出版社 : 集英社
病院長の孫娘が誘拐された。犯人からは、人質の黒髪と、前代未聞の要求が突きつけられる。身代金代わりに、入院中の患者を殺せ、というのだ。しかもその人物は、病院のスポンサーでもあり、政財界を巻き込んだ疑獄事件で裁判を待つ被告人だった。悩む家族、後手に回る警察。人質救出の極秘作戦が病院内で幕を開ける。そこに第二の事件がー。
身代金の代わりに「殺人」を求める異常な事件に続いて起こった第二の誘拐。今度の人質は19歳の大学生だった。犯人の周到な計画に翻弄される警察。試練を受け、新たな歩みを始める家族。謎は深まり、やがて恐るべき秘密が浮かびあがる…。スリリングな展開、迫真の描写。そして感動のラストへ!最後に誘拐の果実を手にする者は誰なのか。
はるか古代から続く「ヒ」一族は、国が動乱期にさしかかると、特殊な能力を使って危機を救ってきたといわれる。その能力とは、御鏡、依玉、伊吹と呼ばれる三種の神器を使ったテレパシー、テレポーテーションであった。物語は戦国の世、織田信長の比叡山焼き討ちから始まり、関ヶ原、幕末、太平洋戦争、そして戦後の混乱期へと四百年の時を越える。歴史の襞の中で動く「ヒ」一族を圧倒的スケールで描くSF伝奇ロマンの傑作。
姉の仕事を手伝うためにフランスへ渡った一馬。三つ星レストラン「ル・コント・ブルー」で働くことに。ある日オーナーからマルコを買いつけてきてほしいと頼まれ、わずかな手がかりをもとに日本に戻り動きだす。幻のマルコ、はたして一馬はたどりつけるのか…。マルコとは?奇妙な冒険譚。
俺の名は指宿青龍、中学2年生。少々背が高くて目つきが鋭くて喧嘩なら誰にも負けないだけなのに、友達ができない。そんな俺に、委員長の河田がクラシック・バレエの魅力を教えてくれた。友とともに目指せ「舞王」!第14回ジャンプ小説大賞『大賞』受賞作、華麗に魅せます。
男はもうこりごりと思った私は、ついに念願の猫を飼うことにした。が、二匹のうちの一匹がどうしてもなつかない。表題作「秋の猫」。夫婦で犬を飼い始めたとたん、仕事は順調、夫は女をつくった。いざ離婚というときに、夫も私も犬の親権を主張して譲らない。「幸運の犬」ほか、犬や猫との交流をとおして、心を癒され、孤独の寂しさを埋めてゆく男女を描く、心温まる短編集。
バブル崩壊による銀行破綻に連座して逮捕され、すべてを失った元エリート・柏木雪雄。獄中で見る夢に、とうに捨て去った過去の「秘密」が甦ってくるのを感じ取る。秘密の鍵は幼い頃過ごした熱帯の中にある。出所した柏木は記憶にはない父親の像をたどってミンダナオ島のカリナンに向かった…。ベストセラー小説『プラハの春』の元外交官作家が鋭く問いかける、戦後日本人の「来し方」。
高校最後の試合を前に、膝を痛めてしまったバスケ部キャプテン・夏希。「仲間と一緒に試合に出たい」と願う彼女を治したのは、アスリート専門医の靫矢だった。夏希は、身体だけでなく心まで癒す靫矢の姿にひかれ、彼の病院を手伝い始める。そこを訪れる選手達の症状には、深い心の傷が隠されていたー。栄冠を求め傷ついた人々を癒そうとする、まっすぐで明るい少女の姿を描いた爽やかな青春小説。
エンブリオーそれは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向かうのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。
「男性の妊娠」研究を国際学会で発表し、各国の賞賛を浴びた岸川。彼の高度な医療水準に、アメリカで不妊治療をビジネス展開する大企業が目をつける。最先端の技術と情報を盗むため、巨大組織が仕掛けた卑劣な罠。そして、それに対して岸川がとった恐るべき反撃策とは。岸川の持つ闇が徐々に暴走し始める…。生殖医療の暗部を鋭くえぐり、進みすぎた生命科学が犯す罪を描き出した戦慄の長編小説。
命を賭けた恋… 大正時代、筑紫の炭坑王の妻で美貌の歌人・柳原白蓮は7歳下のジャーナリスト宮崎龍介と恋に落ちた。名高い恋の逃避行「白蓮事件」を、門外不出の資料を元に描ききる渾身作。第8回柴田錬三郎賞受賞作。(解説・菅 聡子)
十六歳のアンはプリンスエドワード島の若き教師となった。ギルバートと村の改善協会で活躍し、マリラがひきとった双子を育てながら、夢を胸に前向きに生きる。ミス・ラヴェンダーの恋、ダイアナの婚約、新しい旅だち…。少女から若い娘へ成長していく二年間を、清冽な描写とユーモアで綴った感動の名作。英米文学・聖書からの引用を詳細に解説した訳註つき完全訳「赤毛のアン」シリーズ第二巻。
待望の第5部への序章!そしてついに、エイラは愛する人の故郷へ!傷ついた者を助け、最後の難関である酷寒の氷河を越えたとき、エイラは自分の体の変調に気づく。今から3万5000年前、最終氷期の終わり、大地震で孤児となったクロマニオン人の五歳の少女、エイラは、ケーブ・ベア(洞穴熊)を守護霊とするネアンデルタール人の一族に拾われる。種の違いから姿かたちも、ふるまいも、異形としか映らないエイラは数々の苦難にみまわれながらも、逞しく生きぬいてゆく。世界3,500万人に読みつがれている、最古のヒロイン、エイラの愛と冒険の物語。
任務遂行中のナルトたちを、突如、謎の鎧兵が襲った。戦闘のさなか、ナルトは兵を率いていた白騎士とともに谷底へー。一方、残されたシカマルとサクラは、巨大な移動要塞を探っていた!!砂忍も活躍!劇場版『NARUTO-ナルトー』を小説化。
「コースアゲイン」とは「進路を元に戻せ」という船の専門用語だ。男はどこへ向かい、なぜ元に戻ろうとしているのか。この言葉は何を意味しているのか。物語の中には、酒があり葉巻があり、船があり海がある。そして男がいて女がいる。壮年の作家を主人公とした、一作一作が著者の心の傷から滲み出しているような、あたかも私小説とも思える20の短篇が収められている。
東海の小藩で青春を送る筧新吾、花山太郎左衛門、曽根仙之助の三人の青年武士たち。厳格な身分社会の中で、立場や家格の違いをこえて、かたい友情に結ばれた三人だったが、彼等にもやがてそれぞれの道へ進むべき時が訪れる。藩命を受けて江戸へ向かった彼等に、藩をわがものにしようと企む蟠竜公の陰謀が牙をむくー。若き侍たちの旅立ちと胸のすく活躍を描く、青春時代小説の傑作。