有栖、東直己、森晶麿、青柳碧人、千街晶之、笹川吉晴等々、関係者が実名で登場する授賞パーティの最中に起きた殺人事件の真相とは?5篇収録の本格ミステリ連作集。
仏滞在中の黒猫は、ラテスト教授からの思想継承のため、イタリアへある塔の調査に向かう。建築家が亡くなり、設計図すらないなかでなぜか建築が続いているという“遡行する塔”。だが塔が建つ屋敷の主ヒヌマは、塔は神の領域にあるだけだと言う。一方、学会に出席するため渡英した付き人は、滞在先で突然奇妙な映画への出演を打診され…。離ればなれのまま、ふたりの新たな物語が始まるー。人気シリーズ第5弾!
ドイツのハンブルクにやって来た痩せすぎの若者イッサ。体じゅうに傷跡があり、密入国していた彼を救おうと、弁護士のアナベルは銀行経営者ブルーに接触する。だが、イッサは過激派として国際指名手配されていたのだ。練達のスパイ、バッハマンの率いるチームが、イッサに迫る。そして、命懸けでイッサを救おうとするアナベルと、彼女に魅かれるブルーは、暗闘に巻きこまれていく…スパイ小説の巨匠が描く苛烈な諜報戦。
イタリア駐留米軍基地の建設現場で発見された人骨は、第二次世界大戦中に謎の失踪を遂げたパルチザンのものだった。当時何があったのか?その頃、憲兵隊の大尉カテリーナと米軍の情報将校ホリーは、米軍少佐の娘ミアの誘拐事件の捜査を始める。犯人は基地の建設反対を訴えて、ミアを責め苛む映像をインターネットで全世界に配信する。狡猾な犯人に苦慮するカテリーナとホリーはSNS「カルニヴィア」の創設者ダニエーレに協力を求めるが…。壮大なミステリ三部作、波瀾に満ちた一気読み必至の第二部が登場!