出版社 : PHP研究所
留学先の米国で奴隷同様の扱いを受けながら、首相にまで上り詰めた男がいた。教師、官吏、相場師、銀行員と様々な職を経験し、失敗を繰り返しながらも、性来の楽天主義と自学自得の精神で、日銀総裁、大蔵大臣、首相となった高橋是清。世界恐慌、日露戦争の戦費調達など、大国を相手に国家の誇りを捨てず堂々と渡り合い、幾度も日本の危機を救った男の生涯に迫った力作評伝。
(また後始末じゃ)大久保は、西郷にいささかうんざりしたー。信念によって動き、攻めるときは無類に強いが、守勢に回ったときにはあっさり投げ出してしまう西郷。そんな西郷に振り回されながらも、その長所と短所をよく知り、持ち前の粘り強さで支えていく大久保。余人にはうかがい知れぬ両雄の絆を新視点でとらえつつ、維新回天に果たした二人の役割を活写した歴史長編。
その男の奏でる調べは、武士の時代への鎮魂歌かー。西郷隆盛と大久保利通の後継者と目されていた村田新八は、岩倉使節団の一員として渡欧、パリにおいて、西郷が大久保と袂を分かって下野したとの報に接する。二人を仲裁するために帰国し、故郷・鹿児島へと向かったものの、大久保の挑発に桐野利秋らが暴発。ここに、日本史上最大にして最後の内戦・西南戦争の火蓋が切って落とされた。著者渾身の長編小説。
いま一度、賭けてみるかー。明智光秀を裏切った筒井順慶に仕えるを良しとせず、一度は武士を捨てた島左近だったが、石田三成の志を意気に感じ、その参謀役となる。豊臣秀吉亡き後、天下取りの野望をむき出しにする徳川家康を打倒すべく、三成と共に立ち上がった左近。あらゆる手をつくし、ついには家康を関ヶ原へと誘い出すことに成功したー。主君のために義を貫く。その生涯を描いた長編歴史小説。
二〇一〇年一月、ヤマト航空は経営に行き詰まり、会社更生法を申請。再建の切り札として外部から招かれたカリスマ経営者に対し、プライドの高い社員たちは反感を抱くが、次第にバラバラだった社内は一つになっていく。しかし、そこで東日本大震災が発生。津波によって孤立した仙台空港で、ヤマト航空の社員たちがとった行動とは…。二〇一二年九月の株式再上場までの、“奇跡の復活”を描く感動のストーリー。
その夜、カメラマン志望の大学生・木下英志は夜景を撮っていた。人気のない公園で鈍い音を聞きつけカメラを向けると、そこには一人の女性がいた。彼女は屈強な男たちを叩きのめすと、車椅子の老人を伴い車へと消えた…。後日、改めて画像を見た英志は気づく。-似ている。横顔が、あの子に。カメラが捉えた不可解な事件に隠された哀しい過去とは?