出版社 : 朝日新聞出版
受診するほど病気じゃない。入院するほど病んでない。けれど、どこか不安な私たちは、あのカフェで、病院の傍らにいることで、癒されている。過去にあそこで「何かが良くなった」経験があるからだ。『漢方小説』から10年。新たな舞台は総合病院のカフェ。ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく、カフェの醸し出す温かさが流れる長編小説。
旗本の篠山辰之丞は、江戸城に所蔵される幕府の機密や重要な記録が書かれた書物の管理を行う書物奉行に任じられた。だがそれは表向きの役目で、剣の腕を買われ、田沼意次の密偵として働くことになる。着任早々、辰之丞は何者かが貴重な書物を盗むところを目撃するが…。書物を愛する若き旗本の青春活劇!
クラスでは目立たない存在の結佳。習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に彼を「おもちゃ」にしたいという気持ちが高まり、結佳は伊吹にキスをするのだがー女の子が少女へと変化する時間を丹念に描く、静かな衝撃作。第26回三島由紀夫賞、第1回フラウ文芸大賞受賞作。
【文学/日本文学小説】Dのもとへ、ダンピールの男の子を連れた娘が訪れる。彼女の依頼は、男の子の父親である貴族のところまでの護衛だった。しかし、Dは少年の父親を滅ぼす依頼も受けていた。果たして彼らは、ともに旅立てるのか? そして彼方に待つ最凶の敵とは!?
自殺志願者を見分けることが出来る特殊な能力を持つ小説家の剣持とその友人の漆原。いつも何の実もない会話を繰り返し、しょぼい中華屋で飯を喰いながら、日常を生きるふたり。ある日、祖父が昔隠した宝の地図を探しに図書館に本を盗みに行くことになるが、そこで出会った連中はなんとも風変わりな奴らだった…。REPLAY & DESTROY、深夜ドラマの姉妹作が小説化!
小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は?解説・村田沙耶香。
小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は?解説・村田沙耶香。
小学4年生のさよは、母親と二人暮らし。ある日、図書館で出合った『七夜物語』というふしぎな本にみちびかれ、同級生の仄田くんと夜の世界へ迷いこんでゆく。七つの夜をくぐりぬける二人の冒険の行く先は?解説・村田沙耶香。
高野山に入った西行は申の導きにより、またしても宿神と出会う。そして、覚鑁から授かった「理趣教」を唱え、今は亡き鰍の弔いをついに果たすのだった。一方、都では悪左府頼長らと清盛・信西らの対立がいよいよ激化し、政権をめぐって大乱の気配が漂い始める…。
凶器不明の殺人、異国での不思議な出会い、少年の謎めいた言葉の真相、自殺者の不可解な死の理由、人間心理を巧みに突くストーカー事件、妊婦の街で起きたドタバタ失綜騒動など…人気作家8人がおくる、多彩な作品を収録した名探偵アンソロジー文庫化。
東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」-。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとはー。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
デジタルデータのみを破壊する「情報震」が地球上で頻発している。原因はおろか震源地すら特定できない。あらゆる情報が崩壊し、機能を失った大都市からは人の影が消えた。偵察のためトウキョウに進駐した日本情報軍機動観測隊は、想定外の「敵」と出会う…。
嵯浪藩・西野家の一人娘・紀江は小太刀の名手。かつての想い人を忘れられぬまま妻、母となり葛藤を抱えつつも穏やかな日々を送っていた。しかしある朝思いがけずー。過酷な運命を生きる女性が示す一つの夫婦の形を美しい四季と共に描いた傑作時代小説。
連載当時は誰も注目していなかった日露戦争。その経緯を紐解くことで、作家は“日本人の精神性”を描き出そうとした。だが、歴史になる前の出来事を書く苦しみを味わうことになる。それを乗り越え「事実」を踏まえた「小説」を生み出そうとした、独自の工夫と試みに迫る。
物語が日露戦争終戦後に差し掛かった際に、正確な情報を与えなかった政府、冷静に事実を調べようとしなかった新聞や、学者、政治家、情報に踊らされた国民たちを、作家は冷徹に描き出し、「魔の季節」への出発点だと記した。40代を費やして執筆された作品の執筆秘話。
ただただ、画面に映りたい。公共の電波に乗りたい。誰にも知られず目立ちたい。普通に生きてきた平凡なサラリーマン倉本恭一(43)に突如めばえたこの衝動、ここから途方もない冒険が、始まる。著者初の新聞連載、10年ぶりの長篇小説!!
開発業者として現れた中学時代の同級生と、抗うこともないままに肉体関係をもってしまった沙知。自宅裏の森を伐採する宅地造成工事の告知を機に、彼女の家族は一変する。反対運動にのめり込む義父母。いつしか夫も見知らぬ顔を覗かせるなか、その男は沙知への要求をエスカレートさせていく。日常にひそむ正常と異常の空隙。そこから現れる異様な光景を端正な筆致でとらえたアモラルな傑作長篇小説。
劇団を主宰する大輔と無性愛者の瑞穂夫婦は、母親の育児放棄のため児童養護施設で生活する10歳のひなたを週末だけ預かっている。そもそも里親をはじめたきっかけは、天才演劇少女のひなたを、少し変わった人材派遣業にスカウトするためだったが…。
美容整形をしたストーカー男の遺体第一発見者となった甲斐享が、杉下右京と共にその死に隠された卑劣な悪事を暴く「顔」、捜査一課が老人殺害事件で捜査の応援に駆け付ける中、休暇中の特命係が意外な形で活躍する「待ちぼうけ」、人質と引き換えに、“証人保護プログラム”で守られた闇社会の大物の三男を捜し出すよう特命係が命じられる「プロテクト」など6篇を収録。