出版社 : PHP研究所
同期の女の子を呼んで開いた週末の鍋パーティー。みんなを送り出した翌朝、部屋には、女物の靴が一足。代わりにサンダルがなくなっていた!-週明け出社しても、その間違いを言ってこないのはなぜ?(「ガラスの靴」)。10のwhy?本格の旗手の新たなたくらみ。
江戸深川の女衒・新三郎は、仕事の不始末で背負い込んだ借金返済の旅に出た。その旅先で壺振りおりゅうと出逢った偶然が、新三郎の人生を大きく変えることになる。二人で新たに人生をやり直すべく、おりゅうが考え出したのは、江島神社の裸弁天を江戸へ持ってきて公開する「出開帳」だった。成功すれば何千両もの拝観料が手に入り、堅気に戻れるが…。爽やかな余韻が胸に残る傑作時代小説。
恵美押勝が討伐されて一年近くー。淳仁天皇を廃した孝謙上皇が帝位に返り咲き、再び内裏に訪れたかに見える平穏。その裏には、女帝を誑かし、陰で政治を操る怪僧・弓削道鏡の存在があった。黄金眠る陸奥に食指を伸ばし、帝位さえ脅かし始める飽くなき道鏡の欲望、その阻止を図る牡鹿嶋足、物部天鈴らの奇計妙策の数々…。蝦夷の存亡と誇りを懸けた、新たなる戦いを描くシリーズ第三弾。
戦国大名がしのぎを削った乱世の日本。その裏側で、忍びの者たちは熾烈な闘いを繰り広げていたーみじめな生活から逃れるべく伊賀を抜けた若き下忍の運命を描いた「下請忍者」、武田信玄が織田信長のもとに送り込んだ謎の忍者を取り上げた「忍者四貫目の死」、優れた術者二人が死力を尽くして対決する「伊賀の四鬼」等、司馬遼太郎が世に送り出した忍者小説五篇を収録した短篇集。文庫オリジナル。
国境を挟み、宋遼二国は一触即発の状態に。伝説の英雄・楊業と息子たちの前に、遼の名将・耶律休哥が立ちはだかる。白い毛をたなびかせて北の土漠を疾駆するこの男は、「白き狼」と恐れられていた。宋軍生え抜きの将軍たちも、楊一族に次々と難問を突きつける。決戦の秋!運命に導かれるようにして戦場に向かう男たち。滅びゆく者たちの叫びが戦場に谺する。北方『楊家将』、慟哭の終章。
戦国乱世の時代、戦場を駆けた男だけでなく、女たちもまたそれぞれに「闘いの日々」を送っていた。異例の出世を遂げた豊臣秀吉の妻・北ノ政所、夫の異常なまでの嫉妬にさらされ続けた細川忠興の妻・伽羅奢(ガラシャ)から、戦上手で変わり者の侍大将に思いを寄せる人妻の由紀、夫を徹底して働かせた遊び好きの小梅まで、有名無名六人の女性が戦乱の中で咲かせた「花」を描いた珠玉の短篇集。
豊臣秀吉の天下統一、この偉業は「二兵衛」と呼ばれた名軍師ー竹中半兵衛重治と黒田官兵衛孝高を抜きにして語れない。置かれた環境は異なり、性格も正反対であったにもかかわらず、互いの才を認め合い、相手を信頼し合って、秀吉の天下取りを補佐した半兵衛と官兵衛。二人がともに抱き続けた志、友情とはいかなるものだったのか。不世出の軍師二人の鮮烈な人生を描いた力作長編小説。
橘奈良麻呂の乱が平定され、三年半が過ぎた天平宝字四年(七六〇)秋ー。奈良麻呂を葬った藤原仲麻呂は、恵美押勝と名を変え、新帝を操って強大な権勢をふるっていた。黄金をねらい、陸奥支配の野望を抱く押勝に対し、牡鹿嶋足、物部天鈴らの智略を尽くした戦いが始まる!平城京の激しい権力闘争の渦中にあって、蝦夷の平和を守るべく奮闘する若き英傑たちを活写した歴史大河ロマン第二弾。
幕末の動乱が風雲急を告げる慶応三年、徳川昭武の随員としてフランスに渡った一人の青年があった。現地で資本主義社会の現実を目の当たりにした彼は、帰国後、「人の道」と「利益」の両立を掲げ、第一国立銀行をはじめ、五百余の民間企業を興していくー経済面から明治日本の近代化を推進し、“日本資本主義の父”と称えられた実業家・渋沢栄一の事蹟を活写した力作小説。
江戸深川の仕出し料理屋・立花屋で事件が起きた。下働きの少年・元吉の過去と、何か関係があるらしい。元吉は青物商の伜で、付け火により親兄弟をすべて失い、与七のもとで働いていた。神田多町の青物市場で、探していた人物を見かけた元吉、それを知った与七は…。人情の機微をテーマに様々な作品をものしてきた内海隆一郎が、料理を彩りに添えつつ描き出した、初の長編時代ミステリー。
8世紀中頃の黄金発見に端を発する奥州動乱と、中央政界の血腥い権力抗争を描く大河ロマン。蝦夷の若者・丸子嶋足は、黄金を土産に帰京する陸奥守の従者となり平城京に上る。8年が過ぎ、衛士府の官人として異例の出世を遂げた嶋足は、やがて奈良朝を震撼させた政変・橘奈良麻呂の乱の渦中に、自らの身を投じるのであった…。迫り来る動乱の兆しの中での、若き蝦夷たちの躍動と葛藤を描く。
「鎮西一の忠勇、天下無双の勇士なり」と秀吉が絶賛した筑後柳河13万石の領主・立花宗茂。その生涯は実父・高橋紹運、養父・立花道雪の高潔な生き方を範とし、戦国乱世にあって、まことに誠実・清廉なものであった。本書は、この父子三様の猛々しくも清々しい生きざまと、妻との夫婦間の葛藤を見事に描出。現代人に人間の温もりをほのぼのとつたえる力作である。
生命保険業界で成功を極めつつあったマーク・クリストファーは、ある日、輝かしいキャリアを全部捨てて、作家になることを志す。二人の息子の成長に突然気づき、家族を顧みることのなかったそれまでの「競争人生」に大きな疑問を感じるようになったからだ。会社を辞めた彼は、家族とともに満ち足りた時間を過ごしつつ執筆活動を続ける。やがて、彼の書いた本は大ベストセラーとなるが…。世界中で最も多くの読者を持つ自己啓発書作家であるオグ・マンディーノが、「愛」を宿した選択の大切さをテーマに、ミステリー仕立てで描いた珠玉の1冊。
八四航空艦隊がついに実現した!南雲を司令長官とする第一航空艦隊は旗艦赤城以下八隻。小沢を司令長官とする第二航空艦隊は旗艦伊勢以下四隻。計十二隻の史上最大にして最強の大空母部隊は太平洋戦争を終結させる力となり得るのか。今、ハワイ諸島を制圧し米西海岸への進攻が始まった。
鎌倉末期、備前長船で生まれた剛刀「のきばしら」。足利将軍斬殺という嘉吉の乱を引き起こし、千利休の手により石灯籠を斬る。やがて江戸時代、転生した娘とともに質屋夫婦の命を救い、幕末には“人斬り”岡田以蔵の手に渡る。維新動乱のなかで女剣士の仇を討って、ついに終戦前夜の皇居に現れる…。一振りの剣をめぐる時空を超えた物語を、気鋭の執筆者7人が書き継ぐ、珠玉の連作時代小説。
実の父である徳川家康に毒殺された悲劇の猛将結城秀康。その落胤にして、必殺の富田流残月剣の遣い手結城虎之介が、家康の陰謀と刺客に敢然と立ち向かう!-己れのすべてを賭けて幕府の圧迫に対抗する豊臣秀頼。そんな秀頼を守り、父の仇家康を討つべくひたすら剣の道を突き進む虎之介。慶長年間の活気あふれる大坂を舞台に、二人の生き様を迫真の筆致で描いた著者渾身の痛快歴史長編。
官兵衛が荒木村重のいる有岡城に入ったまま出てこない、と聞いた信長は、裏切られたと思い、直ちに「官兵衛の子、松寿丸を殺せ」と秀吉に命令した。しかし官兵衛を信じる秀吉は竹中半兵衛と謀り、秘密裡に松寿丸をかくまうのだったー。秀吉の信任厚く、天下統一に向かって縦横無尽の活躍をした黒田官兵衛。敵将からもその人徳を称えられた名軍師の生涯を描く。