出版社 : PHP研究所
今川家の支配下で、次々と非業の死を遂げる井伊家の当主たち。お家滅亡が迫るなか、残された“最後の希望”が幼い直政であった。だが、井伊谷に進出した徳川家の臣下に加わることで運命が大きく動きはじめる。家康の信頼を一身に受けた直政は、「赤備え」の若き勇将へとたくましく成長。天下わけ目の関ヶ原合戦へと突き進んでいく。“一族の悲願”を背負い、乱世を駆け抜けた男の姿を描く力作。
真田信繁が最後に頼り、徳川家康をおびやかした男が目指したものとはー。天下分け目の関ヶ原では宇喜多秀家の右腕として戦い、大坂の陣ではキリシタン部隊を率いて縦横無尽の活躍をした武将・明石掃部。宇喜多家を裏切った坂崎出羽守との因縁、そして千姫に託した思い…。大坂の陣後、姿を消した謎多き男の熱き生涯を、時代小説で人気の著者がドラマチックに描いた長編歴史小説。文庫書き下ろし。
小言、失敗、荷物持ち。憧れ惚れた師匠だもの。ついていきます、どこまでもー。大学の講師を頼まれた師匠についていったキャンパスで、師匠が狙っていた女子大生から好意を寄せられて…(「講師混同」)。病を抱える師匠のお供で雪国へ。高座の翌朝、師匠がいない!?意外な場所で佇む師匠が見つめていたものとは?(「すず女の涙」)。師匠に振り回される若手噺家の悲哀を織り交ぜつつ、師弟の情を描いた短篇五席。
結婚や、家庭に興味がないと言い切る交際中の彼女が、僕の家族を目の当たりにしてー「しあわせやあ」。そのタワーから、願いを書いた紙ヒコーキを飛ばすと願いが叶うという。亡き母がそこに託したのはー「紙ヒコーキ飛んだ」。提示した入場券が期限切れのため、諦めて帰ろうとする母子に遊園地の男が掛けた意外なひと言「お駄賃の味」ほか、誰もが心に持つ“大切な一枚”が蘇る八つの物語を収めた短篇集。
永遠の世界で唯ひとり、死の呪いがかけられた少女・イル。ある日、イルは立ち入ることを禁じられた永遠の街へと足を踏み入れ、時計塔守の少年・マドと出会う。動き出したふたりの運命の歯車は、誰にも止められないー。世界がまだ有限だった頃、そこは炎に染まる真っ赤な世界だった。戦争によって、記憶を失った少年・エデクは、悲しみのない世界を求め、双子の弟・ウェルドとともに奔走する。あらゆる悲しみを乗り越えた先に待つ結末とはー?永遠の世界“泡沫少女”と、有限の世界の物語“イデアの少年”決して交わるはずのなかったふたりの歯車が回り出す。そしていま、物語はひとつに。