出版社 : 本の泉社
青春と泥濘 -インパールに斃れた兵士たち青春と泥濘 -インパールに斃れた兵士たち
“だれが戦争などしやがるのか” ーー青春を破壊する絶望の泥濘は心の闇かあるいは国家か 報道班員としてインパール作戦に従軍した火野葦平がつぶさに見、聞いた兵士たちの無残、痛憤、愛、訣別を「麦と兵隊」「土と兵隊」「花と兵隊」の戦争三部作の集大成として描き出す
草の根の通信使〈上〉 玄界灘を越えた人々草の根の通信使〈上〉 玄界灘を越えた人々
なぜ「近くて遠い国」になってしまったのか。韓国で日本語を教えながら、日本と朝鮮(韓国)との古く、長い交流史に思いを馳せる。私たちは現代の通信使になれるのだろうか……。
大獄と闇の夜大獄と闇の夜
安政の大獄事件はその末端で福島の一人の百姓が巻きこまれた。罪人として八丈島におくられた。五年の後、許されて故郷の村に戻って来た。福島桑折代官川上猪太郎は早くもこの男に注目した。幕末に至り、福島城主板倉候は徳川幕府の下命により急遽軍資金の増額を命じられた。家臣桑折代官川上猪太郎に命じて増収を図ることになる。これの拠出は蚕種紙、生糸などの産物取引の歩銭の増額で対処しようとしたが、百姓、仲買い人等が怒って取引市場を閉鎖して対抗した。折から、不作の夏、福島平野の190カ村の民衆は、飢えに苦しみ大挙して福島城に押しかけた。その中に島から戻って来た菅野八郎がいた…。