出版社 : 集英社
帽子デザイナーの木之内冬子は、28歳で子宮摘出の手術を受けた。かつての愛人で有名建築家の貴志祐一郎とよりを戻すが、女としての魅力をなくしてしまったのではないかと煩悶する。やがて、別れを決意するが…。店の顧客である教授夫人との同性愛体験、貴志の部下からの求愛など、様々な愛の経験を通じて女としての歓びを取り戻していく。限りなき性の悦楽と女性再生への葛藤を描いた異色の大作。おとなの恋愛小説コレクション第3弾。
不朽のファンタジー! 作家キタモリオが書いた『船乗りクプクプの冒険』という本を読んだ少年は、本の中の世界へ引き込まれてしまう。虚実入り乱れる世界での冒険で見つけた、人生で最も大切なこととは?(解説/中田耕治)
十津川警部に「殺人ゲームがしたい」と謎の電話がはいる。やがて、11月7日東京駅発の寝台特急『さくら』の車内で「ア」で始まる名前の女を殺すと、挑戦状が届く。悪戯か、本気か。当日は用心のため、「ア」で始まる女性二人を探し出し、ガードをつけた。だが、車内で別の女性が殺される。さらに、第二の挑戦状が…。窮地に追い込まれた捜査陣に大逆転はあるか!?傑作鉄道トラベル・ミステリー。
映画好きが高じてフリーの宣伝マンをする藍子36歳。仕事は順調だが、W不倫の果てにフッた男が仕事場に現れ復縁をせまり…(『敵の女』)。22歳の真紀はデザイン会社で働く。今は仕事よりも来月入籍するバツイチのカレが大事。だが、その元妻と仕事をすることになり!?(『Aクラスの女』)。など、恋と仕事にまっすぐ生きる女たちをリアルに描いた連作短編集。文庫のため新作書き下ろしを特別収録。
権威ある小説新人賞を受賞した川名純子は、専業主婦から一転、華やかな人気作家に。しかし、受賞作は、ある男性から「あなたの名前で世に出して」と密かに託されたものだった。そして、その男性が山で転落死した後、一億円の保険金の受取人に純子が指定されていたことを知る。さらに、受賞作に描かれた殺人をなぞるような事件が発覚…。フィクションから真実を追う刑事と狡智に長けた犯人の息づまる攻防。
あっと驚くどんでん返し! 財閥の放蕩息子に見初められ結婚した蓮子は、慣れない生活に息苦しさを感じていた。そんな折、財閥当主が殺される。殺人罪の裁判の行方は? 驚愕のどんでん返し、ミステリの金字塔!(解説/道尾秀介)
東京は下町、向島の料亭に生まれた川田周一。十四歳。母はすでになく、父も別居していた。義兄が家を出て、二人の異母姉と周一だけになった。刑事や物騒な連中が来るようになり、店を嵐の気配が包む。そんな中、周一は煙草や酒を覚え、喧嘩を女を知っていく。しっかり眼を開けていろ、との板前・久我の言葉を胸に、男という向こう岸へ、泳ぎ渡りはじめた少年の成長を描いたハードボイルド青春小説。
1866年、世界の海で奇怪な海難事故が続発する。事実、多くの船が「謎の怪物」を目撃していた。紡錘形で細長いが、クジラよりはるかに大きく、時に燐光を発し、異常な速力をもっているという。調査に向かった軍艦もまた攻撃され、同乗していたアロナックス博士らは海に投げ出されてしまう。そして、博士らを救ったのも「謎の怪物」だったが、それはクジラではなく潜水艦ノーチラス号だった。
1869年、帆船チャンセラー号は、アメリカからイギリスに向けて航行中、予期せぬことから、大規模な火災を起こす。鎮火の努力もむなしく船は沈没。生き残った乗客と乗組員は筏に乗り込み、漂流を始めるが…自然の猛威、飢えと渇き、そして…。フランスの軍艦で実際に起きた事件をモデルとしつつ、極限状況における人間ドラマとして、迫真の筆致で描き尽くした傑作。
これで最後! 大人気ノベライズ第4弾! 銀魂アナザーワールド「3年Z組銀八先生」、堂々完結! ジャンプSQ.掲載の3編にVJ掲載の短編と書き下ろし1編を収録。もちろん空知先生描き下ろしイラストも充実! ファン大満足の1冊!!
男は知らない、女性のホンネ 蝶子46歳、遠望子41歳、綾音36歳、真咲31歳。かつて同じ家で暮らしていた彼女たちが、7年ぶりに顔を合わせるが…。タイプの違う20〜40代女性のホンネの恋愛観や人生観を描く連作小説集。(解説/藤田香織)
エスニックな香り溢れるタフで愉快な会社!? 東京にある小さな新聞社エイジアンはアジアの多国籍の人間が机を屋台のように並べて新聞を作っている。そこに迎えいれられたタカノ青年は…。タフで心躍る青春友情冒険物語。(解説/角田光代)
フランスに革命勃発!ウィーンでは皇帝たちが、妹マリー・アントワネットの身を案じていた。美貌の青年士官ルーカスはハプスブルグ家の密命を受け、混乱のパリに潜入する。フェルセンを始めとする貴族たちや革命家、外交の思惑が錯綜し、状況が刻一刻と変化する中、幼馴染みの王妃を守ろうと奔走するルーカスに迫る影。王妃が皇帝に当てた密書とは。激動の二都を舞台に描く歴史ロマン。
作家・安芸隆之は着物デザイナー・浅見抄子と出会った。互いに家庭を持つ身ながら、春めく伊豆の宿、桜花爛漫の吉野と京都、初夏の石狩平野と逢瀬を重ね、深く結ばれる。夫の存在をよそに二人の恋は燃えさかる。彼女が妊娠する。愛の逃避行は紅葉の飛鳥路、そして雪に閉ざされた北の大地へとさ迷い、いつか戻る時を失う。移ろいゆく四季に彩られた絢欄たる恋愛絵巻。男女小説の金字塔と言うべき傑作。
スクープを追う敏腕記者が見た都会の闇 人気報道番組の遊軍記者・布施京一は、見かけによらず凄腕で、独自取材で数々のスクープをものにしている。今日も事件を追いかけ、夜の街へ…都会の闇を描くサスペンス短編集。(解説/関口苑生)
「泥棒?」アパートに入ると、仕事道具の紙や画材が散らばり、キッチンは卵の殻がへばりついている。自分でやったこととわかっているが、それにしても…。生理前に必ず陥るこのパターン。イライラしたり落ち込んだり。でもこれもやっぱり自分なのだー。彼や友人たちの理解を得ながら、生理を通して、自分を見つめなおしていく秀子。PMS(月経前症候群)と格闘する30代の女性を軽快に描く。
春まだ浅い青森は十和田。高校卒業三日目。肩を壊し野球選手の夢を閉ざされた“ぼく”は同級生の駆け落ちを手伝ううちに相撲取りにスカウトされ就職も取り消しに。初恋の人との再会、釣り仲間との密漁と童貞卒業計画、番長の喧嘩に乱入、米兵との諍いに巻き込まれたり、ドタバタでしょぼいけれど素敵な事件の数々。人生のターニングポイントになった24時間を描いた、青春の疾走感がまばゆい傑作。
大学生になった甥の堅さを心配した叔父が、昔なじみの女将に…。初心な若旦那が騙されて吉原へという落語を現代の艶笑譚に昇華した『明烏』。「天神山」と「立ち切れ」を芸能の本質に迫る人情譚に仕立てた『天神山縁糸苧環』。他、「三十石夢の通路」「反魂香」など有名落語を、奥深い芸道と色恋の艶を加えて、粋で鮮やかな世界に完成させた珠玉の作品集。全四編。
翻訳家のなつめは、人妻・吹雪と激しい恋に落ちる。吹雪の家で逢瀬を重ね、子供の昼寝の間に快楽をむさぼる日々。女同士の恋、家庭を壊すつもりなどなかったのに、会えば会うほど溺れてゆき、愛するがゆえに傷つけあわずにはいられない。一方、吹雪の夫・マツキヨは、幼い息子を守るため、そんな妻を受け入れ家庭を再生しようとするがー。一途で、不器用で、あたたかい、愛と赦しの物語。