出版社 : PHP研究所
人間より偉い猫サバが仕切る「鯖猫長屋」で事件が!店子たちに愛されているおはまに、サバが毛を逆立て、飛びかかったのだ。その日おはまは奉公先で、ある大店へ届け物を頼まれたという。しかしそれが「出戻り文箱」と噂のものだった。元盗人で、今はサバの飼い主である画描きの拾楽は事情を探るが…。江戸の根津宮永町を舞台に、謎解きと人情が絡みあう、好評シリーズ第三弾。文庫書き下ろし。
いま一度、賭けてみるかー。明智光秀を裏切った筒井順慶に仕えるを良しとせず、一度は武士を捨てた島左近だったが、石田三成の志を意気に感じ、その参謀役となる。豊臣秀吉亡き後、天下取りの野望をむき出しにする徳川家康を打倒すべく、三成と共に立ち上がった左近。あらゆる手をつくし、ついには家康を関ヶ原へと誘い出すことに成功したー。主君のために義を貫く。その生涯を描いた長編歴史小説。
金はないけど情はある、個性豊かな面々が揃う「おけら長屋」は今入も騒がしい。“赤鰯”と呼ばれる腰抜け武士の本当の姿は…。おけら長屋に越してきた謎の女が忽然と姿を消したわけとは。吉原に乗り込んだお満は男と女の深い情話を知ることに。お糸と文七が陥った苦境を知った長屋の住人たちは、陰ながら奔走しー。笑いと涙と人情が満載のシリーズ第九弾は、ますます充実の五篇を収録。
彩加が取手の駅中書店の店長になってから一年半、ようやく仕事が軌道に乗り始めたと感じていたところ、本社から突然の閉店を告げられる。一方、編集者の伸光は担当作品『鋼と銀の雨が降る』のアニメ化が決定して喜ぶものの、思わぬトラブル続きとなり…。逆境の中で、自分が働く意味、進むべき道について、悩む二人が見出した答えとは。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第六弾。文庫書き下ろし。
一ページに一つ、一文の物語で構成される怪談小説集。「公園に垂れ下がる色とりどりの鯉のぼりに、一つだけ人間が混じっている。」「寝る時に必ず、洗濯機を回し続けることだけは忘れないよう願いますが、それさえ守ればたいへんお得な物件だと思いますよ。」-想像力が喚起され、不思議な怖さが込み上げてくる怪談を二百近く収録。現実と空想の境目を見失うような、奇妙で恐ろしい世界を味わえるだろう。
日本史上最も悪評高い蘇我入鹿。しかし彼こそが「改革者」であった!?-七世紀前半、大陸統一を果たした大唐帝国の脅威は、倭国に迫りつつあった。遣唐使に密かに同行し、唐の実情を目の当たりにした入鹿は、皇極女帝の信頼を得て、国を守るべく、新しい国づくりに邁進するが…。彼は、なぜ殺されなければならなかったのか。黒幕は誰か。最新の研究を取り入れつつ、大胆に謎に迫る古代巨編。
二〇一〇年一月、ヤマト航空は経営に行き詰まり、会社更生法を申請。再建の切り札として外部から招かれたカリスマ経営者に対し、プライドの高い社員たちは反感を抱くが、次第にバラバラだった社内は一つになっていく。しかし、そこで東日本大震災が発生。津波によって孤立した仙台空港で、ヤマト航空の社員たちがとった行動とは…。二〇一二年九月の株式再上場までの、“奇跡の復活”を描く感動のストーリー。
ご利益が伝えられている八起稲荷神社の門前町、八起稲荷商店街は、歩くだけでもなんとなくいいことがあるように思える。それは、この街の人たちと八起稲荷の神様がやさしく見守ってくれるから。あたたかい人情を描いて感動を呼ぶ連作短編。
その夜、カメラマン志望の大学生・木下英志は夜景を撮っていた。人気のない公園で鈍い音を聞きつけカメラを向けると、そこには一人の女性がいた。彼女は屈強な男たちを叩きのめすと、車椅子の老人を伴い車へと消えた…。後日、改めて画像を見た英志は気づく。-似ている。横顔が、あの子に。カメラが捉えた不可解な事件に隠された哀しい過去とは?
「すごい二人」がいた!蒲柳の質ながら常に時代の先端を行く幸之助を、抜群の行動力で支えた義弟・歳男。関東大震災、昭和恐慌、戦争、そしてGHQによるいわれなき財閥指定…、幾度もの困難を乗り越えてパナソニックと三洋電機を創った二人の人生を直木賞作家が描く感動のノンフィクション・ノベル。
英雄か、大戯けかー幕末、一介の武士から長岡藩家老に抜擢され、戊辰戦争に際し武装中立をめざした男の真実。「新潟日報」他、10紙で連載の話題作、ついに刊行!河井継之助の生涯を描き切った感動巨編。
流浪の身から黙々と戦い続け、「賎ヶ岳七本鑓」の一人として勇名を馳せた加藤嘉明。加藤清正、福島正則らと少年時代から戦功を競い合い、三木城の攻防を皮切りに山崎合戦など、秀吉の天下統一への戦いで力を振るう。関ヶ原合戦後は家康に“沈勇の士”と重んじられ、会津四十万石の大名へと上り詰めた。水軍の将、築城の名手としても活躍し、乱世の終焉を見届けた男の激闘を描く!
「帝をも超える真の王となる」と予言された平将門。一方、その友である貞盛は、「一族繁栄の礎になる」と言われたー。騒乱のさなか、将門は貞盛の父をやむなく自刃に追い込んでしまう。手を携え、夢の実現に向けて共に歩むはずだった二人の運命は…。坂東の地に平安をもたらし、都を目指すため、敢然と立ち上がる将門。心に哀しみを秘めつつ鬼神の如く闘う最強の士の姿を切々と描く歴史エンターテイメント。
逆さまに咲くチューリップはありますか?-京都府立植物園の新米職員の神苗健は、ある母娘から質問を受ける。戸惑う神苗に助け舟を出したのは、その場に居合わせた「植物の探偵」を名乗る女性。彼女は西陣にある「なごみ植物店」の店員だと言うのだが…。蛍が集まる草って何?源氏物語に描かれた薔薇の秘密とは?植物にまつわる謎と京都の風物詩が絡み合う、優しい連作ミステリー。
我、昇竜たらんー。大和国を治せる筒井家で、その剛直さと胆力を認められた島左近清興は、若くして侍大将に取り立てられる。そんな中、梟雄・松永弾正久秀が大和に攻め入ってきた。次々に城を落とされ窮地に陥る筒井家にあって、左近は、松永勢を相手に獅子奮迅の働きをするが…。弱肉強食の時代に義を貫き、「三成に過ぎたるもの」と謳われた乱世の申し子・島左近の生き様を渾身の筆致で描いた長編小説。
人生、意気に感ずー。大和国の守護となった筒井家に、織田信長が明智光秀によって本能寺で討たれたとの一報が届く。去就を決しかねる筒井家で、静観を主張する島左近は、偵察に出た先で山伏を捕捉した。その山伏こそ、羽柴秀吉の奏者・石田三成だった…。なぜ、左近は三成に仕えることになったのか。秀吉の死を機に牙を剥き始める徳川家康。再び風雲急を告げる天下に、“いくさ人”島左近の真価が問われる!
明治維新の英傑でありながら、新政府に叛旗を翻した男・西郷隆盛。歴史に大きな足跡を残しながらも、さまざまな謎に包まれたその実像を、盟友や家族といった周囲の人々の目を通して浮かび上がらせた傑作短編集。江戸無血開城に至るまでの勝海舟との交流(海音寺潮五郎「西郷隆盛と勝海舟」)、西南戦争にも従軍した息子・菊次郎から見た父の意外な姿と親子の絆(植松三十里「可愛岳越え」)など、五編を収録。
三年前の誕生日に恋人を亡くしているラジオ局の報道記者、星乃さやかはある日、「孫が至急百万円を振り込んでほしいと言っている」と慌てる老婦人に出会う。さやかは当然振り込め詐欺を疑うが、その孫について意外な事実が判明し…。さらに連続放火事件、大麻事件などを追ううちに、彼女が行き着いた切ない真実とは。報道記者経験もある現役アナウンサーが紡ぐ、感動の連作ミステリー。