出版社 : 祥伝社
第三の“竹内ノート”を求めて、男はルソン島へーー 戦没詩人、山下財宝、山岳民族、イスラム独立闘争… 空っぽな日本人はそこで何を見たのか 注目の才能ミヤウチの、これが決定版。またしても展開予測不能の冒険小説! 戦死した若き詩人が見晴るかし、残したものとはー ぼくは、ぼくの手で、戰爭を、ぼくの戰爭がかきたいーーそう書き残し、激戦地ルソン島で戦死した詩人・竹内浩三。彼は何を見、何を描いたのか? テレビディレクターの職を捨て単身フィリピンに渡った須藤は、その足跡を辿りはじめた。だがその矢先、謎の西洋人男女に襲われ、山岳民族イフガオの娘ナイマに救われる。かつて蹂躙された記憶を引き継ぎ日本人への反感を隠さないナイマだが、昔の恋人ハサンの実家を訪ねる道行きに、付添いとして須藤を伴うことに。ミンダナオ島独立のために闘ったイスラム一族の家で一時の休息を得た須藤だったが、ハサンの家は秘密を抱えていた……。
まもなく七十歳になる一之瀬廉太郎は定年まで勤めあげた製菓会社で嘱託として働いている。家事や子育ては二歳下の妻杏子に任せきり、仕事一筋で生きてきた。ある日、妻から病院の付き添いを頼まれるがにべもなく断ってしまう。妻の頼みごとなど、四十二年の結婚生活で初めてだったのに。帰宅後、妻は末期がんで余命一年と宣告されたと告げる。呆然とする廉太郎に長女は「もうお母さんを解放してあげて」と泣きながら訴えるのだったー。余命一年を宣告された妻が、夫に遺す“最期のしごと”とはー。結婚四十二年、仕事一筋の男と家を守ってきた女。残された時間をどう生きるべきか…。
「嫁に行くがよい」大身旗本の娘けいは、ある日突然、父親から嫁ぐよう命じられる。相手はなんと博打打ちの遊び人。しかも武士の暮らしを捨てたというー男の名は遠山金四郎。覚悟を決めて金四郎を訪ねたけいだったが、目にしたのは、口は悪いが老若男女から頼りにされる金四郎の姿だった。そんな矢先、近隣で殺しが発生。なぜかけいも探索に付き合うことに…!?
バブルで巨額の負債を負った自動車修理工氏家豊は、六七年型マスタングで流す夜、何者かに拉致された旧友五十嵐の娘香織を救う。自らも凶禍に遭った氏家に、銀行員の五十嵐は不正融資を強いられたと告げて失踪。マスタングの持ち主で赤坂の料亭女将澄子にも危機が及び、真相を追うや、トラブルはさらに飛び火した!時代の光と闇を描くハードボイルドの旗手、渾身作!
新宿歌舞伎町のビル火災で大量の焼死者が出た。火元には刺殺体。閉まらなかった防火扉。唯一の目撃証言は「逃げたのは子供」。臨場した捜査一課の隼野一成は、刑事らしからぬ若い女性と出会う。彼女こそ監視映像分析に長けた捜査支援分析センターの異端の天才、天埜唯だった。火を放つ底知れぬ悪意の正体とは?圧力に抗する共同捜査が始まる!
血の海となったホテルの一室で、テレビレポーター有森友紀が全裸惨殺死体で発見された。異常者による猟奇殺人か。容疑者に浮上した恋人の広告ディレクター石上彰は冤罪を訴えるが、刑事は執拗に食いつく。その石上が留置場で変死。元刑事で一匹狼の私立探偵見城豪が怒りとともに立ち上がった!野獣の暴力が悪を打ち砕く、ハードな犯罪サスペンスの傑作シリーズ!
「粗大ゴミのように私を放りだそうとしたのはあなたじゃないか」経営不振を乗り切るための組織改革で昇進したはずが、実は“社内失業者”と化していた三矢不動産部次長の大下。彼の許に突然届いたのは「解雇通知」だった。自分を引き抜いた常務の裏切りを痛感した大下は、「日本管理職組合」に復職を訴えるが…(表題作より)。非情で身勝手な企業に挑む男たちを描く傑作短編集。
定町廻り“鬼しぶ”の心配をよそに、唐木市兵衛は未だ大坂に在った。世話になった長屋のお恒の息子が、突然、殺されたのだ。堂島の蔵屋敷で働く孝行息子だったが、その背中には幾つもの刺し傷があった。下っ引の良一郎らと下手人を追う市兵衛。堂島は米の取り付け騒ぎに震撼していた。同じ頃、市兵衛をつけ狙う刺客が現れた。気配からかなりの凄腕と思われ…。
秋月栄三郎は気楽流岸裏道場の稽古に釘付けとなっている若者が気になっていた。取次屋の好奇心から調べてみて仰天した。彼の父は、松田新兵衛が好敵手と認めた、神道無念流の達人だったのだ。その後、騙し討ちに遭い命を絶たれたという。息子は道場を継がず医学を志すが、父を冒涜する父の元弟子を成敗するため、なんと新兵衛に弟子入りを望み…。感涙の最終話。
〈新宿〉に我が都を復活せよ! 古代エジプトの美鬼、降臨! 妖術・秘儀でせつらを殺す? 大人気シリーズ最新作書下ろし! 米軍輸送機が極秘の積荷とともに〈亀裂〉に墜落。捜索のため降下した自衛隊を麻布に身を包んだミイラが返り討ちにしたーー。“おまえは、愛しい男の宿敵”美貌の人捜し屋・秋せつらに謎の言葉を告げて消えた、浅黒い肌の美女。白い医師メフィストは、彼女こそ古代エジプトに存在しないはずの女王ミスティであり、〈新宿〉の災厄だと警告する。せつらは、〈魔界都市〉に隠れ棲むという女王の下僕五人を追うが……。六〇〇〇年の時を超えて甦った女王の邪悪な目的とは。そして〈新宿〉の命運は?
横浜の老舗商店街・伊勢佐木町にひっそりと事務所を構える私立探偵・桂木圭一。時代遅れなスカジャンを愛用する舎弟・黛真琴を引き連れて、港町で起きる重大(?)事件の調査を生業にしている。ある日、知らぬ間に再婚していた母親の新居を訪ねると、そこは山手の大豪邸。お相手はなんと神奈川県警本部長で、しかもその息子は伊勢佐木署のイケ好かないエリート刑事だった…!やたらと現場で鉢合わせる義兄弟、このビミョーな関係一体どうなる!?
長江、渚、夏美は大学時代からの飲み仲間だった。やがて長江と渚は夫婦になり、夏美は会社の同僚・健太と結婚、それぞれ子を持つ親に。長江の海外赴任でしばらく途切れていた“宅飲み”が、帰国をきっかけに復活。簡単&絶品グルメをアテに、世間話はいつも思わぬ方向へ…。
昭和、平成、そして新時代へー。三つの時代を駆け抜ける、浅見光彦令和最初の事件!隕石から作られた流星刀が眠る街・小樽で起きた二つの殺人。そして流星刀づくりに関わった刀工一族にまつわる秘密ー名探偵・浅見光彦とIQ190の天才・天地龍之介、再会した名コンビの華麗な推理!
なぜ冤罪は生まれるのか? 曖昧な記憶 自白強要 作為 悪意…… 人間心理の深奥を暴く! 青春&新社会派ミステリー! 私が疑いを晴らしてあげるーー突然、同級生へのストーカー行為を告発された大学生の牟田幸司。身に覚えはないが、“証拠”を盾に周囲は犯人扱いだ。追い詰められた幸司を救ったのは、冤罪を研究する先輩・紗雪の一言だった。幸司を陥れた“証拠”とは何なのか? 調べを進めると、目撃証言や記憶など人間の認知が驚くほど曖昧なものだったことが判明。幸司の疑いは晴れた。真犯人は別にいる、それは誰だ? 謎を追う二人の前に、さらなる事件が待ち受けていた!--「無意識は別の顔」
試験的にAIロボットを導入した第七明和銀行。高田通り支店の庶務行員・多加賀主水は、AIに負けじと雑用をこなしていた。ところがある日、主水は友人の木村刑事に放火の疑いをかけられ、署に連行される。聞けば“高田町稲荷の遣い”を騙り、町内の嫌われ者の自宅に「天誅」と称して放火する輩が出没しているらしい。潔白を訴える主水は、町を脅かす巨悪と対峙する!テレビドラマ化された痛快銀行小説シリーズ第4弾。
暴力団排除条例の下、壊滅した旧鳴龍会の残党は困窮していた。ヤクザから足を洗っても世間の偏見からは免れられない。彼らの現状を憂慮した鳴海署の刑事佐脇は何とかしようと乗り出すが、旧鳴龍会を目の敵にして潰そうとする怪しげな警備会社の職員が、武装して乗り込んでくる。裏で糸を引いているのは誰か?やがて関西の巨大暴力団を巻き込んで、一大抗争が勃発する!
元女優の母、元叔父さんの父、反抗期の妹、そしてヒッチコック好きのぼく。訳ありそうに見えるけれど、ぼくら安井家は平穏で普通のはずだった。それなのにある夜、母が突然、ぼくらの知らない男の人を看とると宣言した瞬間、歯車が狂い始める。母の恩人だというその人に、ぼくは会いに行く決意をしたけれど…。揺れ動く家族と少年の心を瑞々しく描ききる、成長の物語。
突然失踪した経営者を追い、六本木のホストクラブへ単独潜入を試みた“悪女刑事”こと警視庁組対部の黒須路子。だが、客が店に放火し、ロケットランチャーがぶっ放されて、九死に一生、逃げ出した。自分を亡き者にしようとする上司の富沢を疑うが、やり方があまりに粗暴すぎる。そんななか伝説のやくざの帰還が伝えられて…。向かうところ敵なしの女刑事、大暴走!