出版社 : 祥伝社
永禄八年、上杉輝虎(謙信)が義を掲げ、下総国臼井城に侵攻を開始した。総勢一万五千といわれる上杉軍に対し、臼井の兵は二千ほど。後ろ盾となる北条家からの援軍は、わずか二百五十余であった。抗戦か降伏か、紛糾する城内をまとめるため、北条の武将松田孫太郎は道端の易者を軍師に仕立てた。白井浄三である。ところが、浄三は想像を絶する奇策を次々と画策し…。
カレー専門店「イカリ屋」の老創業者・篠原悟は、加盟店と一致団結してチェーンを日本一に押し上げた。だが、人口減少社会を迎えた国内だけでは成長は見込めず、アメリカに打って出ることに。それを機に、篠原は自らは経営から身を引き、海外進出と、この国の将来を見据えた経営を、コンビニやハンバーガーチェーンを立て直した実績を持つプロ経営者・相葉譲に託したが…。
あのルートを、たった一人で、しかも名もない日本人が登れるわけがないーアラスカからヒマラヤへ、数々の難壁に初登攀の足跡を残してきた新進気鋭のアルパインクライマー奈良原和志が、そんな周囲の雑音をよそに、初めて目指した8000メートル峰が世界第四位のローツェ、しかも最難関の南壁ルートだった。そこは伝説的な登山家トモ・チェセンの“疑惑の登頂”の舞台として、いまも世界の登山界で語り継がれる因縁の壁でもある。心の通い合う仲間に支えられ、いわれない妨害を受けながらも、心の師であるトモの初登頂の真実を証明すべく、和志は自らの限界を超えて世界屈指の壁に立ち向かうが…。
日本がバブル景気に沸いていた1990年1月31日、新聞が伝える「事件」に国民は仰天した。昭和天皇在位60年を記念した10万円金貨(通称『ヒロヒト金貨』)の「偽造品」がスイスから日本国内に大量流入、と警視庁が発表。その総額は100億円を超えていた。この事件では日本人コイン商が取調べを受け、渦中の人となったが、作家の「私」は疑問を持つ。そして事件の背景に、日米欧、中東、中米を股にかけた巨大な陰謀が浮上するー
急逝した父の遺志を継ぎ、山岳写真家として生きることを誓う風間健介。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、絶滅したはずのオオカミに命を救われたという田沢保と出会う。風間は、田沢が亡き父と交流のあったこと、殺人罪で服役していたことを知るが、極寒の中、田沢と共にオオカミを探すにつれ、彼の人間性に惹かれていく。やがて、二人の真摯な魂が奇跡を呼ぶー。
宮城県緑原町に老人定住型施設「プラチナタウン」が開設され四年。町は活気を取り戻し居住者は増えた。だが、町長の山崎は不安を覚えていた。いずれ高齢者人口も減り、町は廃れてしまうー。山崎は、役場の工藤とともに緑原の食材を海外に広め、農畜産業の活性化を図ろうとする。だが、日本の味を浸透させる案が浮かばず…。新たな視点で日本の未来を考える注目作!
深川で干鰯〆粕問屋の大店・下総屋の主が刺殺された。玄人の仕業を疑った北町奉行所同心・渋井鬼三次は、聞き込みから賊は銚子湊の者と睨み急行する。同じ頃、唐木市兵衛は返弥陀ノ介の供で下総八日市場を目指していた。三年半前に失踪した弥陀ノ介の友が目撃されたのだ。当時、銚子湊では幕領米の抜け荷が噂され、役人だった友は忽然と姿を消していた…。
唐木市兵衛を相模の廻船問屋が言伝を持って訪ねてきた。相手は返弥陀ノ介の許から姿を消した女・青だった。伊豆沖で海賊に捕えられるも逃げだしたらしい。弥陀ノ介には内密にと請われ、市兵衛はひとり平塚に向かう。一方、弥陀ノ介は“東雲お国”と名乗る女海賊の討伐のため浦賀奉行所に派遣される。だが、お国は、弟を殺された哀しみで、復讐の鬼と化していた…。
新聞記者の笹村に脅迫状が届いた。五年前、笹村は誤ってある女生徒がいじめの加害者ととれる記事を書き、自殺に追いやっていた。当時、彼女の父親に娘が生まれたら殺すと凄まれた笹村は、去年女児を授かり復讐を恐れているという。杉並中央署生活安全課「何でも相談室」通称0係の面々は父親の行方を捜すが…。小さな事件から社会の闇を暴く人気シリーズ、待望の新刊!
女優になるー幼い頃からの夢を抱いて上京した少女・花崎小雪は、大手芸能プロのオーディションでけんもほろろにあしらわれ、プライドを引き裂かれた。失意の底に沈んだ小雪が縋ったのは、偶然声をかけてきた街頭スカストの井出。しかし、井出に連れていかれたのはアダルトビデオの現場だった!決して誇りを失わず、トップAV女優として君臨した女の愛と信念の物語。
我々はバブルの犠牲者だ!-イケイケなバブル女の上司・山元里佳子は、質素なアラサーOL・才川美結の天敵。耳にタコの自慢話にお説教…ああ、うっとうしい!そんな里佳子がある事件をきっかけに婚活を本格始動、美結の気になる草食男子・野々村にまでちょっかいを出してきて…。私だって幸せをつかみたい!女同士の本音がぶつかる痛快ジェネレーションバトル小説。
羽衣子の親友・みえ子が遊佐家に四週間ほど居候することになった。みえ子は異様な容貌だが、大富豪の娘。美しく貧しい家庭で育った羽衣子とは正反対。二人で支え合ってきたが、やがて羽衣子は「まともな家庭」を手に入れる。その遊佐家に住み始めたみえ子は家族の心を掴み、完璧だったはずの家庭に徐々に綻びが見え始め…。二人の女の歪な友情が家族に与えたものとは?
FIA(総務省消防庁情報局)に凄腕の新戦力が加わった。局長の孫娘にして、英国諜報部仕込みの喜多川麻衣である。麻衣は持ち前の頭脳、美貌そして魅惑的な美脚を駆使し、ヤクザの闇取引の現金を強奪しようとする北朝鮮の謀略を突き止める。万全の監視体制を敷く麻衣たちだったが、現場に新手の犯罪集団が乱入し…。エロス濃度アップ&サスペンス感倍増の第二弾!
元研ぎ職人の栄七は六十歳を超え、静かに暮らしていた。だがある日、捨て子を助けようとすると、拐かしを疑われ捕縛される。栄七は二十七年前、弟弟子を誤って殺し遠島となっていたのだ。御用聞きの横暴に、戻り舟の二ツ森伝次郎は激昂する。人を過去で判断するなと解き放つが、栄七を狙う不審な影がー(「雪のこし屋橋」)老同心の粋な裁き、人情沁み入る熱血捕物帖。
内藤新宿のはずれ、成子町で比丘尼女郎の千紗が首の骨をへし折られ殺害された。犯行を目撃しただろう妹は姿を隠してしまう。探索する北町奉行所平同心の日暮龍平は、千紗が執拗に付きまとう男から逃れるため、深川から流れてきたと知る。さらに過去を辿ると、千紗と妹との因果が明らかに。やがて、妹の命を狙う下手人の身勝手な動機に、龍平は鬼となる!
「八咫烏」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶を率いる大音勘九郎を非道な罠が襲う。身内を攫い、出動を妨害、被害の拡大を狙う何者かに標的にされたのだ。家族を諦めようとする勘九郎に対し、「火喰鳥」松永源吾率いる羽州「ぼろ鳶」組は、大音一家を救い、卑劣な敵を止めるため、果敢に出張るが…。業火を前に命を張った男たちの団結。手に汗握る傑作時代小説。
最愛の元許婚を自害に追いやった男を斬り、美濃大垣藩を出奔、流浪の末、江戸に流れ着いた千坂唐十郎は、人柄と剣の業を見込まれ“闇の始末人”となった。定町廻り同心と岡っ引が無残に殺された一件を探るうち、阿片密売が絡む大垣藩の不正に突き当たる。やがて覆面の武士から夜襲を受け、背後に仇敵の姿を認めると、唐十郎は白刃煌めく敵の中へと向かってゆく!
足掛け五年の修行の日々は、すべてこの日のためー。国中から豪腕辣腕の武芸者が集結した上覧剣術大試合。出場者には、金杉惣三郎秘蔵の弟子神保桂次郎も名を連ねていた。清之助は吉宗が推挙する唯一の出場者として初戦を免除されたが、それは後半戦がより厳しくなることを意味していた。母や妹、葉月のお百度参りも続く中、清之助が一世一代の勝負の場に上がる!