出版社 : 祥伝社
深川今川町にある裏店の差配・惣兵衛はある日突然倒れ、余命半年と宣告されてしまう。残りの人生を悔いなく生きると決意した惣兵衛。まずは折り合いの悪い息子・周助との仲を修復しようとするが、自分には関係ないと拒絶されてしまう。実は七年前に起きた出来事のために惣兵衛と家族の心は離れていた…。すれ違う家族の再生と絆を描く、感涙の物語。
堕ちた“風俗王”藤堂が復活した。天才キャストゆりなを引き連れ歌舞伎町に還ってきたのだ。だが、キャバクラ界の若き覇者立花は、ゆりなの引き抜きに成功。藤堂も伝説のキャスト冬海を復帰させて対抗する。魔性の話術と技巧、奇策と知略の限りを尽くす闘いは熾烈さを増していく。やがて、勝負の行方は冬海とゆりなの売り上げ競争に賭けられた。夜の帝王の座は果たして!?風俗業界の裏側を迫真の筆致で描いた問題作『黒い太陽』『女王蘭』に続く三部作の完結編。
奈良吉野から紀伊水道へと注ぐ大河・紀の川の取材にやってきた茶屋次郎。知人の諸越真名美を訪ねるが、再会の直前、彼女は勤務先のホテルで何者かに刺殺される。二ヶ月前に郷里に戻ったばかりの真名美に一体何が?調査に乗り出した茶屋の前に、白昼のデパートで自殺した、ある女性が浮かび上がる。不可解な事件を繋ぐ鍵とは?かつてない難事件に茶屋が挑む!
新学期、横浜にある女子高の特進クラスで上杉小春は碓氷優佳という美少女に出会う。おしゃべりな小春とクールな優佳はやがて親友にー。二学期の中間試験で、東海林奈美絵が成績を急上昇させた。どうやら、夏休み中にできた彼氏に理由があるらしい。だが校則では男女交際は停学処分だ。気をもむ小春をよそに平然とする優佳。奈美絵のひと夏の恋の結末を優佳は見切ったようで…(「夏休み」)。教室のどこかで、生まれ続ける秘密。少女と大人の間を揺れ動きながら成長していくきらめきに満ちた3年間を描く青春ミステリー。
七月お盆、秋月栄三郎は日本橋の呉服屋・田辺屋宗右衛門に誘われて相模国へ大山詣りに出た。途中、一人詣でのおきんと知り合い同行することに。何やら屈託を抱えている様子だが理由を話さない。だが、そんなおきんを付け狙う二人組を取り押さえたことで、彼女が五十両もの金を持っていることが判明し…。ほろっと来て、笑える!ますます冴え渡る栄三の“取次”。
町人ながら剣客となった秋月栄三郎は侍の世界に失望、人生に迷っていた。そこへ大坂に暮らす父・正兵衛が現れ、知己の老親分・洞穴の源蔵の世話を命じる。昔、火付盗賊改方の手先だった源蔵も、今や“法螺吹きの”と揶揄される隠居暮らし。その大法螺に苛立つも、父の語る人生の極意を信じ、世話を焼き始めるが…。じんと来て、泣ける!感動の“取次屋”誕生秘話。
この人が私の運命の相手?十年前、再会の約束を交わした元彼、同棲し始めたばかりの彼女、自分の理想の名前を持つ相手、小説家を目指すきっかけになった女性、上司のすすめでお見合いをした相手、同じ趣味を持つ同僚…。あなたの求める「たったひとり」はきっとこの世のどこかにいるはず!?注目の女性作家たちが描く傑作恋愛アンソロジー。
「四十五歳までに、跡目を継いで代議士になってみせる」主田衆議院議員の第一秘書戸原清一は改めて心に誓った。金庫番という地位を活かし、自らの選挙資金を密かに蓄えていた戸原。そんな折、主田が倒れ、息子や娘婿との間で熾烈な跡目争いが始まった!戸原は“女と金”を巧みに操り、蹴落としに奔走するが…。政界の裏の裏を赤裸々に描いた傑作官能サスペンス。
凍てつく冬、蝋燭問屋殺しで、腹違いの弟・忠助が捕らわれる。番頭らの話から日頃の冷遇を恨んでの凶行と思われた。だが事件の夜、外で忠助を見たという大工は証言を翻した挙げ句、不審死を遂げる。忠助の無実を確信し、黒幕を灸り出すべく大胆な罠を張る青柳剣一郎。驚くべき奸計が顕わになる時、敵は牙をむいた。青柳父子は真に守るべき者を守りきれるのか!?-。
便り屋・日々堂で代書をする剣術家・戸田龍之介は、剣でも恋でも道を譲ってばかり。だが、己が身を退けば丸く収まるはずが裏目の日々。実家と並ぶ鷹匠支配・内田家への婿入り話を譲つた異母弟・哲之助も、思わぬ不幸に見舞われていた。侭ならぬ人生の皮肉に悩む龍之介。そんな彼を、お葉の温かい眼差しが見守っていた…。人気沸騰の“泣ける”時代小説、第五弾。
中国での最新戦闘機の奪還作戦に際し行方不明となった傭兵・藤堂浩志。恋人の美香をはじめ、傭兵チームは捜索をチベットで続けていた。同時期、チベット自治区で、中国人の警官を襲撃し、武器を奪っているグループの中に「参謀」と呼ばれる日系人の姿があった。彼の正体は!?浩志を追う傭兵チームはやがて彼らと衝突。チベットを巡る謀略が明らかに。
お家騒動で揺れる出石藩の姫君が江戸市中で命を狙われた。武蔵国等々力村に身を潜めた姫の護衛に選ばれたのが、算盤侍の唐木市兵衛。美貌の上に天衣無縫な姫君、初めての市井の暮らしに目を輝かせるが、農民の困窮に心を痛める。そして無謀な行動に出たことから敵方に知られることに。月光の下、殺到する刺客に“風の剣”を振るい立ち向かう市兵衛と姫の運命は。
廃業した名煙管師鉄五郎に、もう一度煙管を作らせたい。が、これがとんでもない難問だった。武家と町人の間を取り持つ取次屋、秋月栄三郎は極めつきの頑固者の家に日参。やがて愛娘と婿との確執が廃業の原因と突き止め二人に会いに行くが、こちらも親父顔負けの頑固者だった。(「がんこ煙管」より)笑いと涙、さらに爽やかな読後感を与える、時代人情小説の決定版。
吉田江利、三十三歳独身OL。ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たちだった。ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。まさに人生の指南書だ!涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。
竜之介は美人社長秘書の恭子と、肌を合わせていた。彼女からは常務会で話し合われた最もホットなニュースを得られる。情報を得るのが遅い者は、まず出世の見込みはない。そこから竜之介の“野望街道”は始まった!ライバルからの女スパイ、専務の女、常務の娘、部下の恋人、同僚の嫁、自社CMタレント、新人女社員ーすべてを喰らい尽くして出世の道をつき進む。
侍になろうと剣豪の道を進んだものの、秋月栄三郎は権威と保身に走る武士に幻滅し、取次屋という商売を始めた。武家と町人のいざこざを、知恵と腕力で丸く、時には強引に収める仕事である。が、大坂の商家から幼馴染が訪ねてきたのがきっかけで、栄三は横暴な武家のとんでもない事件に巻き込まれる。デビュー作にして「笑える、泣ける!」傑作時代小説がここに誕生。
「次の“バツ”は、こいつに決定していいと思うのですが」自殺した息子が遺した一冊のノート。そこには息子を死に追いやった人物たちの名が記されていた。嶋津は復讐に乗り出すが、老体にむち打つ彼に協力者が現れて…。連中を罰したい。