出版社 : 玄武書房
父の青春に迷い込んだ夏ーー 少年たちの冒険が始まる。 札幌の空手道場に通う龍介たち少年少女。 ある夏の夜、肝試しと称して藻岩山にある「平和塔」を目指した。 白い霧に包まれ、気を失った彼らが目を覚ますと... そこには見慣れたマンションもビルもなく、 広がっていたのは「昭和の街並み」だった。 ーー大通に堂々とそびえるテレビ塔 ーー道路を走るスバル360 ーー駄菓子屋に並ぶ瓶入りのフルーツ牛乳 彼らが迷い込んだのは、父親が中学生だったあの時代。 タイムスリップした少年少女は、 戸惑いながらも家族や友人の「過去」と出会い、 時代を超えた絆を確かめていく。 ーー友情 ーー家族の愛 ーー大人になることの意味 金星の見える夜、平和塔で始まった冒険は、 少年たちの心に大きな成長を刻んでいく。 本作は、青春と昭和をつなぐタイムスリップ小説。 札幌の街並みや藻岩山の風景を丁寧に描きながら、 空手道場での汗や友情、家族の葛藤を鮮やかに織り込み、 世代を超えた普遍的なテーマを浮かび上がらせる。 昭和を知る世代には懐かしさを。 令和の若い世代には新鮮な驚きを。 「父と子の絆」「家族愛」「友情」「成長」 読み進めるうちに、誰もが自分自身の少年時代と重ねてしまうはず。 青春とノスタルジーが交錯する、札幌発のタイムスリップ物語。 あなたもまた、昭和の街角で父の声を聞くことになる。
解離性同一性障害をテーマにした「小説」と「随筆」の二部構成です。 この小説の最大の魅力は、長年、著者本人が『解離性同一性障害』という症状を抱えて生きてきたということでしょう。 どんなに優秀なインタビュアーが取材をしたとしても、同じような症状を持つ人たちの苦悩を“完全に”共有できることは不可能です。 しかし、この書籍では著者本人が解離性同一性障害という症状を抱えながら生きていくなかで、培ってきた“生き方”や“人生観”をリアルに感じることが出来ます。 小説部に関しては、解離性同一性障害という悩みを解決したり、それを和らげたりするストーリーではありません。 解離性同一性障害と共存する夏子の“普通の女の子”としての生き方(姿)を見てもらいたいと思います。 複雑に心が揺れる恋愛小説。 解離性同一性障害を抱えながら生きていく夏子の不思議な魅力に引き寄せられていく伊住と、その恋人の亜紀、同僚である玉田の恋愛ストーリーが描かれています。 伊住は夏子との出会いによって「解離性同一性障害」という言葉を知ることになります。 決して、その症状に興味を持ったわけではなく、ひとりの女性として受け入れていく伊住の紳士的な部分と矛盾(葛藤)がリアルに感じられます。 おそらく、読者の皆さまでも「解離性同一性障害」という言葉を初めて耳にする方もいるかと思います。 解離性同一性障害、一般的に知られている言葉としては『多重人格』と言われたら、イメージできる人も多いかもしれません。 一人のなかに複数の人格を持ち、何かしらのキッカケで別人格が現れる(人格交代)症状を持つ人たちが存在します。 随筆部に関しては、解離性同一性障害と共存してきた著者本人がご自身の体験をもとに表現しております。 もちろん、一括りに「解離性同一性障害」と言っても、その症状は様々で、一概にこのような症状だとは言い切れない部分が多くあります。 その点で言えば、著者の経験と全く同じだという人は少ないかもしれません。 しかし、“似たような”体験や悩みを持つ人にとっては「自分だけではない」という安心感を感じていただけると思います。 著者より「幸いにも、この本が、同じような症状と向き合うその人らしいやり方の発見に繋がるヒントに、一つでもなれるとしましたら、私自身の心からの喜びに他なりません」