出版社 : 東京創元社
気がつくと昭和から令和へと元号も変わり(なんと平成という時代もあった!?)、三十八年も経っていたうえに、自分は幽霊になっていた。どうやら何者かに殺害されて、ここに埋められたらしいが、いったいなぜ?トリッキーな謎解きで魅了する「ひとを殺さば穴ふたつ」。高校生が廃屋になった旧校舎からの覗きを端に巻き込まれた不思議な事件を描く表題作「偶然にして最悪の邂逅」など、過去と現在が交差しながら、怒涛の展開へと突き進む、“日常の中の非日常”を魅惑的な筆致で贈る全五編。デビュー二十五周年を迎えた著者の、記念すべきミステリ短編集。
小鳩君と小佐内さんが今回出合うのは、フォーチュンクッキー!? 米澤穂信、シリーズ最新作「桑港クッキーの謎」。若島正、阿津川辰海など、強力布陣で贈る「バークリー特集」ほか。
謀殺された幼馴染みの復讐のため、テレビ局のADとなった竜泉佑樹。ターゲットの3名を含む9名で曰くつき無人島のロケに参加した佑樹だったが、初日からターゲットの一人が殺されているのを発見する。自らが手を下すはずが、一体何者の仕業なのか? しかも、その犯行には人ではない何かが絡み、佑樹たちの中に紛れ込んでしまった!? 疑心暗鬼の中、またしても佑樹のターゲットが殺害され……。『時空旅行者の砂時計』で話題を浚った著者が贈る〈竜泉家の一族〉シリーズ第2弾、予測不能な孤島本格ミステリ長編。
1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に陥れ、さらにスーパーを襲撃した。そして数ヶ月後、不可解な状況で32人の子どもたちが一斉に命を落とした。子どもたちはどこから来たのか。どうして死ぬことになったのか。社会福祉課の課長として衝撃的な出来事に関わった語り手が、22年後のいま、謎をひもといていくー。現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、子どもの無邪気さと暴力性、そして野生と文明、保護と支配の対比。純粋で残酷な子どもたちの物語。
国母イスランにその才を見いだされた大魔道師ヴュルナイ。いまわのきわのイスランに国の行く末を託されたものの、王族の後継者争いで裏切りにあい、その名声も地に堕ちた。それから数十年、国の中枢には欲にまみれた連中がはびこり、存亡の危機に。密かにオーヴァイディンと名を変えて生きていたヴュルナイは、無実の罪で捕らえられた若い女族長を助けるが……。魔道帝国イスリル中興の祖を描く〈オーリエラントの魔道師〉最新作。
わたし、海砂真史の幼馴染み・鳥飼歩はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気侭な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の元に次々と新たな謎ー洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事ーを持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。でも、謎がなくたって会いたいと思った場合、どうすればいいのだろう?ささやかな謎を通して少年少女の心の機微を描いた、第28回鮎川哲也賞『探偵は教室にいない』、待望のシリーズ第2弾!
期待されながら伸び悩んでいる若手刑事たちの元に、警視庁本部から送り込まれる謎の男、向井光太郎。捜査中のミスに悩む女性刑事、有名な俳優の取り調べに苦戦する刑事、尾行に失敗した刑事。彼らそれぞれに適切な助言を与えるその男は、なぜ刑事課ではなく人事二課の所属なのか?経験を積み成長し、所轄署から本部に戻り出会った三人は、向井との関わりを語り合い、その過去を探り始める。そんな彼の過去と、三人の刑事が取り組む女子大生殺害事件が交錯する。堂場瞬一が描く刑事たちの光と影。
福岡のクリニックで働く「頼れる助産師の白野さん」には、自分とは対照的に美しい妹がいる。佳織は真澄の誇りだったが、真澄には仲の良い妹にも言えない秘密があった……。駆け出しイラストレーター、結婚して白野姓になった主婦、二人の男の間で揺れる女子大生、繊細な小学生。「白野真澄」という同じ名前を持つ者の五者五様のわだかまりと秘密。生きるのに少し不器用で頑固な者たちをを優しい眼差しですくいあげる短編集。
高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじみずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった!ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが…。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる!選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。
選評 第30回鮎川哲也賞、第17回ミステリーズ!新人賞。第17回ミステリーズ!新人賞受賞作掲載。読み切り 市川憂人〈マリア&漣〉シリーズ最新作掲載ほか。
高校生の「わたし」は親友の「彼女」と監視カメラだらけの街を歩き、携帯端末の小さなレンズをかざして世界を切り取る。かつて「わたし」の母や、祖母や、曾祖母たちがしてきたのと同じように。その昔から、レンズがうつした世界の一部は、あるときには教育や娯楽のために、またあるときには兵器として戦争や弾圧のために用いられてきたー。
1980年、記号学者・哲学者のロラン・バルトが交通事故で死亡。事故は当時の大統領候補ミッテランとの会食の直後だった。そして彼の手許からは持っていたはずの文書が消えていた。これは事故ではない!誰がバルトを殺したのか?捜査にあたるのは、ジャック・バイヤール警視と若き記号学者シモン・エルゾグ。この二人以外の主要登場人物は、ほぼすべてが実在の人物。フーコー、デリダ、エーコ、クリステヴァ、ソレルス、アンチュセール、サール、ドゥルーズ、ガタリ、ギベール、ミッテラン、ジスカール・デスタン、ラング…綺羅星のごとき人々。そして舞台はパリから、ボローニャ、イサカ、ヴェネツィア、ナポリへと…。「言語の七番目の機能」とはいったい何か?そして秘密組織“ロゴス・クラブ”とは?『HHhH-プラハ、1942年』の著者による、驚愕の記号学的ミステリ。アンテラリエ賞・Fnac小説大賞受賞作。
埼玉県警の何森(いずもり)は、昔気質の一匹狼の刑事である。仕事一筋ながら協調性はなく、県内の警察署を転々としていた。久喜署に所属していたある日、不可解な殺人事件の捜査に加わることに。障害のある娘と二人暮らしの母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。二階へ上がれない娘は、母親の悲鳴を聞いてケースワーカーを呼んでから通報したというがーー。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ。
ぼくは職業がら人を探すのが得意だ。人と話をするのも嫌いじゃない。けれども名前も知れぬ「彼女」を探し出すのは、いささか難航せざるをえなかったーー不特定多数の人に届けられる彼女からの手紙には、いつも「おまえの大切な人がもうすぐ死ぬ」と不吉な予告が書かれていたのだった。破格の想像力が描き出す、これぞ山田正紀流マジック!
奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。第3巻には「スポンサーからひとこと」など著者を代表する傑作16編を収録。
○第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門受賞 ○第21回本格ミステリ大賞受賞小説部門受賞 ブラウン神父、亜愛一郎に続く、“とぼけた切れ者”名探偵である、昆虫好きの青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた──。 16年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか? エリ沢が意外な真相を語る「蝉(せみ)かえる」。交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件のつながりを解き明かす、第73回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など5編を収録。 注目の若手実力派・ミステリーズ!新人賞作家が贈る、絶賛を浴びた『サーチライトと誘蛾灯』に続く連作集第2弾。 著者あとがき=櫻田智也 ■目次 「蝉かえる」 「コマチグモ」 「彼方の甲虫」 「ホタル計画」 「サブサハラの蠅」
日常では理系の大学院生、しかし夢の中では間抜けな〈蜥蜴のビル〉となって不可思議な世界を渡り歩いている井森建。彼はある日の夢の中で、ピーター・パンという無邪気な少年とウェンディという優しい少女、そして妖精ティンカー・ベルに拾われる。彼らに連れられてやってきたのは、海賊や妖精をカジュアル感覚で殺して回るピーター・パンによって修羅の国と化した〈ネヴァーランド〉という場所だった……『アリス殺し』シリーズ第四弾!