出版社 : PHP研究所
「三身一体の剣か!」-居候をしている安田屋への帰途、三人の刺客に囲まれ、窮地に陥った橘円十郎だったが…。黒岩藩の国許で城代家老を暗殺した浦沢一刀流の郷士たちが、続いて江戸家老を亡き者にすべく出府。それを阻止しようと先手組頭の金重が、かつて共に闘った円十郎に助力を頼んできた。円十郎は、牢人仲間である馬淵と宇佐見に声をかけ、共にその依頼を受けることにしたのだが。文庫書き下ろし。
恋人の桜桃瑠梨(ゆすら・るり)を事故で亡くして以来怠惰な日々を過ごしていた私立探偵・冬青明(そよご・あきら)は、ある地域に伝わる伝承を調査するために、一人、過疎化の進む港町を訪れていた。明は、その町で偶然立ち寄ったBAR「リスキーゲーム」の女店主赤荻七海(あかおぎ・なつみ)に、「特別な日」の店の手伝いを依頼される。そして約束の日。いつになく混雑する店内に用意されたステージで艶やかな歌声を披露している人物が、瑠梨の妹・理子(りこ)であることを知った明は、彼女に不思議な魅力を感じていくー。『千本桜』『ACUTE』シリーズでお馴染みの黒うさPによるビターなボカロ楽曲、待望のノベライズ!
武田家滅亡前夜、甲州をかろうじて逃れた美貌の姫君は、凛然と生きた。信玄の五女として生まれた松姫は、若き日に織田信忠と婚約。長じてはその織田軍に追われて八王子へ移り、将軍家の若君の出産に立ち会う。その数奇な運命を描いた傑作歴史小説。
邪神「群馬王」の復活を願い、世界支配を夢見る「群馬県から来た少女」コヨトルは「群馬王」の「血を受け継ぐ者」である羽柴グンとキャッキャッうふふな学園生活を送っていた…。まるでライトノベルのような日常に突如、現れたのは「栃木から来た少女」トチギーナだった。「その者、桐生特産先染めジャガード織物をまといて日光東照宮に降り立つべし。失われし群馬と栃木との絆を結び、再び北関東を世界の覇者へと導かん…」群馬と栃木を結ぶ戦いの物語が今、始まる…のか?
サイレン女王が治める「みずべの公園市国」-その成立の秘密を探り出す特別ミッションに取り掛かることになった初音、漣、凛。都市設計者が遺したといわれる書籍『オンディーヌ』の原典にヒントがあると踏んだ三人は、文化発表会で「オンディーヌ」の劇を演じることを思いつく。発表会当日、劇は突然の乱入者によって世界線が交わりーブラックボックスに秘められてきた真実を知った、初音たちの決断とは?感動のクライマックス!
幼少時に両親を亡くした少女、シーエ・エレメチアは、超巨大建造物“間隙鋼外殻(クロムシェル)”内にある巨大な集落「街(ネブル)」で暮らしている有機生命体のヒトリだった。シーエは両親の悲願であった夢の大地「アルマ(天蘢未)」への移住を果たすべく、「〓衣守(エグモ)換装士」を目指す。そんな彼女を待ち受ける未来とはー。
ジェイルハウスを脱出し、裏山にいたはずのひろしたちは、いつの間にか自分たちの通う中学校の校庭に横たわっていた。彼らが目を覚ましてあたりを見ると、一緒にいたはずのシュンがいない。あわてるひろしたちに、校舎の屋上から声がかけられる。それは、ゆがんだ笑顔を浮かべてシュンを羽交い絞めにしている直樹だった。彼は言う。「さぁ、ゲームを始めよう」と…。始まりの監獄を舞台に、今、鬼ごっこの幕が上がる!!
本所亀沢町にあるおけら長屋は、今日も騒がしい。密かにお染のあとをつける大工の又造。その意外な理由とは。花見で浮かれる長屋の連中をよそに、一人沈む万造。ひょんなことから五十年前の真実が明らかに。八百屋の金太に嫁取りの話が!?お糸と文七の祝言が近づく長屋のあちこちで難事が発生。折しも流行病が西方から江戸へ、そして本所にも…。笑って泣ける大人気連作時代小説、シリーズ第六弾。
すべては、一人の男が失踪したことから始まった。-関東の裏社会を二分する十四会の会長・今切の足取りが外出先が途絶えた。若頭補佐の君島から捜索の移頼を受けた裏社会専門の探偵・時園は、今切の行方を追う。会長・今切の失踪で得をするのは誰か。関係者らを洗う時園に「今切のものと思われる小指が十四会に届いた」との一報が入った。-男たちの矜持と憎悪、そして哀しき過去が激しく交錯する長編小説。
あれは、そういうことだったのか…。なぜか鮮明に刻まれたこどもの頃の記憶。大人になった今だからこそ、本当の意味に気づくことがある。-三歳の私は、なぜ欲しくもない「特急こだま号」の玩具をねだったのか。六歳の時の夏休み、「あの崖」の近くで過ごした情景は、たのしい記憶のはずなのになぜ私を苦しくするのか。まだ洗練されていなかった昭和と現在が交錯する短編集。
昭和の新宿。「雨の日だけ営業」と噂される、元神主・水上櫂の探偵社をめぐる物語ー。幼馴染の慎吾が「近ごろ、会社に間違って届く郵便物が多くて、受付の女性が困っている」と櫂に相談した数日後、その女性は失踪して…(表題作)。◎友の死を悼みつづける女の真意を見抜く「沈澄池のほとり」。◎破格の待遇で募集されたカメラマン採用試験の謎に迫る「好条件の求人」など、四作品を収録した連作短篇推理小説。
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのかー。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事の信念がぶつかる連作ミステリー。文庫書き下ろし。
「ボカロを探して2000年」女子高生ゆあの前に妙な男が机の引き出しから現れた!「底辺Pのぼくが文豪になるまで」ボカロPのはしくれの僕、突然ボカロ小説を出すことになりました。「ボカロは衰退しました。」場末のスナックに懐かしいあの娘がいましたー。「オワコン先輩」細くて狭い通りで偶然、先輩に会いましたが…。ボカロ愛に満ちあふれた作家・石沢克宜が紡ぐ渾身の4編!!
どこにでもいる凡庸な中学生ユウトはある日、マキちゃんと名乗る謎の少女と出会う。「何を願うのー?」突如モノクロに変化した世界の中で少女は少年に問いかける。偶然の出会いにより“リセットボタン”を手にしたユウトは、完璧な人生を築いていこうと画策するのだが…。超人気クリエイター集団衝撃のデビュー作が待望の文庫化!!!
ペンネームに「動物」がひっそりと隠れた作家が紡ぐ「動物」をテーマにした物語。嵐の夜に海からやってきた羊や、男子大学生の心を惑わせる鹿、偽占い師がさがしている兎、なぜか体中が傷だらけの鶏、関西弁で事件を解決する馬など、“アニマルな作家”たちによる異色の競演。
切ない話、不思議な話、心あたたまる話ー現在から過去、未来、はたまた“物語”の中など、さまざまな世界を舞台とした連作集。国道四号線に突然現れたゾウに慌てる人々、五年前に別れたときの姿のままの妻子の正体、無愛想なジェフじいさんと皆に愛されるロボットとの交流の行方、母が戻らないときにだけ開けるよう渡された封筒の中身等、十五のショートストーリーが詰まった「箱庭旅団」シリーズ第二弾。
江戸時代から続く質屋・結城屋で祖母と二人暮らしの円は、美術学部に通う少しおせっかいな女子大生。結城屋の女性には代々不思議な力があり、円にも物に刻まれた記憶(メモリー)を感じることができる能力があった。ある日、質草のネックレスから不穏な記憶を感じ取った円は、持ち主の女性の家へ駆けつけるが…。「記憶」をヒントに事件の真相を解き明かす、感動の連作ミステリー。