出版社 : 早川書房
才気煥発で有能な軍人であり、数数の勲章を授与された英雄ウィルソン・コール。共和宙域辺境に左遷された彼は、やがて腐敗した共和制政府と航宙軍に嫌気がさし、仲間とともに老朽巡視艦“セオドア・ルーズベルト”を奪取、星図すらない辺境宙域へと脱走した。これからは海賊として生きるのだ!だが狙うは無辜の商船ではなく、同業者の海賊船だった。難破した貨物船を装い、海賊船をおびきよせた初仕事はうまくいったが…。
カリブ海に浮かぶリゾート島、グアドループに降り立った子連れの妊婦、ロジー・カルプ。彼女はフランス本土での暮らしに疲れ、成功を収めている兄ラザールを頼ってこの島に流れ着いたのだ。しかし、空港に迎えに来るはずの兄は一向に姿を現さない。なぜ身内からさえ、こんな仕打ちを受けなくてはいけないの?彼女の苛立ちは募った。やがて、息子のティティがぐずり始めた頃、身なりのよい黒人青年ラグランがロジーに声をかける。青年は、兄の代理で迎えに来たのだという。ロジーとティティは青年の真新しいトヨタのピックアップに乗りこみ、新たな生活への第一歩を踏み出すが…。フランス最高峰のフェミナ賞受賞。
ケロスカーの計算者ドブラクは、ベラグスコルスを“ソル”で本格的に稼働させようとしていた。この次元エンジンを本格的に稼働させられれば、ダッカル次元を自由に航行できるようになり、ローダンたちを追跡するツグマーコン艦隊を振り切って逃げられるにちがいない。だが、ベラグスコルスの実験中、異常事態が起きた。“ソル”とともに航行している、拿捕したツグマーコン艦“モルゲン”が、突然溶解しはじめたのだ。
西暦201X年、謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子は、ミクロネシアの島国パラオへと向かう。そこで二人が目にしたのは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒斑をもつリゾート客たちの無残な姿だった。圭伍らの懸命な治療にもかかわらず次々に息絶えていく罹患者たち。感染源も不明なまま、事態は世界的なパンデミックへと拡大、人類の運命を大きく変えていくーすべての発端を描くシリーズ第2巻。
謀反人メリザンドの行方をひそかに追うため、女王イサンドルとの反目をよそおいラ・セレニッシマ都市国にやってきたフェードル。豪奢な文化が花咲くその地では、老いた統領の後継者を決める選挙を前に貴族間の緊張が高まっていた。フェードルは旧知の貴族青年セヴェリオをたより、女王の大叔父にあたるベネディクト王子、および統領に面会を図るが、やがてある危険な真実に近づいてしまう…人気シリーズ、驚愕の急展開。
ホテルで目覚めたアメリカの実業家ルドルフ・ブレイヴァマンは、不可解な思いにとらわれた。昨日はロンドンのホテルで寝たはずだが、ベルリンにいるのだ。間もなく彼は、62年前に仲間とともに五人の元SS将校を殺した罪で逮捕され、彼の息子ギデオンが一連の奇怪な事件の調査を開始する。父親の親友などの協力を得て、やがて暴き出す驚くべき国際的陰謀とは?巨匠が実力を遺憾なく発揮した待望の新作エスピオナージュ。
ラール人が仕立てた、にせものの“マルコ・ポーロ”は、アトランが用意していた欺瞞惑星オルクシィを破壊してしまった。アトラン率いるNEIの本拠惑星のポジションを知る“事情通”が、ラール人をオルクシィに案内したにちがいない。アトランとラス・ツバイの搭乗する“ソルセル=2”は、にせ“マルコ・ポーロ”を撃破すべく、ヨルショル霧状星雲に向かった。だが、そこには、思いもよらぬ存在が待ち受けていたのだ。
ドォラー海軍120隻の大艦隊は、アーマゲドン環礁をめざし出発した。そこで40隻のタロット艦隊と合流するためだ。一方、コリサンデとチスホルム、エメラルドの連合艦隊160隻も、チャリス王国を攻撃すべく出撃しようとしていた。これに対し、セェレブ王子は最新のガレオン船30隻を率いてドォラー艦隊を撃破すべくアーマゲドン環礁をめざす。またハァロゥルド国王も80隻のガレー艦隊でコリサンデ連合艦隊に立ち向かうが…。
2002年のJコレクション創刊に続き、2003年のハヤカワ文庫JA内レーベル「次世代型作家のリアル・フィクション」によって、日本SFはゼロ年代の“初夏”を迎えた。秋山瑞人のSFマガジン読者賞受賞作「おれはミサイル」、冲方丁の“マルドゥック”シリーズ外伝、日本SF大賞候補作『あなたのための物語』で注目の長谷敏司による傑作短篇ほか、SFマガジン掲載のリアル・フィクションを中心に精選した、全8篇を収録。
ヨット・レースに沸くパラダイスの港にドレスを着た女の溺死体が打ち寄せられた。レースのためやって来たヨットから落ちたのだろうか?ほどなく女の身元は判明するが、ヨットから落ちたならどこからも通報がないのは明らかに不審だ。さらなる手がかりは遠く離れたフロリダの女性刑事からもたらされた…。二転三転する展開の中に浮かび上がる男女の情欲の闇。ジェッシイの執念の捜査が唾棄すべき犯罪者を追い詰める。
人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があったー“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。
9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。
彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進めるー軽々とジャンルを越境し続ける著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化。
1920年代の冬のある日、男が若い女を撃ち殺した。女は男の愛人だった。男の妻は女を激しく憎み、柩のなかの死者の顔に切りかかった。しかし、妻は次第に死んだ愛人のことを知りたいと思いはじめる。都会に暮らす男女のなかに生き続ける、時をさかのぼる憧憬と呪縛。過去、現在、未来を自由自在に往来しながら、饒舌な謎の語り手によって、事件の背景が明らかにされていく。ノーベル賞作家が卓越した筆致で描き出す衝撃作。
ジャーナリストのローダが長年放置してきた顔の傷痕を消す決意をしたのは、母親の再婚がきっかけだったのかもしれない。高名な形成外科医を訪ねた彼女は、医師の所有する荘園に滞在して手術を受けることになる。庭には古代のストーンサークルがあり、そこでかつて魔女が処刑されたという伝説が残っていた。手術の夜、そのストーンサークルに不審な光が…そして翌朝、ローダはベッドで扼殺死体となっていた。ダルグリッシュ率いる特捜チームが現場に急行するが、事件の影にはさまざまな秘密が!シリーズが、ついに重要な節目を迎える話題作。
ラール人はアトランとの現状維持政策を破棄し、人類のかくれ場NEIを潰滅させようとしていた。かくれ場をつきとめるため、補給惑星エンジョックに潜入したNEI工作員を捜索すると同時に、ローダンのドッペルゲンガーを使った陰謀を企んだのだ。一方、ラス・ツバイは、ローダン帰還の情報を得て、その真偽を確かめようとしていた。だが、ツバイは、細胞活性装置があるにもかかわらず、重い体調不良におちいっていた。
優しい革命家は死に、その魂は若き王に継がれた。そして今、彼らの都に軍勢が迫る。全米ベストセラー、世界17カ国の読者が熱烈に支持する『ミストボーンー霧の落とし子』待望の第二部。
資産家の娘でありながら幼稚園につとめるフェイスは、結婚して子どもを持つことがいちばんの夢。だが、金目当ての男性はいたものの、彼女自身を愛してくれる相手には出会えないでいる。そんなとき、セクシーで有能なビジネスマン、コナーが、大胆にもある提案を持ちかけてきた。それはふたりの結婚。いい夫、いい父親になるのと引き換えに、フェイスの父親の会社のCEOになりたいというのだ。愛は考慮に入れない契約結婚だが、ふたりのあいだには欲望があり、それが幸せの礎になるはずだった…。めくるめく情熱、甘美で刺激的なセクシー・ロマンス。
地下鉄で乗客とトラブルになっていたところを救ったのがきっかけで、“俺”はイラストレーターの近藤と飲み友だちになった。その近藤が何者かに刺されて死んだ。友人の無念を晴らすべく、ひとり調査を開始した“俺”の前に、振り込め詐欺グループ、闇金融、得体の知れない産廃業者らの存在が…絶体絶命の窮地に陥りながらも、“俺”は友の仇を討つために札幌の街を走り回る。好調シリーズ、長篇第8作。