出版社 : 郁朋社
武勇に秀で知恵者であった源五郎の後半生は「徳川家康の懐刀」でもある。家康の暗殺計画が発覚した時、源五郎は単身で伏見城に駆け付けている。また関ヶ原の戦いの前日評定で家康は彼に直接斥候を命じ翌日その報告により開戦を決定すると言っている。それらの史実により源五郎は家康の情報源でもあった。
ねぶたは通りを運行し、流し踊りは威勢よく練り歩き、御山参詣の行列が御山に向かう……。 苦難の幕末・維新期を力を合わせて乗り切った津軽の男と蝦夷地のアイヌの女、その家族三代の逞しい生き様を描く。
上海の隠れ家で、ひっそりと文豪魯迅が息を引き取った。 風雲急を告げる時代、文豪夫妻と上海内山書店創始者夫婦との交流を中心に宋慶齢(孫文夫人)宋美齢(蔣介石夫人)姉妹、江青(毛沢東夫人)李香蘭(山口淑子)らがしたたかに時代を彩る。
最後は「戦犯神父」と呼ばれて‥‥‥ 戦時下の逆風の中でカトリック教会を守るために「真のカトリック信者は愛国的である」という論陣の許、全国の教会から恤兵募金を集め、軍に飛行機を献納し「愛国神父」と絶賛された男の生涯を追う。
若き駿河国主・今川氏輝が突如死んだ! 影役・彦五郎も同日に亡くなる。 謎を知る母・寿桂尼は口を閉ざしたまま、末弟・義元と軍師雪斎の生き残りを賭けた戦いが始まった。
鬼の正体見えたり! かの有名な伝説上の鬼・大江山の酒呑童子、源頼光に成敗されたと物語られているが、本当の鬼は思わぬ場所に潜んでいた。それを知りつつ「童子切」を鍛える刀匠の苦悩とは‥‥‥。 (第25回歴史浪漫文学賞最終選考通過作)
6世紀半ばの欽明朝から7世紀初頭の推古朝・厩戸(聖徳)太子時代を中心とした蘇我一族の華麗なる飛躍と、仏教公伝で揺れた朝廷内の対立と仏教文化の芽生えを巡る空白の歴史を生き生きと再現し、その後の統治制度と仏教文化の開花へと繋がる躍動の時代を描いた無二の作品。
二度目の蒙古襲来から七年、御家人間の力関係に大きな変化が生じつつあり、また土地相続に窮した御家人たちが、一族挙げて北奥(みちのく)を目指す鎌倉中期を時代背景に、陸奥への野望を抱く甲州南部氏は、北条得宗家の命が下ったことを幸いに、重臣家福士氏の三男夷王三郎(夷王丸)を陸奥に送り、夷王丸はさらに蝦夷ケ島を目指す。同行するは、郎従次郎太、日蓮六大弟子の一人にして大陸渡航について現在も真偽が論じられる日持上人、熊野の修験者日延房と椿を携える歩き巫女珠於の五人と、その後に加わる者たちを含め十名の旅の仲間たち。 この仲間とともに、蝦夷ケ島内の唐子蝦夷、日の本蝦夷の紛争を調停し、元凶たる唐子蝦夷族と大陸ヌルガン(黒竜江)の元国東征元帥府の主と対峙し、結果として講和を取り持ち、大陸をも含む北方世界に平和を齎す。また日持の大陸弘法の悲願も叶い、彼は勇躍して元の大都に向かう。このような歴史的事実と筆者の創作による出来事を横糸にしつつ、蝦夷ケ島の美しき娘「チュブキ」と夷王丸との不可思議な恋の行方が縦糸として語られ、互いに見る幻夢とぺカンペの小さな白い花が二人の恋を成就に導く。
古代出雲伝説と自分探しの旅 神話に魅せられた伝説の地を訪ね歩くうちに、不思議な勾玉を持つ自信のルーツが封印された伝説とリンクすることを知る…… 古代ロマン伝説
第25回歴史浪漫文学賞創作部門優秀賞受賞作品。 時は幕末、上州の山奥で法神流武術を極め、浪士組の一員として京へ上る女剣士中澤琴、その波乱に満ちた生涯を描き出す。
倭国朝廷から大和朝廷へ、歴史は大きく舵を切った。 無量寺縁起(由来旧記)によれば、寺は白鳳時代に開創。斉明天皇が下向時に朝倉に三カ月逗留したという。愛媛・今治に伝わる古代伝承から新たに歴史を紐解いた意欲作。読めば『日本書紀』の真の意味がよく分かる。
お待ちかね、第21回歴史浪漫文学賞優秀賞受賞作家のシリーズ第4弾! 手練れの郵便集配人が遭遇する難事件の数々!! こっくりさん殺人、高利貸し殺人、娼婦殺人、宝石泥棒…… 明治という時代の光と闇を実在の著名人を配して大胆に活写!
役者は揃った。 十六世紀は、銀の世紀、海賊の世紀、バテレンの世紀、軍事革命の世紀。そして各国で最も人気のある英雄・梟雄達が、絢爛豪華な役者として、世界という劇場で渾身の演技を見せた世紀である。
役者は揃った。 1543年の鉄炮伝来から、1598年の豊臣秀吉の死去までの縦軸を、スペイン王フェリペ2世との対峙を絡め、西洋諸国・大明国・李氏朝鮮国との横軸を織り交ぜながら展開していくオムニバス形式の壮大なる叙事詩。
京人は四季折々、鴨川に遊んだ。 それは深い情愛と冷酷さを併せ持った気まぐれな美女(鴨川)とその美女に魅せられた男(京人)に似た間柄と言えるかもしれない。そう言えるのは鴨川が『神宿る川』『祓の川』『流葬の川』『物流の川』『暴れ川』であり、『下層民の終着地』『戦場』『処刑場』『民衆芸能発祥地』『行楽地』等々であるからだ。 平安時代から江戸時代まで、時の権力者と鴨河原人の関係を描きだした短編連作集。
第24回 歴史浪漫文学賞特別賞 氏政の意地と秀吉の深謀 関東制覇目前の北条氏の前に 天下統一を目指す秀吉が立ちはだかる 果たして戦は避けられなかったのか
カーラーは常に高潔であるべし 昭和12年秋、一人の女学生がカーリングと出会った。 平凡な青春は色づき、仲間たちと遥かなる高みを目指す日々が始まる。 彼女たちの成長していく様を詩情豊かに描き出す。