出版社 : 集英社
幻想的な初恋小説、どたばたユーモア群像劇、彷徨える若い魂の成長物語…あなたの知らない意外な作品を一挙収録!書簡集や、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』など四大長篇の読みどころ解説も。もっとドストエフスキーが好きになる一冊。
勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足ー。従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。 第14回配本となる第18巻「暗黒の街角」は、馳星周の言わずと知れたノワールの名作「不夜城」を筆頭に、 新旧のヤクザ小説の傑作13編を収録! 本当の男の美学に酔える一冊! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] ヤクザ小説の巻である。 「いいヤクザ」「フツーのヤクザ」「悪いヤクザ」をほどよく配列しよう、というのが当初の発想だった。 が、甘くなかった。 「いいヤクザ」の小説はいくらでもあるのに、「悪いヤクザ」の名編は少ない。 愚考するにヤクザ小説でリアリスムを貫徹しても感動を呼ぶ小説にならぬのだろう。 とはいえ馳星周長編には「いい人」はいない。 この長編で「背徳」の沼の感覚にひたっていただきたい。 [収録作] 【長編】 馳星周「不夜城」 【短編】 長谷川伸「関の弥太ッペ」 有馬頼義「貴三郎一代」 河野典生「ゴウイング・マイ・ウェイ」 安部譲二「プロフェッショナル・トゥール」 花村萬月「笑う山崎」 石田衣良「エキサイタブルボーイ」 浅田次郎「ラブ・レター」 【掌編】 かんべむさし「ドス」 夢枕獏「あんまさまおおいに驚く」 清水義範「極道温泉」 大沢在昌「気つけ薬」 子母沢寛「座頭市物語」 ◇解説/北方謙三 解題/香山二三郎
時は文久元年。田舎の村を出た若者・弥吉は、決意を胸に大坂へ向かう。蘭学者の緒方洪庵が開いた適塾に潜入し、折を見て「暗殺」することが彼の使命だった。しかし実際に洪庵の人柄に触れるうち、考えが変わっていく。一方、郷里の村では、尊王攘夷の急進派「天誅組」に加わるため、村人たちが動き出す。弥吉は挙兵を止めようと奔走するがー。「正義」とは何か。壮大な成長物語。
白衣を着てコック帽をかぶった北町貫多は、はじめての飲食店でのアルバイトにひそかな期待を抱いていた。日払いから月払いへ、そしてまっとうな生活へと己を変えて、ついでに恋人も…。労働、肉欲、そして文学への思い。善だの悪だのを超越した貫多17歳の“生きるため”の行状記!
アウシュヴィッツ強制収容所に、囚人たちによってひっそりと作られた“学校”。ここには8冊だけの秘密の“図書館”がある。その図書係に指名されたのは14歳の少女ディタ。本の所持が禁じられているなか、少女は命の危険も顧みず、服の下に本を隠し持つ。収容所という地獄にあって、ディタは屈することなく、生きる意欲、読書する意欲を失わない。その懸命な姿を通じて、本が与えてくれる“生きる力”をもう一度信じたくなる、感涙必至の大作!
京都の輸血センターで検査技師として働く迪子は、恋人と別れた後既婚者である上司、阿久津に強く惹かれていく。初夏から野わけの候の、美しい京都を舞台に、不倫の愛につきまとう喜びと苦しみ、底知れない虚しさを、卓越したリアリティーで描く。
取引先の社長子息の結婚披露宴に招かれたクロロックとエリカの吸血鬼父娘。ところが華やかな結婚式場は、招待客の突然死で大騒ぎに。そんな中花嫁が出逢った男は、死んだはずの恋人で!?表題作ほか、無理心中を図ろうとした貧しい母娘を救う『吸血鬼の小さな灯』、謎の声がひきこもりの青年に話しかける『吸血鬼と真夜中の呼び声』の2編を収録した人気シリーズ最新作!
荒霊村に棲む祟り神・赤姫。祭事の夜、禁を破って外出した子供は彼女に“引かれ”、生きては帰れないー。村の高校生・モトキは、転入生の法介、村外へ進学した幼なじみの将親、薫、建太とともに、夏休みを過ごしていた。だが大祭の夜、法介の妹が“引かれ”てしまう。彼女を助けようと、五人は奔走する。そして、実は赤姫に“引かれ”た唯一の生き残りであるモトキは…?
クールな美形僧侶・空円と水商売系僧侶・覚悟の営む孤月寺で、見習いとして働く三久。寺を訪れた老師から空円の過去を聞き、少し近づけたような気がしていたが、そんな時実家の和菓子店を継ぐように言われてしまう。同じ頃、覚悟にも海外修行の話がもちあがり、三人の寺での生活に終わりが近づいて…。三久の出した結論は?かみ合わない坊主トリオの下町人情譚!
雨降る昼と星降る夜が訪れる古都・金沢。武蔵ヶ辻・近江町市場の片隅にひっそりと居を構えるカフェ金魚館に集う人々の想いは、時空を超えて交錯して。遠い昔に消えた初恋とひがし茶屋街の老舗旅館、シュガードーナツと九谷焼職人、粟崎に突如現れた遊園地と少女歌劇女優…迷える見習い店員・古井戸が人々の夢と想いを抱きしめて巡る、切なく不思議な2つの物語。
時は大正。坂之上伯爵家の令嬢・香澄は、退屈な日常にうんざりしていた。そこへ現れたのは、代々祀ってきた悪路王。香澄は彼に朧という名を与えることで、主従関係を結んでしまった。少年の姿をした朧は、世の中にはびこる鬼を喰らって力を得るという。腹をすかせた朧のために、香澄は街へ出かけてみたのだが…?煌びやかな華族世界を舞台に描く、あやかし事件簿!
野球部の応援をする吹奏楽部員に憧れ、吹奏楽の名門、白翔高校に入学したつばさ。入学式の日、野球部の大介と交わしたひとつの約束と、彼への恋心を支えにきつい練習をがんばってきた。しかし、吹奏楽部も野球部も全国の壁は高く、ふたりの約束は果たされないまま。そして約束は、最後の夏に託されるー。河原和音の大人気コミックス原作の映画、感動のノベライズ!
家にも学校にも居場所を見出せず、自分を愛せずにいる14歳の少女。茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた画家・歩太。20歳年上の歩太と出会い、茉莉は生まれて初めて心安らぐ居場所を手にする。二人はともに「再生」への道を歩むが、幸福な時間はある事件によって大きく歪められー。いま贈る、終わりにして始まりの物語。『天使の卵』から20年、ついに感動の最終章。
密書を携え、伊勢参り!?わけありの武家の女三人は、それぞれの思いを抱え、頼りない案内人のもと、伊勢へといざ出立。旅も人生も山あり谷あり、風雨あり。巾着切りの若い女、不審な行動をとる老いた浪人者、犬を相棒にした抜け参りの子ども…。いくつもの出会いが祖母の、母の、孫の人生を変えていく。江戸から伊勢への百十四里の珍道中。心がほっとあたたかくなる長編時代小説。
関東大震災からの復興の兆しを見せる昭和五年、東京。歌舞伎の殿堂木挽座に“掌中の珠を砕く”という脅迫状が届く。皆が疑心暗鬼にかられるなか『忠臣蔵』に出演中の花形役者が毒殺される。江戸の狂言作者の末裔桜木は、築地署の笹岡と真相究明に乗り出す。容疑者は、役者、裏方、観客すべて。だが、嘘をつくのが商売の役者を相手に捜査は難航…。変革の時代を背景に描く歌舞伎バックステージミステリー。
天正十年、真田幸村は上田城で父・昌幸と夜空を仰いだ。光を増して輝く己の星のまわりに、十の流星が飛来する。「どうやらこの幸村が智能をふりしぼって働く時、手足となって働いてくれる秀れた家来が、十人、現れましょう」武田勝頼の遺児・猿飛佐助、碧眼のイギリス人・霧隠才蔵、石川五右衛門の子・三好清海…「真田十勇士」決定版、待望の初文庫化。超絶の忍術妖術、息もつかせぬ第一巻!
ある春の夜、浅草公園で小林紋三が目にしたものは、十歳くらいの子供の胴体の上に、大人の頭が乗っかった小男だった。その不気味な男の懐中から、風呂敷に包まめた青白い人間の手が転がり落ちた。同じ時、山野家の令嬢、三千子が行方知れずになっており、百貨店では女性の切断された手首が見つかっていたー。上海帰りの明智小五郎が活躍する「一寸法師」。本格推理の傑作「何者」を同時収録。