出版社 : 祥伝社
ガラスの球に閉じ込められた一匹の観賞魚。借りたままになっていた本の持ち主が殺されて。念願叶って開いた喫茶店に来る奇妙な常連客たち。引っ越した家に現われる女の幽霊はやがて…。亡き子の成長に合わせ子供部屋を作り続ける母ー不可思議、神秘、謎、秘密。心に潜むミステリアス・ワールドをあなたに。
徳川幕府の存亡にかかわる機密文書「黒印状」。それを守るため田沼意次ら幕閣に一家を惨殺された矢月繋は、恐るべき刺客となって江戸に戻ってきた。「黒印状」を絶海の孤島へ秘匿するため、三人の密使が極秘裡に乗った船に、影の如き男が一人。矢月その人であった…。江戸の爛熟太平に「生き地獄」を呼ぶ、凄絶無比の剣鬼小説『虚空伝説』第三弾。
アメリカから連れ帰ったアラブ馬の世話をする富樫裕三郎には悲願があった。郷里・三春に残してきたりんとの恋、そして本邦初の競馬場の建設であった。しかし、幕末という時代は、そんな彼をも動乱のなかに巻き込んでいく…。横浜からパリのロンシャン競馬場、そしてドイツのバーデン・バーデンまで、現地取材と綿密な歴史考証を駆使して書き上げた巨編・幕末秘話。
午前五時五十七分、小田原発東京行普通電車。いつもの通勤電車に乗り合わせる四人の男女。殺したい男がいた。憎悪を抱いた女がいた。恐喝を決意した女がいた。女を狙う男がいた。毎朝、同じ時刻、同じ車両に乗り合わせる気づかない他人…「殺したい!」通勤電車の中で、そう思ったことはありますか?人間のエゴと欲望が剥き出しの空間で、見知らぬ四人が決意した行動とは-。
“稲妻の竜”と恐れられる抜刀田宮流の影月竜四郎は、その光景に慄然とした。小柄で、女と見まごうばかりの色若衆が、陰流の達人を一刀のもとに斬り伏せたのだ。京・鞍馬山で乱八流を極めた栗本新之丞であった。やがて、初めて吉原に登楼し、花魁・夕霧の魔性の肌の虜になった新之丞は、金のため殺人鬼と化す。竜四郎危うし!官能と撃剣凄まじい時代活劇の第三弾。
「私、変な男の人を、見たの!」楽器店二階の音楽教室で、生徒の小学生ユイカが泣き出した。商店街周辺に変質者が出没していた矢先の事件-だが、少女と弟の証言が微妙にズレて…(第一話「バイエルとソナチネ」)。ピアノ教師杉原亮子が解きほぐす生徒たちの心の襞と綾。そして音楽大学を首席で卒業しながら、人前で演奏できなくなってしまった亮子自身の過去の秘密。些細な事件や奇妙な悩みを、亮子先生が穏和な推理で鮮やかに解決する癒しのミステリー連作。
“クトゥルー”と名づけられた世界初の霊的発電所の周辺で呪的災害が頻発した。緑色に腐敗した巨大な赤ん坊が近隣の街を破壊したのだ。この種の災害や違法な呪的犯罪を取り締まる呪禁局特別捜査官に緊急出動命令が下る。新人の葉車創作(ギア)は、災害の裏に、大鴉を操って先輩の龍頭麗香を殺したサイコムウの暗躍を知る。その狙いが発電所の破壊と気づいた葉車たちは厳戒態勢に入る。そこへ狂信的な科学武装集団が侵入。世界の破滅を目論む邪悪な生命体と壮絶な魔戦が始まった…。
倭寇伝来の剣法を操るよろず請負い人・阿郷十四郎のもとに、奇妙な依頼が舞い込んだ。市谷の古道具屋から盗まれた宝剣を、内藤新宿の女郎屋から奪還してきてほしいという。だが、その剣にはある秘密があった。幕府の中枢を脅かす辻斬り事件がその剣で行なわれていたというのだ…。宝剣の湮滅をめぐり忍び寄る危機。影流に端を発する十四郎の剛剣が唸る。