出版社 : 祥伝社
東家は男ばかりの四兄弟。上から研究者の朔太郎、占い師の真次郎、会社員の優三郎、大学生の恭四郎と両親が、ほどよいバランスで暮らしている。ある日、優三郎が趣味のタロットで“最凶”のカードを引き当てた。直後、優三郎と彼女の秘密が真次郎によって恭四郎に明かされ、信頼関係に亀裂が入ってしまう。不運の連鎖は止まらない。朔太郎や両親にも波及し、隠れていたトラブルが表面化しはじめた。あげくの果てに家族関係を崩壊させそうな女性まで現れ…。噴出する秘密と本音に大わらわの東家に、平穏な日常は戻るのか!?
住むと幸せになれる不思議な場所? 三十年居つく教授、空手の有段者、DV夫から逃げたシングルマザー。 「東京バンドワゴン」シリーズの著者が贈る! ワケあり住人と強面の管理人で繰り広げられる心温まる人間ドラマ! 逃げて辿り着いたその〈場所〉が守ってくれる 小説家になった羽見晃が入居を決めたのは、墨田区鐘ヶ淵にある築六十年、二階建ての〈マンション フォンティーヌ〉だった。真っ白いアーチの入口、中庭には噴水と少女像、花壇もあって、フランスにありそうな建物。管理人嶌谷さんの腕には本物の入れ墨があったり、大家のリアーヌさんは七十八歳のフランス人だったり色々変わっている。三十年もいる教授や生まれた国を追われたハーフの男性とかワケありな人が多く住んでいるけれど、みんな優しくて仲がいい。ガーデンパーティ中、三号室の三科さんが元DV夫から追われていることを知り、住人たちで役割分担をして守ることに。でも同時に、思わぬ人物がマンションを訪れていて……。
深川の新兵衛長屋に住む十三歳のお綾。三年前に母を亡くしたが、大工の父直次郎、弟正太と慎ましく暮らしていた。ある日、父の朋輩重蔵の店賃滞納で揉めている中、隣に坂崎清之介という写本を生業とする侍が越してきた。本好きのお綾は、部屋の片づけを束脩代わりに坂崎に手習いを見てもらうことに。そこで書きかけの本『つきのうらがわ』を見つける。子が亡き母の住む月へ辿りつこうとする物語だった。「続きを考えさせてくれませんか」とお綾は頼みこみ、正太と重蔵の子おはると一緒に考え始める。次第に子どもたちは優しい坂崎を慕うようになる。だが、坂崎には人を殺して生国を追われたという噂があったー。
二十年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、リリーフ陣を酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、ある“罪”の発覚以来、球界を追放されていた盟友・檀野晋が亡くなったという。当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表され…。
鎌倉にある名門・冬汪高校二年の滝蓮司は、眉目秀麗だが変人の卯月麗一とともに生徒や教師からの様々な依頼を解決する“学内便利屋”活動にいそしむ。よく晴れた秋の日、“凄惨な動画”がSNSで注目を集める。蓮司と麗一は、動画内で自殺を図り何者かを告発した男子高校生・円城寺蒼と交際していた少女・田崎菜月から、ある依頼を受ける。-蒼は何者かに脅迫されていたのではないか。真実を知ろうと調査を進めるふたりは“人の闇”と直面する。良妻賢母と評判の、蒼の母親・貴子、お嬢様学校に通っているはずの菜月、同級生から慕われていたという蒼自身にさえも、仄暗い噂が…。さらに事件は過去へもその業火を広げてゆく!
関八州とは、上総、下総、安房、常陸、下野、上野、武蔵、相模の八州のことである。越後宇潟藩の竹本長吉は上役の罪に連座し失職、故郷に妻子を残して江戸に仕事を求めてきた。様々な職の中、請人宿で選んだのは“雇足軽”だった。関八州取締出役の蕪木鉄之助の元、数名で一年をかけて関東の農村を巡回し治安を維持する、勘定所の臨時雇いである。日当わずか八十文。二八蕎麦が十六文、鰻飯なら二百文が相場だった。討捨ても御免だが、刀を抜くことは珍しい。多くは無宿の改め、博奕や喧嘩、風俗の取り締まり、農間渡世の実情調査や指導などの地道なものだった。巡る季節のなか、土地土地で老若男女の心の裡に触れる長吉は、妻子を想い己が運命と葛藤する。そんな時、残忍非道な押し込み強盗一味の捕縛を命じられーときに鬼神と化し、ときに仏の慈悲を施す八州廻りを、郷愁豊かに描く!
『ノストラダムスの大予言』刊行から50年。世紀末の厄災が再びー!?東京郊外で15人の遺体が発見された。当初は集団自殺とみられたが、他殺の可能性が浮上。被害者には、1999年7月生まれのオカルト好きが集まる“世紀末五銃士”のメンバーも含まれていた。事件から一年半、残る“世紀末五銃士”のメンバーが次々と惨禍にみまわれ…。終末への新たなる警告!戦慄のオカルトミステリー。
「ねえ、憶い出した?」 世界を破滅から救う鍵はせつらの幼馴染みが握る!? 悦楽と共に食人鬼を生む魔性の香りとは? 待望の人気シリーズ最新作書下ろし! 〈魔界都市“新宿”〉にトランクひとつで100億のヤクが流入。受渡し、持逃げ、横盗りの応酬の末、現場はことごとくバラバラ死体に埋まる殺戮の海と化した。白い医師メフィストはこの惨状を、超古代のイタリアで小国をあげて使われた、『王妃マーゼンの唾』なる媚薬の副作用と断じる。その背徳の都もまた、悦楽を求めて侵入した隣国と共に滅亡、歴史から消えていた。太古に由来し、獣のごとき血の嵐を呼ぶ媚薬を誰が、なぜ〈新宿〉に? 美貌の人捜し屋・秋せつらはメフィストと共に謎を追うがーー。
昭和二十年、日本は連合国に敗戦を喫し、飛行機の操縦、航行、製造など、航空機に関するあらゆることを禁止されていた。五年後、旧日本軍でも卓越したパイロットだった堀江功は米軍関係者と思しき人物に声をかけられ、高給を条件に、GHQにも極秘の飛行訓練を開始する。その頃、朝鮮半島では新しい戦争が勃発し、北朝鮮の背後に中国人民解放軍やソ連軍の影がちらつき始めた。一方、マッカーサーの独断に怒り狂うアメリカ大統領のトルーマンは、彼の解任を考え、さらに共産主義の拡大を防ぐため、原爆による決着をつけようと動き出す。やがて、計画を知った堀江たちは、原爆の投下を阻止しようと決死の作戦に挑むが…。
幕末の動乱は土佐国も大きなうねりで呑み込んだ。様々な思想と身分の差から生じる軋轢は、人々の命を奪っていった。金蔵はそんな時代に貧しい髪結いの家に生まれた。類まれなる絵の才能を認められ、江戸で狩野派に学び「林洞意美高」の名を授かり凱旋。国元絵師となる。しかし、時代は金蔵を翻弄する。人々に「絵金」と親しまれながらも、冤罪による投獄、弟子の武市半平太の切腹、そして、土佐を襲う大地震…。金蔵は絵師として人々の幸せをいかに描くかに懊悩する。やがて、絵金が辿り着いた平和を願う究極の表現とはー。
栃木県立那珂川水産高等学校は、内陸県にある日本唯一の水産高校。“脱普通”をもくろむ鈴木さくらは、淡水魚専門の水産高校“ナカスイ”に入学。青春を謳歌するはずが、鮎に恋する担任、魚ファーストの小百合、アニオタの地元ギャルかさね、釣りバカの渡辺ら、くせ者ぞろいで大打撃。水産実習では溺れかけ、おまけに少子化で学校は存続の危機。水没寸前、あるポスターが目に入り…。ナカスイの未来と青春をかけて、さくらは大勝負に挑む!
明治期に日本橋で創業の老舗マルトミ百貨店は、コロナ禍でメインバンクから追加融資を止められ、倒産の危機に瀕していた。憔悴しきった社長の富島栄二郎は、偶然にも四井商事の専務・徳田創と再会する。富島は若い頃四井で修業したことがあり、二人は同期だった。富島の窮状を聞いた徳田は同じく同期でプラチナタウンを作った山崎鉄郎を紹介する。藁にもすがる思いで山崎を頼る富島。同様の相談を複数受けていた山崎の中でそれらは化学反応を示し、再建案は思わぬ方向に向かい始めー苦況の日本を救う、目から鱗の再生構想とは!
とっとと嫁に行ってもらって、静かな余生を送りたいー万両店の廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は、齢十一にして悩みが尽きない。かしましい三人の姉ーお瀬己・お日和・お喜路のお喋りや買い物、芝居、物見遊山に常日頃付き合わされるからだ。遠慮なし、気遣いなし、毒舌大いにあり。三拍子そろった三姉妹の近くにいるだけで、身がふたまわりはすり減った心地がするうえに、姉たちに付き合うと、なぜかいつもその先々で事件が発生し…。そんな三人の姉に、鷺之介は振り回されてばかりいた。ある日、母親の月命日に墓参りに出かけた鷺之介は、墓に置き忘れられていた櫛を発見する。その櫛は亡き母が三姉妹のためにそれぞれ一つずつ誂えたものと瓜二つだったー。
旅行作家茶屋次郎は、有名俳優の高浜から友人の桐谷沙希の行方捜しを依頼される。沙希の自宅には「あきらめない。ぜったいにやりとげる」という謎の挑戦状が投函されていた。桐谷家の実家を探ると、二十年前に祖父が殺人事件を起こしたことも判明する。だが、相模川で沙希の溺死体が発見され、鎌倉では桐谷家を狙った凶悪事件が相次いで発生。依頼人高浜の過去にも、女性トラブルなど、暗い事件が浮上する!怨みに満ちた事件の裏にある犯人の狙いとは?歴史と自然が調和する古都を舞台に、茶屋の推理が冴える!
彼氏に振られ、職場をクビになり、賃料の値上げによって、今住んでいる部屋からの退去を余儀なくされた、踏んだり蹴ったりのシヨン。部屋探しのアプリで、格安の超優良物件に出会った彼女は即、入居を決める。格安なのには、理由があったー本来二人で暮らすはずの部屋を、四人で違法にルームシェアしていたからだ。優雅な独り暮らしには程遠いものの、そこそこ不自由のない生活を送っていたシヨンだが、ある日、オーナーが急遽、部屋を訪れる。慌てた四人は共同生活の痕跡を消すべく、その場しのぎの模様替えをし、借主の親族のふりをするが…(「他人の家」)。表題作ほか、人間心理の深淵をまっすぐに見つめた、傑作揃いの短編集!
〈新宿〉怒髪天を衝く! せつらの“妖糸"が、 亡命王子の秘密を追う! 白い医師、老師、魔女医、妖艶な女軍人ーー米露独仏、三つ巴、四つ巴の争奪戦! 著者の超人気シリーズ、待望の最新刊書下ろし! 〈魔界都市“新宿”〉を生んだ巨大地震〈魔震〉。折しも新宿への亡命を図る某国王子の一行が区境の〈亀裂〉に呑み込まれたーー。時を経て〈区内〉で首を千切ったり鉄棒で串刺しにする残虐な殺人が頻発。一方、人捜し屋秋せつらは消えた亡命王子と忠臣の捜索を依頼される。殺人は、ミイラとして地上に出た二人の、追っ手への反撃だというのだ。だが、彼らを狙うのは母国の刺客だけではなかった。米露も追う王子の身体に隠された、世界を破滅に導く力とは? やがて〈新宿〉を巻き込む災厄にせつらとメフィストは? シリーズ最新刊!