出版社 : 祥伝社
警察官僚入江の娘が誘拐された。鳴海署の佐脇は歴代の部下を呼集し、極秘捜査に当たる。同じ頃、管内で猥褻行為に及んだ男が“上級国民”と判明。署は逮捕せず、男を監視下に置いた。「鳴海署を、ぶっ壊す!」警察の腐敗を弾劾する声が上がり、民衆が鳴海署を取り囲む。そして入江の秘書が不審死を遂げ…。警察庁幹部まで上り詰めた入江と万年巡査長佐脇、因縁の結末は!?
唐木市兵衛に返り討ちにされた刺客の一族が、復讐を誓い市兵衛の身辺探索を始めた。一方、大坂に情が移り江戸への出立を渋る小春を、亡姉の親友お茂が訪ねてきた。幼馴染みが辻斬りに遭い、生死の境をさ迷っているという。犯人捜しを始めた市兵衛だったが、己れの居場所を刺客に突き止められてしまう。良一郎らを先に発たせた市兵衛は、自ら死の罠に飛び込み…。
時は天保。新南町奉行・鳥居耀蔵により閑職に追いやられた元定町廻りの腕利き同心・仙波直次郎は、妻の薬料にも事欠き、日々を無為に過ごしていた。金で人の怨みを晴らすという『闇の殺し人』のひとり、軽業一座出身の小夜に誘われ仲間となった直次郎は、元締め“無用之人”寺門静軒や繩鏃遣いの万蔵らと、江戸に跋扈する腐った悪を、心抜流居合術で一刀両断する。
鳥居耀蔵の策謀によって、桑名藩に永預けとなった元南町奉行矢部定謙は、抗議の断食で死んだーはずだった。遺体として運ばれた寺で奇跡的に息を吹き返すも、墓だけでなく祠まで建てられ、神として祀られた定謙には、出家して別人として生きるしか道はない。修行の道中、悪政に苦しむ民の姿を見てしまった定謙は、「幽霊」として民を救おうと決意するが…。
拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者。突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘。全ては自らが過去に犯した罪の報いなのかー!?推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!
仕事なし、彼氏なし、元アイドルのアラサー女子。夜は男性との「ノルマ飯」、仕事もタフにこなしているつもりが、ある日突然、駅のホームで突然足が動かなくなった。そして、赤の他人のおっさん(57歳)と暮らすことにーー 読めば心が少し軽くなる、元SDN48の実録私小説 芥川賞作家・羽田圭介氏推薦! アラサーの己を卑下し客観的に書こうとするほど、“元アイドル”に未だ価値があると根底で思っている視線の在り方が際立つ。コントロールしきれぬ部分も露見するほど筆者が本気だからこそ、本作は映画『ブルージャスミン』を超える魅力を放つ。 SNSで話題沸騰! ササポン(おっさん)、日本にあと100万人くらいいてほしい。ササポン量産化希望(漫画家 瀧波ユカリ) ドン詰まるんだ。生きるって、ドン詰まる。 もう書くことしか残ってない。 ドン詰まってる。でもそこから始まるんや。(田中泰延) 「家族」になにを求めるのかってことが更新されつつある時代だと思います。(ジャーナリスト佐々木俊尚) 「あ、人生が詰んだって、こういうことを言うんだ」 自分の弱さを呪った。… 大木さんの物語は、みんなの物語でもある。 いまはこの種の苦しさを振り返ることができるくらいの余裕はできたけど、でもやっぱり思い出すとお腹がギュッとなる。(ハフポスト日本版エディター毛谷村真木) ◇ 28歳の春、突如として生活の保証もない、仕事もない、彼氏もいない、貯金だってほとんどない日々が始まった。 残ったのは、手元にある10万円。 「あ、人生が詰んだって、こういうことを言うんだ」 自分の弱さを呪った。 8歳離れた姉から電話があったのはちょうどその頃で、収入が不安定になった私に、「ルームシェアをしたらどうか」という提案を持ちかけてきた。 一緒に住む相手は、姉が「ササポン」と呼ぶ人で、一般企業に勤める50代のサラリーマンだという。 気を遣わなくていいおっさん。恋人でも家族でもないおっさん。 ふと「この特殊な生活の中で自分が変われるかもしれない」という予感がおとずれた。 こうして、私とササポンの日々が始まった。 (本文より抜粋)
捨て子という生い立ちが、美しい容貌に影を落としていたー。銀座の老舗デパート三松屋に勤める朝波香織は、高級時計を盗んだ疑いをかけられる。彼女の境遇に同情した旅行作家の茶屋次郎が容疑を晴らすべく動くと、盗難の内部調査をしていた宇垣の死体が、木曽川河畔で見つかった!茶屋は彼の足取りを追い、奈良井宿、馬籠宿など、古の情趣漂う木曽路へ。しかし、三松屋の取引先社員も紺碧の流れに浮かび…。茶屋が旅路の末に辿り着いたのは、六年前、銀座で起こった、凄惨な通り魔殺人の真相だった!
朝からゴルフ、夜まで豪遊。札束で膨らんだ“お車代”。製薬会社が医師に対し、製品を採用してもらうべく仕掛けていた過剰な接待・贈賄は、法律で禁止された。ところが皮肉にも、規制強化につけ込む裏ビジネスが生まれる。自ら“医療マフィア”と名乗る花島正輝は、製薬会社に代わって優秀な美人医療情報担当者を送り込み、医師を籠絡。巨額の報酬を懐に入れていたのだ!
放火大量殺人の実行犯を検挙した刑事隼野一成が捜査本部に帰還し、拍手で迎えられたのも束の間、犯行グループから予告状が届く。警察だけが知り得る犯人の象徴ー“蜂”の針は、現役大臣殺害を示唆していた。捜査支援分析センターの異端児天埜唯が電波傍受・映像解析で犯人特定を急ぐも、捜査は公安主導となっていく。内外で高まる圧力。やがて隼野を悪夢が襲う…。
人類は古代から恋愛に懊悩し、その苦しみや歓びを綴り不朽の名作を生みだしてきた。そこには我々が学ぶべき叡智と教訓がつまっているー紀元前から今でも使えるモテテクを伝授する『恋愛指南』、高慢ちきな女子に効く『蜻蛉日記』、不倫に悩む人に『好色五人女』、リア充が妬ましい時には『ヰタ・セクスアリス』等々。古今東西の傑作がぐっと身近に、きっと読みたくなる読書案内。
戦後、日銀から消えた二〇万カラットのダイヤモンド。曾祖父から謎の遺言を託された小説家の浅野迦羅守は、恋人の小笠原伊万里、元CIAの南部正宗、数学の天才ギャンブラーらと共に暗号の解読に挑む。目に見えぬ敵と、四人の仲間を次々と襲う危機。はたして時価一〇〇〇億円と言われるダイヤを発見できるのか。『Mの暗号』に続く昭和史ミステリー第二弾!
大手建設会社営業部の桑名が全身を針金で縛られた水死体で発見されたー。一方、私立探偵見城豪が事務所で情事を愉しんでいると、突然の依頼人が。桑名の会社の総務部長浅利の妻子だった。夫が何者かに狙われているというのだ。事件の背後に違法カジノと、四十数社による談合疑惑が浮上。大金の臭いを嗅いだ見城が動いた!ハードな犯罪サスペンスの傑作シリーズ!
元奥州白河藩士の倅・真木倩一郎は、朝顔を育てる優男の風貌とは裏腹に江戸随一の剣客。ある日幼馴染みの天野善次郎が新藩主・松平定信の命で来訪、倩一郎に前藩主のご落胤の噂があるという。定信からは帰参を乞われる中、船宿“たき川”の女将で、江戸の目明かしの総元締・米造の娘、お葉を助けたことで運命が一変。倩一郎は幕府も揺るがす暗闘に巻き込まれていく…。
尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。二人の死は、自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる。近頃は仕事終わりにバイト仲間と他愛のない話をしたり、お隣の母子に頼まれて虫退治をしたり、町の人々に馴染みつつあった。そんなある日、突然祖父が東京にやって来ると言い…。じいちゃんが、父が、母が、身をもって教えてくれたこと。
才能のかけらもない素人娘を天才歌姫に仕立て上げ、前代未聞の熱狂を巻き起こすー代表が金を持ち逃げし、消滅した『劇団ゆうまぐれ』。自暴自棄の劇団員たちは、舞台の脚本をリアルな世界で実行して、金儲けを企んだ。船橋駅前で歌っていた女の子をスカウトし、天才シンガー“姫花”を売り出すフェイクプロジェクトが始動する。音楽担当の亮太は素人娘を天才に見せかける作業に苦心していたが、最初の路上ライブで彼女が見せたパフォーマンスに言葉を失ったー。船橋から香港へ、姫花はスターの階段を昇っていくが…。
名門土岐源氏の血を引継ぎ、明智家の養嗣子となった十兵衛光秀。神童の誉れ高い少年は、美濃の碩学・快川紹喜に見出され、師弟となる。快川は織田信長の師である沢彦宗恩とともに、臨済宗妙心寺派の最高位をつとめ、兄弟弟子でもあった。光秀は乱世の有力武将に兵法治世を学ぶため、諸国遊行に励む。しかし、その心の裡には奸雄をも喰らう狼が棲んでいた。
武家の頂点に立った織田信長と、朝廷との確執は深まるばかりだった。双方から信頼の厚い明智光秀は懊悩の日々を過ごす。甲州征伐の折、信長は快川紹喜を焼き殺すという暴挙に出た。これは、武田信玄が臨済宗の碩学・希菴玄密を殺した行為と重なり、信長の終焉が噂され始めた。そんな中、信長は本能寺に向かう。快川を奪われた光秀は、心の裡に狼の覚醒を感じー。
英雄の若かりし日々を描く、零の物語ー十六歳の新人火消松永源吾は、逸る心を抑えられずにいた。同世代には才気溢れる火消の雛たちが台頭していたのだ。そんな折、毒を吐く戦慄の炎が発生。熟練の火消すら生還叶わぬ毒煙に、若輩は出動を禁じられ…。反発する源吾は、加賀鳶の御曹司、最年少火消頭、町火消の新星等くせ者揃いの面々と共に命を救うため立ち上がる!
「おいしいね」を分け合えるそんな人に、出会ってしまった。古い京町家で暮らす夕香と同居することになった正和。理由は“食の趣味”が合うから。ただそれだけ。なのに、恋人の華には言えなくて…。三角関係未満の揺れ動く女、男、女の物語。